今回は「BRICSの持続的成長力にとって大きなネックになってきている」と前回の最後に指摘したことを書く。それは端的に言って“中間省略政策”の負の側面に相当する。世の中にはやはり手順を踏まなければならないことがたくさんあるのだ。 社会・政治体制 まず指摘できるのは社会・経済システムだろう。日本を含め先進国はほぼ例外なく「民主主義に基づいた市場経済」を基本的なシステムとしている。国民は政治家を選ぶのに自ら投票し、政治家は国民の要望を取り入れながら政治を運営する。その要望の中には社会保障、富の再分配システムや腐敗・汚職の抑制システムが含まれ、先進国は時間をかけてそうしたものを構築してきた。その結果、比較的安定した社会システムが出来上がっているわけだ。 BRICSはどうか?「民主主義」にしろ「市場経済」にしろ、中途半端なシステムにとどまっている。ここで一つ一つ検証する余裕はないが、どの国もそうだ。