本特集の第1回で解説した通り、肺や呼吸の機能は20代をピークにじわじわと低下していく。肺や呼吸機能の低下によって「呼吸力」が衰えると、息を吐いたあとに肺の中に残る空気の量(機能的残気量)が増えやすくなり、肺に十分な空気を送り込みにくくなることで「浅くて速い呼吸」になるという。 長年にわたり呼吸神経生理学を研究する昭和大学名誉教授の本間生夫さんは、この浅くて速い呼吸は「悪い呼吸」だと指摘する。「浅くて速い呼吸をしていると、息苦しさや呼吸のしにくさを感じるようになり、さまざまな不調や病気を招きやすくなるだけでなく、心身の衰えを早めてしまうリスクがあります」 肺に十分な空気を送り込めなくなるとエネルギーを産生しにくくなることで代謝が落ち、各臓器の働きが低下したり、疲れやすくなったりする。さらに、不安や抑うつ、いら立ちといったネガティブな感情が高まりがちになることも分かっている。 では、浅くて速い