「アクセシビリティ」をテーマに、年に1度開催されているグローバルカンファレンス「CSUN」。今年の参加メンバーがレポートする本連載記事の第1回では、インフォアクシアの植木氏がCSUNの全体像を、第2回ではコンセントの中村が訴訟コストに関するセッションやADHD当事者の方によるセッションをご紹介しました。 第3回では「Web/紙媒体を横断するアクセシビリティ」に取り組んでいるコンセントのデザイナーでディレクターの佐野が、「PDFをはじめとする文書のアクセシビリティ」と「地図のアクセシビリティ」についてのセッションをご紹介します。 PDFのアクセシビリティとは?PDFもアクセシブルにできることをご存知でしょうか? アクセシブルなPDFとは、一言で表すなら「HTMLのマークアップのように、適切に構造化されたPDF」です。アクセシブルなPDFであれば、スクリーンリーダー(画面読み上げソフトウェア)
何が問題かおさらいユーザーテストでは、スクリーンリーダーでタブを読む際に問題が起こりました(ユーザーテストの詳細は、第4回をご覧ください)。問題となった動きをおさらいすると、次の通りです。 「料金表」というタブにフォーカスを合わせることはできた(「料金表」というリンクとして伝わる)リンクを選択すると、見た目の上では下部のコンテンツが切り替わり、料金表が表示されるしかし、スクリーンリーダーでは切り替わったことが通知されず、リンクを選択しても何も起きないように感じられる何かが切り替わったと予想できても、切り替わったコンテンツに移動することが困難問題はスクリーンリーダーで「タブ」がうまく扱えないことこの問題を一言でまとめると、スクリーンリーダーで「タブ」がうまく扱えていない、ということになります。なぜこのタブは、スクリーンリーダーでうまく扱えないのでしょうか。 実は、Webで使われているタブの多
いよいよユーザーテストに入ります。テストの結果どうなり、何がわかったのでしょうか。今回は、ユーザーテスト本番の様子をお伝えします。 中根さん登場!前回の記事でもご紹介した中根さんに、実際に当社までお越しいただきました。中根さんは、アクセシビリティの専門家です。かつてはW3CのWAI (Web Accessibility Initiative) でアクセシビリティガイドラインの策定にも関わっており、現在ではアクセシビリティの情報サイト「AccSell」を主催して、Webに限らず、アクセシビリティ全般の情報を積極的に発信されています。 弁護士ドットコムの社内からは、20名ほどの参加者が集まりました。テストに先立ち、まずは視覚障害者の一般的な環境や、中根さんの普段の利用方法をご紹介いただきました。この内容は第1回、第2回の記事で触れた内容と重複しますので、そちらをご覧いただければと思います。 い
ユーザーテストを実施することは、実はそんなに難しくありません。その代わり事前準備が成功の8割を占めるといっても過言ではありません。 弁護士ドットコムでは、サイトの大きな改修をせずに、アクセシビリティ対応を実施しています。今回は、ユーザーテストの実施に向けて、その目的や段取り、事前の準備について整理していきます。 前回の記事では、SEOとアクセシビリティとの関係に触れながら、実際にユーザーの行動を見て考えることの重要性についてお話していますので、まだ見ていない人はそちらをお読みください。 ユーザーテスト全体の流れユーザーテストを実施するプロセスを解説していきましょう。いきなりテスト実施はできるものではありません。実施するにあたって、さまざまな準備が必要です。全体の流れは次の通りです。 ユーザーテストの目的の確認ユーザーテストの準備ユーザーテストの実施(次回解説予定)テスト結果の分析と改善点の
なぜ、的外れなのでしょうか? それは、実際にユーザーが使っているシーンを考えればわかります。たとえば、PCを起動してからサイトのコンテンツを読むまでの流れを書き出してみましょう。 ブラウザを立ち上げるアドレスバーに文字列を入れて検索する検索エンジンの検索結果から該当のコンテンツを探すサイトに訪問し、コンテンツを読むサイト側で用意した支援機能は、4の「サイトに訪問し、コンテンツを読む」の段階になって初めて使えるものです。サイトに「音声読み上げ機能」があれば、そのサイトのコンテンツを読み上げることはできますが、他のサイトのコンテンツを読むことはできません。そしてもちろん、ブラウザを立ち上げたり、検索文字列を入れたりする際にも、この機能を使うことはできません。 もし、このような支援機能にニーズがあるとすれば、普段は目で見てアクセスする人が「何らかの事情でそのサイトのコンテンツだけ読み上げで聴きた
3月31日に国税庁のサイトがリニューアルされ、トップページを除いたほとんどのページのURLが変更になりました。これにより、国税庁のコンテンツにアクセスできなくなり、困っているという声があちこちで聞かれるようになりました。この問題はニュースメディアでも取り上げられています。 国税庁サイト、リニューアルでほぼすべてのURLが変更。リダイレクトもなくユーザー阿鼻叫喚 https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1114712.html 国税庁Webサイト、全URL変更で混乱 サイト内検索も役立たず、「無限ループ」状態に http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1804/02/news108.html 国税庁HPリニューアルでページにたどり着けず…「決算期なのに」嘆きの声 https://www.beng
皆さんこんにちは! ゾウ好きのかたわら、都内でパソコン教室を運営したり、ユーザーのお困りごとを企業様にお伝えしたりする仕事をしている、ゾウ好きのモリマミコです。「メイン画像」が「メインがゾウ」と変換されるほどのゾウ好きです。 ここで、最近のゾウニュースを1つ。 沖縄の動物園「沖縄こどもの国」では、1年に1回、園のポスターのセンターになる動物を決める「動物総選挙」があります。今年の総選挙の結果ですが、アジアゾウの“琉美(るび)ちゃん”が3連覇ならず! 来年の干支、犬の“はな”ならまだしも、ホワイトライオンの“セラム”に負けたので、正直ゾウ(超)悔しいです。 ネット通販でサングラスを買う! 白内さんの場合ふだんはAmazonで買い物をしているという、白内さん(仮名、69歳女性)が教室にやってきて、ひょんなことから、 去年白内障の手術したのよ。すっごいよく見えていいわよ~。世界が明るいわ! とい
「視覚障害者=全盲」ではない皆さんは「ロービジョン」という言葉をご存知でしょうか? ロービジョンとは、「メガネやコンタクトレンズで矯正しても十分な視力が得られず、生活や学習、仕事で不便を感じる状態」を指す言葉です。長い間「弱視」と呼ばれていましたが、医学的な弱視と区別するために「ロービジョン」という言葉を使っています。視覚障害の1種です。 実は、日本にはロービジョンの人がたくさんいます。「平成18年身体障害児・者実態調査(厚生労働省)」によると、視覚障害者31万人のうち、6割強にあたるおよそ19万人がロービジョンとされています(障害等級のうち全盲を表す1級以外の人の数を合計したものです。1級でロービジョンの方もいますので、一番少なく見積もって19万人ということになります)。また、日本眼科医会の調査結果(PDF)によると、「よい方の矯正視力が0.1以上0.5以下」の人は144万9,000人、
マーケティングにおける調査には、大きく分けて定量調査と定性調査の2つがあります。それぞれがどんなことを調べたいときに適しているのか、定量調査と定性調査の違いから説明していきます。 2つの違いを説明するにあたって、前回説明したユーザー理解のための「3つの掟」が重要になりますので、頭と心に浮かべて読み進めてください。 定量調査 What/「なに?」を知る 定量データの分析や集計で調査定量調査とは、人数や割合、傾向値などの何かしら明確な“数値や量”で表される「定量データ」で集計・分析する調査方法です。 代表的な定量調査は、「アンケート」です。 一般的なアンケートは、アンケートを回答してくれる人(被験者)が「はい・いいえ」や「1~5のスケールに○をつける」といった「スコアリング方式」と呼ばれる、質問項目に明快に回答できる設問で構成されていて、これらを集計すると設問ごとに必ず明確な数字でデータがアウ
どちらのほうが検索ユーザーの目に留まってクリックされやすいと思いますか? 確かなデータはありませんが、パンくずリストのほうがクリックされやすそうですよね(特にWeb担のような無機質なURLの場合は)。 最近の検索エンジンは、サイト上でふつうにパンくずリストを出していれば、自動的に検索結果でパンくずリストを表示するようにしてくれるようです(「リッチスニペット」と呼ばれるもの)。しかし、Web担のように、おかしなこだわりでパンくずリストの区切り文字をふつうの「>」ではなく「«」にしていると、自動認識されずにさみしいことになります。 そこで、ページのHTMLに「microdata」という仕組みで手を加えて、グーグルに「ここがパンくずリストだよ」と教え、検索結果ページで使ってもらえるようにする方法を紹介しましょう。 ふつう、パンくずリスト部分のHTMLは次のような感じになっていると思います。 <a
著者とコンテンツを関連付ける「rel="author"」タグをグーグルが導入 ★★★★☆ 「何が書かれているか」に加えて「誰が書いたか」の情報 (Google Webmaster Central Blog)グーグルは、ページコンテンツの作成者をグーグルに伝え、ウェブ上のコンテンツが誰によって作られたかを特定するための「rel="author"」属性のサポートを始めたことをアナウンスした。ウェブページを特定の作者と結びつけることで情報を探しやすくするのが狙いだ。 サイトでこれを実現するには、サイト内に著者情報を表示するプロフィールページを設け、各コンテンツページからそのコンテンツ著者のプロフィールページへリンクを張り、そのリンクにrel="author"属性を追加するだけだ。 たとえばWeb担では複数の著者が記事を公開している。筆者もそのうちの1人で筆者専用のプロフィールページがある。今あな
このように、通常のWebサーバーとコンテンツ管理の仕組みを利用してFacebookページを運営するのは理に適った仕組みで、最近のCMSはこうした機能をサポートするものが増えてきているようです。 データはすべてFacebookではなく市の管轄するサーバーに保存されているため、もしFacebook上で武雄市役所のアカウントが停止されたり、Facebook自体がサイトを閉鎖したりした場合には、元サイト上のHTMLを少し変えるだけで、武雄市役所のドメイン名上でページを見られるようになります。 また、Facebookというと「実名登録制」に注目されがちですが、現在のFacebookページはFacebookに登録していない人でも閲覧できます。そのため、武雄市役所のページは、Facebookアカウントがなくてもコンテンツを閲覧できます(コメント投稿などにはFacebookアカウントが必要)。 これはアリ
だれもが使えるウェブサイトを表彰する第2回「だれもが使えるウェブコンクール」実行委員のNPO法人ハーモニー・アイは、同コンクールの審査結果を5月10日に発表した。 審査の結果、金賞には鳥取県が制作した「鳥取県公式ホームページ」が、専門委員による1次審査で47.6点、市民モニターアンケートによる2次審査で40.5点、合計88.1点を獲得して輝いた。審査は、ウェブ制作者も含む専門家9名と、50歳以上の一般シニアによる市民モニター、障害者53名の市民モニターによって行われた。 受賞結果一覧 http://daremoga.jp/ceremony/award.html 金賞:鳥取県公式ホームページ銀賞:名古屋市公式ホームページ銅賞:有限会社ユニバーサルワークス入賞:粕屋町ホームページ、株式会社アークシステム、HaruhikoCGIこの他、2つの特別賞の毎日新聞ユニバーサロン賞を「公立大学法人神戸市
ウェブ関連ビジネスを展開する11社は、市区町村など自治体サイトで行政サービスのメニュー情報が容易に検索・活用できるようにするため、標準化、オープン化を目指すプロジェクト「OpenUMプロジェクト」を1月14日立ち上げた、と1月31日発表した。行政制度に関する情報構造の設計と、XML化要件設計を中心に活動する。 行政サービスを分かりやすく提供することを目的に、公的機関のウェブサイト評価関連事業を手掛ける任意団体のアスコエが開発した標準メニュー体系「ユニバーサルメニュー(UM)」を情報構造設計の基本コンセプトに利用。自治体サイトに適用させて使い勝手を重視したサービスを実現させる。XML化要件設計では、UMで設計した情報構造をサイト制作会社や自治体のサイト担当者が効率的に実装できるテンプレートを開発する。 3月までに基本設計方針と詳細仕様の確認を行ない、4月以降に普及に向けた本格的取り組みを検討
フォロワーからの注目やリンクを集めることを期待して、自分のTwitterアカウントで新しい投稿や製品についてつぶやく人は多い。こういった活動が、インデックス化されるページの増加や迅速なインデックス化にもつながるとしたらどうだろう? jtkaczukが2010年3月に、「Twitterをサイトマップとして利用する」という記事をYOUmozに投稿した。僕はこれを読んでからTwitterのパワーについて考え始め、Twitterをもっと活用することがインデックス化の助けになるんじゃないかと思うようになったんだ。 そこで僕は、ほんの数か月だけささやかな実験を行ったのだが、その結果は驚くべきものだった。 Twitterとインデックスの実験の方法この実験では、次のことをそれぞれ追跡できるようにした。 新製品がサイトに追加されたことそれがツイートされたことGooglebotにクロールされたことグーグルでイ
今日は、何かあった際に恥をさらすような受け答えをしてしまわないための、Webに携わる人間としての心得を、不出来なシステムを棚に上げて逮捕者まで出した岡崎市立図書館の事件から考えてみましょう。 2010年5月に、愛知県の岡崎市立図書館のホームページに対して自作のプログラムでアクセスしていた男性が、サイバー攻撃を仕掛けたとして愛知県警に逮捕されたという前代未聞の出来事がありました。 ご存じない方のために何があったかを簡単に説明しましょう(この部分に関しては、朝日新聞の神田大介記者が取材して書かれた記事や、逮捕された男性による説明を参考にしています)。 男性は、岡崎市立図書館のホームページが使いにくいことから、新着図書の情報を集めるためのプログラムを作って動作させていました。ところが、岡崎市立図書館のホームページで使用していたシステムに不具合があったためにホームページにつながらなくなる現象が起き
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