数十年間ほとんど成長をみなかった景気が、いまや後退段階に。減り続ける人口、昨年の出生数は過去最低。政治が硬直しているように思われるのは、事実上権力を握っているのが一党であり、どれほどスキャンダルまみれになろうと、不支持率が高まろうと、その状況に変わりがないからだ。 日本みたいな現状ならば、社会的荒廃の兆候、たとえばゴミの散乱、路面の穴ぼこ、ピケライン(ストやデモの際に張る監視線)等々を想像するだろうが、それはまず見当たらない。安定ぶりとまとまりの良さはいまも驚くほどで、破滅が差し迫っている感じはほとんどない。 この平穏さは、ことなかれ主義の表れである。「しょうがない」というのが、国民の口癖のようなものなのだ。 日本人が無頓着である理由はわかりやすい。失業率は低く、電車は時間通りに運行し、春になれば桜が咲く。神社やショッピング街は旅行客であふれ、株式市場は史上最高値を更新した。いくぶんのイン