2016年、立命館大学アート・リサーチセンターに収蔵された5巻の絵巻物。 京都で1650年前後に作られたと推定されています。内容は、土蜘退治や羅生門伝説で有名な源頼光とその家臣らの活躍する伝説の中心となる説話で、能や歌舞伎の演目としても人気の「酒呑童子(しゅてんどうじ)」の物語を描いたものです。 この絵巻は、絵巻作成技術がもっとも進んだ時代に制作されたため、完成度は高く、現存する酒呑童子絵巻の中でももっとも豪華な作品の一つで、文化財として非常に価値あるものだと考えられます。 この絵巻、じつは長らく日本を離れて、海外のある所有者の手許にありました。まず、アメリカのボストンに渡り、その後ヨーロッパに持ち運ばれたあと、途中、第二次世界大戦の戦火を逃れ、およそ130年ぶりに京都の地へ戻ってきたものなのです。 最初にこの作品を日本から持ち出したのは、ウィリアム・ビゲローです。米国・ボストン美術館の日