生前呼ばれたのは初代指導者のみ 平壌の金日成広場で行われた朝鮮労働党創立75周年慶祝閲兵式で答礼する金正恩朝鮮労働党委員長(当時)=2020年10月10日 【朝鮮通信=時事】 11月に入ってから、韓国メディアは金正恩国務委員長(朝鮮労働党総書記)が「最近になって『首領』と呼ばれ始めた」ことを一斉に報じ、わが国でも複数の大手メディアがそれをキャリーした。それは半分正しく、半分誤りである。なぜならば、北朝鮮メディアは遅くとも昨年10月には金正恩委員長を「首領」と呼んでおり、わが国の研究者や分析官は1年以上にわたってつぶさに観察を続けてきたからだ。 「首領」とは、もともと金日成主席にのみ称されたものであり、北朝鮮の辞書では「全党と全人民の絶えぬ尊敬と欽慕(きんぼ)を受けている、最も偉大な領導者」と定義されている。国務委員長や党総書記といった具体的なポストを凌駕(りょうが)する、重要な呼称であるこ