■深い探求が求められ始めた 昨年から今年にかけて、経営学者のピーター・ドラッカーのことが日本でも非常に話題に上がる事が多かった。これは、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』*1という、非常にユニークな本が300万部近くも売れたことがきっかけになった事も確かだが、従来のビジネスマンの枠を超えて、広くドラッカーが読まれている様子を目にすることが多かった印象がある。しかも、従前のように流行に遅れまいとして、一応買って流し読みするというような主体性のない態度ではなく、何らかの指針を得たいという真剣さが感じられる。実際ドラッカーの原著にあたればすぐにわかることだが、皮相的な経営ノウハウが書き連ねてあるわけではなく、『経営思想家』と評されるがごとく、時に非常に深淵で、読む側にそれなりの準備と覚悟を求めるものが多い。昨年は、これもかなり内容的には難解な、米国の政治哲