近年、社会問題となっている、若くして祖父母、両親の介護を担わざるをえなくなった「ヤングケアラー(若者介護者)」の存在。奥村シンゴさんの『おばあちゃんは、ぼくが介護します。』は、みずからの壮絶な体験をもとに、この問題に鋭く迫った一冊だ。 そんな奥村さんが経験した、コロナ禍での母の介護。精神科病院に入院せざるを得なかった母は当初からその「環境」を不安視していたという。奥村さんが経験した、過酷な介護の実態とは。 精神科病院への入院を決断するまで 67歳の母親は、2年前から腹痛と便秘に悩まされ、6ヶ所の病院を受診しました。病院で血液検査、レントゲン、超音波検査、CT、胃カメラ、大腸カメラとさまざまな検査をしましたが異常ありませんでした。 どの病院でも「検査などで異常が現れないものの、心理的な要因で痛み・吐き気・倦怠感・手足のしびれなどが続く、身体表現性障がいでしょう」との診断。 母親は、主治医の診