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ブックマーク / d.hatena.ne.jp/zoot32 (20)

  • 『クロニクル』 - 空中キャンプ

    学園映画、ティーンエイジャーの日常を描いた映画は数あれど、『クロニクル』がこれほどに抜きん出て成功しているのは、「超能力を使えるようになった高校生」という非現実的なテーマを用いることによって、現実の思春期とはまさにこのようなものだ、というリアリティと普遍性を獲得している点にある。いっけんありそうもない「超能力」というモチーフを選択しなければ、思春期の少年たちの心理がここまで鮮やかに描写されることはなかったのではないか。 全編とおして、どの場面にもフレッシュなアイデアが詰め込まれている。わけても、3人の高校生が少しずつ超能力を発展させ、そのパワーを増大させていく過程を描いた前半は当にすばらしく、誰もがおもわず見とれてしまうほかない。きわめてタイトな尺にもかかわらず(この作品の上映時間は83分しかないのだ)、彼らが段階を経て能力を伸ばしていく序盤のシークエンスにはじゅうぶんな時間をかけている

    『クロニクル』 - 空中キャンプ
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    plugged 2013/09/30
  • 『ルビー・スパークス』を見たゼ! - 空中キャンプ

    <渋谷/初日/ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス新作> こっちにだって言い分はあるんだよ。終わってしまった男女関係をふりかえって、男も、女も、お互いにそうおもうのである。だからこそ、何かひとこと言いたくなるのだ。自分が感じた悲しさやみじめさについて。相手といながら、ひとりでいる時よりも孤独を感じた瞬間について。『(500)日のサマー』(’09)が「男の言い分」であるとすれば、作は「女の言い分」にまつわる映画である。脚を書いたのは、劇中ヒロインであるルビー・スパークスを演じるゾーイ・カザン(83年生)で、彼女はこの脚を通じて、おそらくみずからの恋愛経験をベースとしながら物語を組み立てている。 主人公は、十代で成功した小説家である。しかし彼はその後スランプに陥り、処女作の発表いらい何も書けないまま十年が経過している。ところが、彼が夢で見た理想の女性について書き始めたところ、インス

    『ルビー・スパークス』を見たゼ! - 空中キャンプ
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    plugged 2013/01/03
  • 2011年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ

    (写真は「ふりかえる」イメージキャラクターのオリーヴさんです) みなさんこんにちは。このブログを書いている伊藤聡ともうします。毎年恒例となっています「ふりかえる」企画の結果を発表します。今年は社会的に重大な事件も多発し、生活していくことの意味あいが激変した一年でもあり、みなさんのアンケート結果を読んでいると、映画を見るという行為の文脈も変わってきたような印象を受けました。今年の一月とか、なんかもうすごい昔という感じですが……。なにかと重い気分になりがちな年ですが、今回選ばれた十作品はどれもエンターテインメントとしてすぐれたものばかりですので、たのしい年末年始のDVD鑑賞の参考にしていただきたいとおもいます。このような質問内容でアンケートを募りました。 名前/性別/ブログURLもしくはTwitterアカウント 2011年に劇場公開された映画でよかったものを3つ教えてください 2で選んだ映画

    2011年の映画をふりかえる/結果発表 - 空中キャンプ
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    plugged 2011/12/25
  • 『 オラクル・ナイト』/ポール・オースター - 空中キャンプ

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    plugged 2010/10/16
  • 『生きる技術は名作に学べ』/伊藤聡 - 空中キャンプ

    こんにちは。ブログ「空中キャンプ」を書いている伊藤聡ともうします。2004年1月にこのブログをスタートさせていらい6年、とてもうれしいことに、まとまったかたちで文章を発表する機会をいただきました。来年の1月19日(予定)に、ソフトバンク新書から、わたしの初めての著書、『生きる技術は名作に学べ』が発売になります。 出版のきっかけは、ソフトバンク クリエイティブのメールマガジン「週刊ビジスタニュース」に何度か寄稿したことでした。そこでつながりのできたソフトバンクの上林編集者から、今回の話をいただき、企画について打ちあわせを重ねながら、過去の世界の名作を自由に読み解くというこのの執筆がスタートしました。十冊の海外小説を取り上げ、いっけん古めかしく見えるそれらの名作から、生きる技術を発見していこうという趣旨です。 『赤と黒』を書いたのはスタンダールだと知っていても、じっさいに『赤と黒』を読んだこ

  • えらい人は、東北のとある田舎町へいきたがっている - 空中キャンプ

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    plugged 2009/11/14
  • 人になんかしたい - 空中キャンプ

    「Kちゃん仕事やめたらしいですよ」と、友だちから教えてもらったのは九月の後半だった。ここしばらく連絡していなかったので、仕事をやめたのは知らなかった。Kちゃんの職場はとても厳しくて、同期はひとりも残っていなかった。調理の仕事で朝が早いからしんどいといっていた。彼女はまじめな子で、専門学校をでてから入社して、四年くらい働いていたとおもう。 「いまはどうしてるの」とわたしが訊くと、「八月いっぱいでやめて、それからずっと探してるっていってました、あたらしい仕事」と友だちはいった。まだ決まっていないみたいだった。職探しはたいへんなことばかりだ。わたし自身、何度か経験があるが、暗い記憶しかない。Kちゃんのことを聞いて、明日すぐに電話しなきゃとおもったけれど、なにを話せばいいのかわからなくて、三日ぐらい時間があいてしまった。 Kちゃんと電話で話してみると、数日前に、つなぎのアルバイトを決めたところだっ

    人になんかしたい - 空中キャンプ
  • わたしのお父さん - 空中キャンプ

    わたしのお父さんは、三年くらい前から日に住んでいて、わたしはずっとサウジアラビアに住んでいたのですが、今年からようやく、いっしょに住めることになり、こちらにひっこしをしてきました。四月からは、日の小がっ校にかよっています。わたしは二年せいです。おんなの子です。 日はちょうたのしいところだとおもう。つぶつぶいちごポッキーはおいしいし、でん車の中は冷ぼうがきいててすずしいし、プールで、もがもがもぐぐをするとおもしろいから。友だちは、ななちゃんとまきちゃんです。他にも友だちはいるけど、いちばんなかよしなのはこのふたり。ちなみに、もがもがもぐぐは、ななちゃんのかんがえたあそびで、三人でいっせいにプールにもぐってから、だれかひとりが「起しょう転けつ!」とか、「しゅっ発しん行!」とかのむずかしいことばを水の中でさけんで(なるべくむずかしいことばがよい)、でも水の中だから、「もがもがもぐぐ」としか

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    plugged 2009/09/14
    遡りブクマ。なぜこんなすばらしいシリーズに気づかなかったのか
  • 私たちまだ死んでない - 空中キャンプ

    サリンジャーは、「ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー」という、それだけですぐにユダヤ系だとわかってしまう名前を隠すために、ずっと、JDサリンジャーと名乗っていたのだという。かくいう私も、ちょっとだけそれに似た理由で、たかこ BLと名乗っている。BLがなにを略しているのかを、私は口にすることができない。だから私は、行儀のいいタクシー運転手みたいに、余計なことをいわず、どこへいってもできるだけおとなしくしている。 私たちの日での生活はいくぶんきゅうくつだ。いつも、誰かに見つかってしまわないかとそればかりを心配している。三者面談のときには、お父さんにきちんとひげをそってスーツを着てもらうようにおねがいしなければいけなかった。「ちゃんとしたスーツを着てね」と私はいった。「なるべく原理主義者っぽくないやつ」。お父さんは肩をすくめて、「わかってるよ。俺は三者面談にはターバンを巻いていかない主義な

  • 憂鬱な旅 - 空中キャンプ

  • 『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を見たゼ! - 空中キャンプ

    歌舞伎町にて。初日。おもしろかったです! 予告編の時点からクオリティがきわめて高かったので、期待していたのですが、やはりとてもよかった。全四作のうちの二作目ということですが、ここまで進めてしまっていいのか、というほどにストーリーがぐっと展開し、イントロダクションにとどまっていた『序』とはがらっと変わる印象でした。各種アートワーク含めて、鋭い作品だと感じた。 わたしが『序』でいちばんすきなシーンは、セントラルドグマへ降りるミサトがシンジの手をにぎり、その手をシンジがしっかりとにぎり返すところだ。かつて(テレビシリーズで)ミサトがつなごうとした手は拒絶されてしまった。しかし今ならこのふたりは手をつなぐことができる。十数年たってもっとも変わったことは、ためらわずに手をつなぐことのできる関係性だ。『破』においてシンジは、みずからの手を差しだし、ふりしぼるような声で「来い!」と叫ぶ。彼らはつながろう

    『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を見たゼ! - 空中キャンプ
  • 静岡にいったことはありますか - 空中キャンプ

    帰りの電車のなかでおかしな男に絡まれた。きっかけは、閉まりかけのドアにわたしが飛び込んだことだ。むりに入ったので、閉まるときに、ひじのあたりががつんとドアにぶつかった。すると、近くにいた土木作業員風の若い男(坊主頭、ピアス)がわたしに向かって、「迷惑なんだよ、オイ」「オマエみたいな奴がいるとむかつくんだよ」と悪態をつきはじめた。もとはといえばわたしが悪いのだが、ややこしいことになった。 しばらく無視をしていたが、「聞こえてるんだろう、テメー」「オイ、このやろう」などと言い続けるので、しかたなく急いで別の車両に移動した。もう、まいったなあ。ところが、移動したとなりの車両でしばらく立っていると、あろうことか、そいつもわたしを追ってくるではないか。どうしていいかわからない。男は「逃げんじゃねえ、オイ、テメー」と因縁をつけてくる。うーん、ややこしすぎる。しばらくうしろを向いて立っていたが、さすがに

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    plugged 2009/06/03
    [フィク/ノンフィク][社会人最強説]
  • 5/10文学フリマに出店します!- 空中キャンプ

    みなさんこんにちは。空中キャンプを書いている者です。GWいかがおすごしですか。わたしはなぜか仕事が休めず、基的には働いています。昨日、ようやく休みがもらえたので、せっかくだから遊ぼう! ということになり、渋谷のクラブでDJ KAORIのプレイを目撃してきました。 白いドレスでDJするケオリさんにもぐっときましたが、衝撃だったのは、DJブースに常時スタンバイしているアシスタントのお兄ちゃん。ケオリさんが曲をかけ終わって彼にレコードを渡すと、元のジャケットにしまうのである。そんな「レコードしまい係」の人がつねに横に待機しているDJをわたしは見たことがなかったので、そこに強烈なセレブ感を発見したことを書いておきたいです。 さて、今週末になるのですが、文学フリマという催しものが開かれます。ミニコミや同人誌の販売イベントですね。そこに、わたしも空中キャンプとして参加します。こうした催しものに参加す

  • あたしの予告編、僕の予告編 - 空中キャンプ

    人はミステリアスなものに惹かれる性質がある。ぱっと見ただけでおおむねわかってしまうようななにかについて、それ以上あえて追求する意欲はあまり起こらないものであり、われわれもやはり同様に、底知れなさ感、謎めき感などを演出していった方がおもしろいのではないか、とわたしはおもう。 たとえば映画の予告編をおもいだしてほしい。たいていは、それがどういう映画なのかについて、ひとまずの概要は伝えながらも、もちろん核心には触れていないし、おもわせぶりな映像やシーンだけを効果的につないでいくことで、あたかもそこにはすごい興奮があるかのような予告をしている。仮に映画がひどい駄作であったとしてもかまわない。それがどうにか演出し、できるだけおもしろそうに編集する。卑怯かもしれないが、予告編とはそういうものである。 では、われわれにとっての予告編、つまりは「あたしの予告編」「僕の予告編」といったものが存在するとすれば

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    plugged 2009/04/12
  • 電気ケトルはすごい、そして週刊ビジスタを読んでほしい - 空中キャンプ

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    plugged 2009/01/13
  • Don’t Trust Under Forty - 空中キャンプ

    肉体は放っておいても歳を取っていくが、精神はそうはいかないものである。わたしももうすぐ三十七歳。三十代になってから、ブラッド・ピットがチベットですごしたのと同じ時間が経つ。三十代も後半にさしかかり、あとちょっとで四十歳というところまできている。あとちょっとで四十歳。ぐわあっ。 歳を取るのはべつにいい。もともと、さほど若さに価値観を置いていたわけではなかったからね。わたしは、精神もひとりでに歳を取ってくれるものだとばかり考えていたから、いまだに精神がきちんと成熟してくれないことに動揺しているのである。外見ばかりが歳を取り、内面がいつまでも子どもというのではみっともない。いまだにいちごポッキーやプリンが大好きなのである。精神はかってに歳を取ってくれない。おそらく人は、どこかのポイントで、意識的に成熟を選び取っていかないとまずいことになる。 なんでこういうことを考えていたのかというと、フィッツジ

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    plugged 2008/11/19
  • ハイスペック過剰- 空中キャンプ

    なにかひとつの趣味が高じてくると、しだいにハイスペックなものが欲しくなるのが、男のだめな習性である。たとえば自動車。いい歳をしたおっさんが「これ、時速400kmでるんだよ、すごいエンジンなんだよ!」などと説得したところで、奥さんから購入の了承を得られるとはとてもおもえない。「そんなスピード、どこでだすの」「あぶないじゃない」「あなた下手でしょう運転」と、きわめて常識的な意見が返ってくるだけである。 おそらく、どのジャンルもそうに決まっている。釣り道具。デジタルカメラ。コンピューター。そんなにすごい機能はいらない、あっても使いこなせる腕はないとわかっていてもなんだか欲しくなる。わたしの知り合いに剣道をやっている人がいるが、剣道の場合、歳をとってくるとたいてい防具に凝りだして、刺繍や彫の入った、きらびやかな胴や甲手を装着して試合に臨むのだという。数十万円の防具をつけた人たち。こういうばかなこと

    ハイスペック過剰- 空中キャンプ
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    plugged 2008/11/05
  • バーチャル無職 - 空中キャンプ

    ここぞというタイミングで要領がわるく、損ばかりしている。会社から五日間の夏休みがもらえるのはよかったが、気がつくと、休みたかった日程はあらかじめ埋まってしまっていた。いつもこうなのだ。たいていの人が取りたがる休み、たとえば盆の三日間や、土日と合わせて三連休、四連休にできる金曜や月曜も、わたしが休みの予定を入れる段階では、誰かの名前がいくぶん運命論的に書き込まれ、もうすでになくなっている。 わたしは週に一度ずつ、水曜に休みを取ることになった。もちろん、お盆の週は注意ぶかく避けなければいけない。他の人が休むからだ。しかし、いったいこんな休み方でなにができるというのか。中には、六連休する同僚だっているというではないか。もっと押し出しのつよい性格だったら。わたしは、自分の鈍くささを恥じながら、週の真ん中に一日だけ、さして脈絡もなくひょいと投げ出された夏休みを、満喫するでもなく、誰と会うわけでもなく

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    plugged 2008/08/06
    「べつに働くなんて〜、えらいことでもない」懐の広さを感じました
  • おたんじょう会の粉砕 - 空中キャンプ

    誕生日を祝うのを、そろそろ止めてみてはどうだろうか。こう考えている人は、わりあいにたくさんいるのではないかとおもっている。どうしても誕生日を祝いたいのであれば、恋人や家族などのごく近しい間柄でのみおこなう。それより外側には、バースデーを持ちださない。わたしは「おたんじょう会」を粉砕するべく立ち上がった。誕生日を祝うというしきたりの見直しをつよく提案したいのである。 まずもって、誕生日を祝うという行為にはどういう意味あいがあるのか。世間的にはめでたいこととされているが、ここがよくわからない。誰にだって誕生日くらいある。生まれたからには、365日いずれかの日に誕生しているわけだ。「Aさんが六月五日に生まれた」。ここに、どういった特別な意味あいを見いだせばいいのか。三月生まれもいれば十二月生まれだっている。みんな生まれているのだ。あえてそこを掘り下げなくてもいいのではないか。どうにかむりに話題を

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    plugged 2008/06/06
    新宿駅は迷宮
  • 空中キャンプ - 酒だ。めしだ。

    うちの会社には、監査がふたつある。外部監査とはべつに、社から内部監査の人がやってくるのだ。うちは外資系なので、わざわざシンガポールから監査がやってくる。この内部監査でケチがつくと、わりとややこしいことになる。なにしろ内部だから、いっさい遠慮なしに、もうどこまでも見ていくのだ。コピー機の金がかかりすぎだね、これちゃんと複数の業者に入札させてますか? この領収書さー、酔っぱらって終電を逃して、タクシー拾って帰ったときのを経費で落としてるんじゃないの。これにはさすがにぐったりである。 監査(Audit)はどうしても嫌われ役だ。映画「主人公は僕だった」は、税務署の監査役(Auditor)の男についての物語だったが、この広い世の中を見回しても、税務署の監査役ほど嫌われる男はなかなかいない。劇中、街のパン屋へ監査にいった主人公は、なぜか店の客にまで「出ていけ」と罵られ、ものを投げつけられていた。かわ

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    plugged 2007/08/22
    良い文
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