「重力波発見」の裏話──(1)「狂騒」曲の始まり おそらく十数億年前のこと、二つの巨大なブラックホールが近づき、お互いのまわりを周回し始めました。数億年の間は、こうしてまるでダンスをしているような状態が続いていましたが、二つのブラックホールは徐々に接近して行きました。今から13億年ほど前になった頃、互いの距離が数百kmまで達すると、そのスピードは光の速さの半分くらいになり、激しい振動を伴いながらエネルギーが重力波として解放されていきました。時空の歪みも激しくなり、とうとう二つは衝突して更に巨大な一つのブラックホールが形成されました。衝突は20ミリ秒ほどのアッという間に起こりました。新たに形成されたブラックホールの質量は太陽の62倍!大きさは北海道よりちょっと大きいくらい。放たれたパワーは、この宇宙のあらゆる星が放つパワーを合わせたよりも50倍も大きなものと推定されます。やがて「ゲップ」のよ