愛する人といつまでも一緒にいたいと願うことは今も昔も変わりません。 例え相手が死んでしまっても、その骨と一緒に……と書くとゾッとする反面、なんだかとてもゴシックで耽美な世界を感じる人も少なくないでしょう。 愛する人の骨壺を首から下げて日本全国を巡り、寺を創建する美貌の僧侶。そんな都市伝説が鎌倉時代にありました。 彼の名前は「西蓮(さいれん)」、僧になる前の名を藤原能茂(ふじわらの よしもち)という、実在する人物です。 後鳥羽上皇の寵童、伊王丸 能茂は幼名を伊王丸といいます。後鳥羽上皇が我が子同然……それ以上に可愛がって面倒を見ていた少年です。 元服前から後鳥羽上皇の側に仕えていて、後鳥羽上皇から荘園をもらったり、蹴鞠会に参加している様子が、公家たちの日記からも見て取れます。 元服し、藤原能茂と名乗ると、北面武士として後鳥羽上皇の常にそばにいました。 治天の君だった後鳥羽上皇が、ここまでそば