掛け声倒れに終わりかねない「見せかけの働き方改革」が広がる。半面、生産性アップにつながる、無駄会議の削減や儀礼的手続きの廃止には動きが遅れがちだ。『仕事ごっこ』(技術評論社)を書いた沢渡あまね氏に、昭和の仕事慣習から抜け出す取り組み方を教わった。 「レガシー(遺産)」と「悪しき習わし」の差痛快な本だ。日本企業にはびこる、「上司の方向に傾けて印鑑を押す」といった、くだらないセレモニーの事例を挙げつつ、廃止や見直しを促している。タイトルにある「仕事ごっこ」の定義は「ビジネスの場においてあたりまえとされているけれども、ムダに私たちの足をひっぱる慣習」だ。会議・稟議(りんぎ)や押印、相見積もりなどが具体的な事例に挙げられている。「レガシー(遺産)」という言葉には、歴史に残る業績というプラスの意味もあるが、本書で取り上げられているのは、大半が業務効率やモチベーションを落とす点で「悪しき習わし」と映る