精神科を受診する子どもたちが増えているいま。子ども特有の悩みに耳を傾けようと、徐々に児童・思春期専門の精神科も増えてきています。しかしこれまで、子どもの心の不調は「家庭や学校の問題」とされ、精神医療にはつながってきませんでした。発症のピークが10代後半~20代前半といわれている精神疾患。医療機関は、子どもたちの心とどう向き合えばいいのか考えます。 子どもをめぐる精神医療の難しさ 子どもが心の不調を感じていても、誰かに相談したり、精神科の専門医にかかったりすることは簡単ではありません。 精神障害当事者が経験を語る教育活動を実践・研究している桃山学院大学社会学部社会福祉学科教授の栄セツコさんは、ソーシャルワーカーとして病院に勤務していたときの経験をこう話します。 「出会った子どもたちが大人になったときに振り返ってみると、初診が耳鼻科であったり小児科であったり、なかなか精神科っていうのが出てこな