気候変動によって、ムラサキウニが大量発生し「紫の絨毯」と化したカリフォルニア州沿岸。「ウニ」がたくさん採れるなら嬉しい悲鳴かと思いきや、このムラサキウニの中身は貧相で商品価値を持たない。さらに、「海の肺」とも呼ばれる海藻ケルプの森が壊滅的な状態にまで追いやられているのだ。 10年前、ゲイリー・トランパーがカリフォルニア州アルビオンでウニの潜水漁をしていたころ、港は商業漁船でいっぱいだった。トランパーと彼のパートナー潜水漁師バイロン・コーラーは、コンブの一種であるジャイアントケルプ(オオウキモ)がもつれ合うなかを縫うようにして、全長約8メートルの小型漁船を進ませるのが常だった。 コーラーによれば、数時間の漁を終えるとアカウニの重みで船が沈むほどだったという。 けれど、それも昔の話。現在、カリフォルニア州沿岸に自生するケルプの95%が消滅している。この7年で爆発的に増えたムラサキウニが、ケルプ