「不健康な人は自業自得」と言われる世界 全世界の人が「医療リソース」「社会の安定化」について否応なしに考えなければならなくなるコロナ後の人間社会では、「健康」であることは、個人の意思によってそれを心がけるかどうかを決めてよい問題ではなく、社会に参加する者にとって必ず守らなければならない絶対的な規範として位置づけられる。 「健康」であることは、たんに「健康である」ことを意味するだけでなく、それこそが人間としてあるべき姿としてとらえられ、社会的・道徳的な正義であるとも考えられるようになる。逆にいえば「不健康」であることは、あくまで「個人が(自由を行使した結果として)個人的な不利益をこうむる」という意味とはみなされなくなるということだ。 健康でない人は社会全体に不利益をもたらす「悪」として厳しい視線を向けられていくことになるし、また「健康を度外視した自由を行使した結果、社会に不利益をもたらす」行