「薬剤師国家試験に落ちた彼女を、僕は隣で見ていた」第二十話。試験本番を終え、その日の深夜に行った二回目の自己採点の結果など。 前回(第十九話)の記事↓↓ www.momotoyuin.com 2015年3月1日の深夜 パソコンに解答は入力した。あとはクリックするだけだ。 「するよ?」 と言った彼女に対し、 「……いや、やっぱり一回落ち着こう」 と言った僕の方が、なぜか緊張していたと思う。人の心臓は実に良く出来ている――と感じていたことを覚えている。心臓から鼓膜へ、鼓膜から耳へ。ものすごい振動が頭の中に響いていた。気持ち的には今にも破裂しそうなのに、この状況になっても鼓動が早まるだけだったから。 今から、人の人生が変わる瞬間を見る。 道は二つあって、一つは良い方でもう一つは悪い方。ハッキリと良し悪しを言い切れるあたりが国家試験の怖ろしさだと言える。この自己採点の結果次第で、「採点する」のボタ