菓子の都に生まれました。 京都と金沢は似て非なる。 公家文化を色濃く残す京の都に対して、 このまちは加賀藩の武家文化を根っこに宿す。 武士の品格のただよう町人文化が金沢にはある。 文化を飾り祀るのではなく、 文化を日常のものとして使う町人たちがいる。 金沢は、ゆえに大仰ではない。 無垢で、素朴で、こまやかで、愛らしい。 敷かれた気品の中に、そっと愛嬌を滲ませる。 そのあり様は、菓子ひとつに顕れている。 金沢の菓子は、伝統と現代を同居させるように、 品格と愛嬌というものを共存させる。 金沢の文化の為せる所作と思う。 金沢を“菓子の都”と自負する所以である。 「金沢」と「うら田」