欧米ではある役職などに付随する権力、すなわち「地位の権力」が重視される一方で、日本では上司や部下などの相互の関係性によって行動が変わる「情緒的権力」がより組織を支配していると前編で説明した(日本人が「上司に弁当頼まれたら平気で買う」なぜ)。本稿では、こうした欧米における権力形態の違いが、いかにリーダーシップに影響するかを説明したい。 日本とヨーロッパ「教え方」の違い 権力構造は、リーダーシップの基盤である。これはリーダーとしての行動に強く影響し、異文化間では誤解を招くこともある。実際、私も2004年に日本で教鞭をとるようになって、この教訓を学ぶことになった。 筆者がかつて在籍したウィーン経営大学では、若い教授は教え方について多くの訓練を受ける必要があり、教授と学生の関係を専門的に管理することが非常に重要であることを学んだ。教授の責任は教えることであり、学生と個人的な関係を築くことではない。