電気自動車(EV)技術の中核を担う電池部材で、日本勢が正念場を迎えている。かつては日本の「お家芸」だったが、今や主要4部材すべてで中国勢が圧倒している。巻き返しに向けて日本政府は電池産業に対し、5000億円規模の投資支援策を用意する。官民が歩調を合わせ、生き残りに向けて進み始めた。 リチウムイオン電池の主要4部材の一つ、セパレーター(絶縁膜)を製造する東レの浅野尚之フィルム事業本部BSF事業部門長は、中国勢との激しい競争の現実をこう明かす。 かつて東レのセパレーター事業は、旭化成と共に世界シェアで上位を占めていた。セパレーターだけではない。リチウムイオン電池を世界で最初に商用化した日本にとって、その部材の多くが「お家芸」とされてきた。だがここ数年でそんな状況は一変した。 調査会社の富士経済(東京・中央)によるとセパレーターや正極材などの電池部材の世界市場は、EV向けの需要増を背景に拡大を続