ネグリ・ハートの『帝国』と現代資本主義の諸相（一）

ネグリ・ハートの『帝国』と現代資本主義の諸相（一） 対談 降旗節雄・岩田弘 ―― ネグリとハートの『帝国』は、これまで現代思想の文脈で論じられることが多かったのですが、これを経済学の視点から本格的に論じたらどうなるのだろうか。当然にも起きる疑問だと思います。今日は先生方に、「帝国」を論じていただきたいと思います。まず、隆旗先生からその全体像をお願いします。 ◆『帝国主義』の『帝国』への拡散 隆旗 『帝国』は四部編成となっており、第一部「現代性の政治的構成」で、現在の政治経済秩序は今までと全く違った構造になってきたと言っています。 違った構造とは、ネグリトハートは左翼ですから、おそらく帝国主義的な構造とは違うということです。レーニン「帝国主義論」が非常に明解な図式で示したような対立構造ではもはやなくなってきており、新しい「帝国」支配になってきている。そして「帝国」支配の中枢はネットワーク

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