函館は、横浜、長崎とともに諸外国に向けて最初に開港しました。1859(安政6)年、国際貿易港としての開港と同時に運上所(税関)が設けられ、函館のまちは函館山のふもとの西部地区から始まりました。函館の人々は外国人がもたらした異国の文化を柔軟に取り入れ、和風と洋風の建物が融合した独特の味わいをもつ街並みをつくっていきました。 日本の玄関口としていち早く世界に開かれた函館には、言葉も文化も違う外国人が住み始めます。外国の建物など見たことも無く、伝統的な日本の建築の知識と技術しか持っていなかった当時の大工たちは、外国人の指導のもとで教会や領事館などの洋風建築に取り組み、その後、宣教師や外国人商人の洋風住宅建築も依頼されるようになり、異国情緒あふれる函館の街並みの基礎がつくられていきます。今も残るたくさんの洋風の建物は、先人たちが並々ならぬ苦労や知恵を重ねながら技術を習得して造り上げたものなのです。