韓国史上最悪のデジタル性犯罪と言われた「n番部屋事件」。「n番部屋」と呼ばれるテレグラム内のチャットルームでは、卑劣な手口で未成年者を含む女性たちが性的搾取の対象とされていた。その実態を暴き、被害者を救うべく「追跡団火花」として立ち上がった2人の大学生は、どのようにして性的搾取加害者たちを追い詰めていったのか? ここでは、「追跡団火花」の潜入取材の記録を綴った『n番部屋を燃やし尽くせ デジタル性犯罪を追跡した「わたしたち」の記録』(光文社)より一部を抜粋してお届けする。(全2回の1回目/2回目に続く) 2019年7月、私たちは手の中の地獄を見た 1年前、私たちは記者志望の大学生だった。就職に役立ちそうな受賞経歴が欲しくて、ニュース通信振興会の「真相究明ルポ」コンクールに応募する準備をしていた。記事のテーマは「盗撮問題」。私たち韓国で暮らす20代女性にとって、何よりも強く実感できる問題だった