国連政治・平和構築局に「イノベーション・セル」という組織を立ち上げた。紛争の予防や解決のための活動を最新技術の活用で支援する組織だ。「情報はたくさんあるのに分析が追いつかない」。そのもどかしさが原点だ。 2022年4月28日。ニューヨークの国連本部ではVR(仮想現実)ゴーグルを使った「仮想訪問」が開催されていた。 太平洋諸島の国々は気候変動により安全保障上の危機にある。海面上昇で国土が水没の危機に見舞われ、住民の移住を巡り紛争につながる恐れもあるからだ。国連の各国代表団の理解を深めるため、VRでフィジーを「訪問」してもらうのが目的だった。 企画したのは国連職員、高橋タイマノフ尚子だ。その会場で高橋は、東アジア地域の外交問題を担当する同僚に声を掛けられた。「大事な声明を見逃さずに済んだ。ありがとう」。高橋らが作った検索エンジンのおかげで、2022年4月16日の北朝鮮のミサイル発射に対し欧州諸
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