「さよならテレビ」――。そんな挑発的なタイトルのドキュメンタリー映画が公開される。テレビ局内にカメラを向けたのは、現役の局員だ。視聴率至上主義がニュース番組にも持ち込まれ、広告を出すスポンサーなどの要望に応える「是非ネタ」のニュースをつくっている赤裸々な姿。正社員の労働時間を削減するため、非正規社員が報道の現場に増えていることも映し出される。これまでにも名作を生み出してきた名古屋市の東海テレビが誇るドキュメンタリー集団が、視聴者離れが進んでいるとされるテレビの「自画像」を描き出した。 カメラを回すのやめろ! 2016年秋、局の報道フロア。土方宏史監督(43)が自社にカメラとマイクを入れ、取材することを報道デスクやスタッフらに突如として告げる。彼らは「何が撮りたいのか」と困惑し、取材クルーに意図をただす。カメラがすでに回っていることにいらだった幹部が声を荒らげる。「カメラを回すのをやめろ!