「問題を把握しておきながら、見殺しにするんですか」。今年1月、40代の男性准教授は教授陣との面談の席で声を詰まらせた。 北海道大の関係者によると、教授が不在になった後に残った准教授や助教は、化学部門に在籍していても「旧スタッフ」「旧研究室スタッフ」と呼ばれるようになる。毎日新聞の調べでは、2021年度以降、少なくとも9人が旧スタッフとして扱われ、今年4月時点で4人が該当しているとみられる。 男性もその一人だ。23年度に続き24年度も学生の配属がなく、1人で研究を続けることが決まった。
「人類学」という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろう。聞いたことはあるけれど何をやっているのかわからない、という人も多いのではないだろうか。『はじめての人類学』では、この学問が生まれて100年の歴史を一掴みにできる「人類学のツボ」を紹介している。 ※本記事は奥野克巳『はじめての人類学』から抜粋・編集したものです。 「インセスト・タブー」とは何か 人間が持つ根源的な「ルール」のひとつとして、「インセスト・タブー」が挙げられます。ここでは『悲しき熱帯』で出てきたナンビクワラを例にしましょう。ナンビクワラ社会では、「交叉いとこ」の男女同士は、生まれた時から「夫」や「妻」を意味する言葉で呼び合っていました。それは、ある男性にとっては、彼の父の姉や妹あるいは母の兄や弟の娘のことです。男性は、それらの娘のうちの1人とやがて結婚するのです。 その男性にとっては、逆に規則上、結婚を許されない女
26日のニューヨーク市場では、日銀が金融政策決定会合で今の政策を維持したことや、植田総裁の記者会見で円安への対応に踏み込んだ発言がなかったといった受け止めから、日銀の追加の利上げには時間がかかるとの観測が広がりました。 また、26日に発表されたアメリカの先月のPCE=個人消費支出の物価指数の伸びが市場の予想を上回ったことから、アメリカのインフレが根強く、FRB=連邦準備制度理事会の利下げが遅れるとの見方も改めて広がりました。 このため、日米の金利差が意識されて円を売ってドルを買う動きが一段と強まり、円相場は1ドル=158円44銭まで値下がりして、1990年5月以来、およそ34年ぶりの円安ドル高水準となりました。 円相場はニューヨーク市場に入った際には1ドル=156円台後半でしたが、そこから1円以上値下がりしたことになります。 市場関係者は「市場では日本政府・日銀が円安に歯止めをかけるための
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・なぜ新会社を立ち上げたのか? ・セゾン投信と何が違う? ・なぜアクティブ型投信なのか? ・個人投資家が日本株にあまり注目していないが・・・? 「つみたて王子」、次はどこへ行く? 2023年6月にセゾン投信を退任した「つみたて王子」こと中野晴啓さんが、新たな運用会社・なかのアセットマネジメントを立ち上げ、4月に新ファンド2本の運用をスタートさせる。2024年1月の新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)開始以降、日本では資産形成の流れができ始めているが、今の世間のスタンダードは「インデックス型の投資信託による積立投資」だ。 一方、なかのアセットはアクティブ型の投資信託で行く。長年地道に全国を行脚し、長期投資の普及をライフワークにしてきた中野さんの功績は大きいが、ここにきて時代に逆行しているようにも見える。10の質問で、その真意を聞いた。 【Q1】なぜ新会社を立ち上げたのか? 【A】長期資産
日銀が3月、「異次元の金融緩和」に見切りをつけて政策を転換した。大規模緩和を軸とした経済政策「アベノミクス」に対し、日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さん(59)は「日本経済の価値を下げる亡国政策だった」と憤りを隠さない。以前から異次元緩和を批判してきた藻谷さんが考える、日本経済にとって本当に必要な対応策とは何か。 「壮大な社会実験」は失敗 ――異次元緩和の結果をどう見ていますか。 ◆この壮大な社会実験は失敗した。それを経て、私が14年前に提言した三つの策の重要性がようやく政財界にまで広く理解されるようになったことは皮肉な成果かもしれない。 私は2010年刊行の「デフレの正体」で、金融緩和は内需を拡大させないと指摘した。消費を拡大させる策は、若者の賃上げ▽女性の就労と経営参画の促進▽外国人観光客の消費増加――だけだと書いた。 だが、…
日銀は18日、金融システムの安定性を評価する金融システムリポートを公表した。短期金利が1%上昇した場合、預金などの利息が増えて家計の金利収支が改善するとの見通しを示した。一方で住宅ローン債務を抱える世帯では金利収支が可処分所得対比で約1%悪化する可能性があるという。日銀は半年に1度リポートを公表している。今回は日銀が3月にマイナス金利政策を解除してから初のリポートだ。家計や企業、金融機関が今後
「新NISA元年」となった2024年は空前の株高に沸いている日本の市場。だが、〈話題の新NISA、実は「落とし穴」だらけ…荻原博子が「おやめなさい」と断言するワケ〉などでブームに乗った投資に警鐘を鳴らす経済ジャーナリストの荻原博子氏は、今の株高の先には大きな「日銀リスク」が待ち受けていると指摘する。それはひとつではなく、「金利リスク」「為替リスク」「株価リスク」という、3つの「爆弾」を抱えているというのだ。 〈「株価4万円超え」に沸く日本株市場が一気に崩壊するかもしれない…日銀が抱える「3つの爆弾」〉に続いて、その内実を詳にしよう。 円安は日本経済を潤すのか 2つ目の爆弾は、「円安」。 「円安」は、庶民には厳しく、輸出企業は濡れ手に粟で儲かる環境と言える。これも、黒田日銀の「異次元緩和」で生み出されたものだ。 「異次元緩和」でじゃぶじゃぶに流された資金は、金利が上がらない日本から、コロナが
「大台乗せ」に沸く市場だが 世の中は、「日銀が政策の大転換」と騒ぐが、政策な小幅修正にとどまり、日銀が約600兆円の国債や67兆円の上場株式を抱える異常な状況が消えたわけではない。 円安は売られて152円近辺となり、日銀が金融緩和をやめないと踏んだ株式市場はアク抜け感から湧き上がっている。だが、実体経済はすでに株価とは乖離し、悪化の一途をたどっている。 1ドル150円の「円安」は、輸出産業などの企業業績を押し上げてきただけでなく、「円安」による株価の割安感で外国人投資家のマネーを国内市場に呼び込んできた。 今年1月1日時点では1ドル140円83銭だった為替レートが3月4日に150円48銭まで「円安」になったことで、日経平均は3ヵ月で約6700円も急騰し、待望の4万円の大台に乗った。 その立役者は、「円安」を狙って買いを膨らませた外国人投資家だったことは否定できない。 日経平均4万円乗せは、
NISAのポイントはやはり「非課税」 2024年から始まる「新NISA」。ネット証券大手のSBIホールディングスや楽天証券などは、すでに口座数が1000万を超えていて、個人の関心も高まっているようです。 「NISA」とは、国がつくった非課税で投資ができる口座。通常の投資だと、儲かった額に対して20%ほどの税金(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0・315%の合計20・315%)がかかります。ところが、「NISA」の口座にある投資商品は、この税金がかからずに非課税となります。 たとえば、100万円で買った株が110万円で売れたとすれば、10万円の利益となり、通常の証券口座では、この利益の中から2万315円の税金が引かれ、実質的な手取りは7万9685円。一方で「NISA」の口座に入っている投資商品では、非課税のため10万円がそのまま実質的に手元に残る、という仕組みです。 「NISA」には
日本維新の会の参院議員で、モルガン銀行(現JPモルガン・チェース銀行)時代に“伝説のトレーダー”と呼ばれた藤巻健史氏(73)が「週刊文春」の取材に応じ、過熱する現在の株式相場について「近くドカンと下がる」などと警鐘を鳴らした。 東京屈指のディーラーだった 3月4日午前、史上初めて4万円を突破した日経平均株価。その後、乱高下を重ねる中、3月18日、19日に開かれる日銀の金融政策決定会合では、マイナス金利政策の解除に踏み切る可能性が高まっている。 藤巻氏は一橋大学商学部卒業後、三井信託銀行に入社。1985年にモルガン銀行に転職し、東京支店長兼日本における代表者などを歴任。東京市場屈指のディーラーとして、「伝説のトレーダー」との異名を取った。2000年に退社し、ジョージ・ソロス氏のアドバイザーを務めた。金融コンサルタント、フジマキ・ジャパン代表取締役として活動する傍ら、日本維新の会の参院議員が死
<日本だけが長期にわたって成長できず、普通に成長してきたドイツに抜かれた現状の厳しさを認識できていない経済界の大問題> 日本のGDPがドイツに抜かれ、世界順位は4位に転落した。以前から予想されていた事態ではあったが、最大の問題は経済界にまったくといってよいほど切迫感がないことである。 多くのメディアでは、日本のGDPがドイツに抜かれたと報じているが、これは正しい認識とは言えない。諸外国の中で日本だけがほぼゼロ成長であり、他国は普通に成長しているので、日本の順位が一方的に下がっているにすぎない。 このままの状態を放置すれば、近くインドに抜かれる可能性が高く、中長期的にはブラジルやインドネシアなどに追い付かれることもあり得るだろう。これは異常事態であり、日本経済は危機的状況にあるとの認識が必要だ。 内閣府が2024年2月15日に発表した23年のGDP(名目値)は、前年比5.7%増の591兆48
●株価が大きく上がった時、私たちを悩ませる「売り方」問題 ●今すぐ資金ニーズがなければ、売らないで持ち続けるのもNISAの「売り方」戦略のひとつ ●投資信託なら「もうかった分だけ売る」をやってみよう ●2023年以前のNISAと新NISAの「売る順」はあるか? ●とはいえ、売らずに「積み立てのみ」とするほうが若い世代にとってはもっとも合理的 株価が大きく上がった時、私たちを悩ませる「売り方」問題 投資をするとき、私たちが期待しているのは値上がりです。長期投資を心がけているなら短期的な値下がりには耐えて、積立投資を継続することで購入平均単価を下げていくこともできます。とはいえ、最後は上がってくれないと困ります。 できれば、購入後すぐに値上がりしてくれるのが理想的ですが、問題は「購入直後に一気に値上がりした場合」です。 2024年1月から新しいNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)がスタートし
●安値で買い、高値で売るのは「健全なひねくれ者」? ●ファンドマネージャー時代に実際してきたシンプルな売買ルール ●個人投資家はどうしたらよいか? 安値で買い、高値で売るのは「健全なひねくれ者」? 株は、安値で買い、高値で売ると利益が得られます。これは言うのは簡単でも、実際にするのは難しいことです。なぜか? 日経平均株価(225種)に連動するインデックスファンドで考えてみましょう。 日経平均が安くなっている時に買うことは、不安材料が増え、悲観的に考える時に、買うということです。高くなっている時に売ることは、好材料が増え、楽観的な見方をする人が増えている時に、売るということです。世の中のムードに流されない「健全なひねくれ者」でないと、安値で買い、高値で売ることはできません。 世の中が明るくなると株を買いたくなり、世の中が暗くなると株を売りたくなる「素直な人」は、どのように売り買いのタイミング
2月22日、日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新した。証券会社で社員たちが大きな拍手をする映像がニュースで伝えられたが、はたしてどれほどの人がこれを我が事として実感できただろうか。著書『「人口ゼロ」の資本論 持続不可能になった資本主義』で、日本で進行する想定外の人口減少の原因は若者の貧困化にあると喝破した大西広慶應義塾大学名誉教授が、現在の株バブルの異常さについて緊急寄稿した。 前回のバブルより異常な今回のバブル 日経平均株価が史上最高値を更新しているが、他方で経済の停滞ムードは続いたままで、1980年代末のかのバブルとは様相が完全に異なっている。80年代のバブルがどう見ても「行き過ぎ」だったので今回は慎重になっているのだと言う人がいるかもしれないが、そもそも賃金が上昇していた中成長時代のバブルと、現在のそれとは根本的に異なる。80年代後半のバブルも当時としては極端な低金利であったと
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