松本市深志3の和菓子店で26日に起きた強盗事件で、男性店主が「不景気だからこれしかない」と1000円札を出すと、押し入った50-60歳ぐらいの男が「これっぽっちじゃ生活できない」と迫ったが、店主に「帰れ」と諭され、立ち去っていたことが27日分かった。 店主の広田吉樹さん(71)によると、男は店のカウンター内に入り込み、「金くれや」と折り畳みナイフのような物を右手で突き出した。「うちも不景気だから、これしかない」とウエストポーチの財布に唯一入っていた1000円札1枚を手渡したが、男は「レジを開けろ」と迫った。 「これは店のお金だからあげられない。きょうは1000円で帰れ」と、刺激しないよう冷静な口調で言うと、男は無言で出て行った。レジには現金約5万円が入っていたという。広田さんは「なぜこんなに小さな店を狙ったのだろうか」と話していた。 松本署は90人態勢で男の行方を追っている。