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新たな“現代西部劇”創出の予感 『ウインド・リバー』が描く苦痛に満ちた西部史
『ウインド・リバー』というきわめて地味な、だが孤高の美しさと悲しみをたたえたこの聡明なアメリカ映... 『ウインド・リバー』というきわめて地味な、だが孤高の美しさと悲しみをたたえたこの聡明なアメリカ映画は、現代にはたして西部劇は成立可能なのかについて、大きな問いを投げかける。そしてワイオミング州のネイティヴアメリカン保留地ウインド・リバーを舞台とする犯罪ミステリーでありつつ、現代においても西部劇は成立するのだと無言のうちに宣言する。いや、今日にふさわしい「現代西部劇」の樹立を宣言しているのだ。そして皮肉なことに、ワイオミングという辺境の州は、マイケル・チミノ監督『天国の門』(1980)の舞台となった土地ーーつまりその超大作の興行的失敗をもって、アメリカ映画史において事実上、西部劇が滅んだ不吉な土地ーーなのである。 周知のごとく、アメリカ合衆国史はインディアン(ネイティヴアメリカン)討伐の歴史であり、土地簒奪の歴史だ。映画ジャンルとしての西部劇は、開拓時代を題材とする壮烈かつ勧善懲悪の時代活劇
2018/08/03 リンク