USTRを利用したいわば風評被害によりBTRONという独自技術を潰したのは、実は米国の企業ではなく日本人だったということは後年わかったことだ。詳しく記述してある1冊の本が出たからだ。ルポ作家・大下英治著の『孫正義 起業の若き獅子』。簡単に言うと、当時孫氏はパソコン用ソフトを米国から輸入して商売をしていた。日本で独自技術のパソコンが普及したら商売にならない――ということからTRON潰しに動いたらしい。この本で書かれている通産省の高官、政治家、財界など孫氏が持てるあらゆるツテを動員しTRON潰しをやっていく様は、私も感心してしまうぐらいだ。 その後の顛末としては、米国政府から食事しながらお話ししたいというお誘いがあった。出向くと「調査の結果、TRONはまったく問題ないということがわかったが、先生に迷惑がかかったなら遺憾だ」とのこと。アメリカの大学の先生も一緒にいて、技術論で盛り上がった。 それ