学校の理不尽な「ブラック校則」が話題になって久しい。見直しの機運は高まっているが、まだまだ謎のルールは存在する。一方で、校則を撤廃した学校もある。東京都千代田区立麴町中学はその一つだ。当時、同校校長で宿題や定期テストの廃止も手がけた工藤勇一さん(横浜創英中学・高校校長)に校則撤廃のいきさつを聞いた。
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合唱コンクールを「感動体験」だと思っている日本 工藤勇一氏(以下、工藤):例えば、(学校では)平気で合唱コンクールをやっていて、日本はみんな合唱コンクールをやっているから、それが感動体験だと思っている。「音痴で、生まれながらにどうにもならない人もいる」ということも含めて考えられてない。 100人のうちのたった1人が音痴とか、障害があってうまくみんなとやれないとか、声が出ないとか、それでも「その子は特別だから、合唱コンクールをやろう」という話になるかもしれない。 なぜコンクールをやるんだろう。勝ち負けを競って技術を上げるため? みんなで団結して感動するため? 誰も「それって正しいの?」って疑問を持たないわけですよね。もしかしたら、1人でもそうじゃない人がいた時には「その人はおかしな人なの?」と、マイノリティを疑う。LGBT(の問題)と同じですね。 そうすると、それは自分の心の内、つまり内心と
まずは下記の図表を見てください。 2019年11月に日本財団が発表した「18歳意識調査」です。 世界9か国の17~19歳各1000人の若者を対象に、国や社会に対する意識を聞きました。 結果を見ると、日本は尋常じゃなく低い数値です。 この数値が日本の高校生を象徴していると仮定するならば、日本の未来は非常に心配です。 どの項目も他国に比べて著しく低いのがわかります。 最後の2つ「自分の国に解決したい社会議題がある」「社会議題について、家族や友人など周りの人と積極的に議論している」はSDGsにも関係しますが、突出して低い数値になっています。 そもそもSDGsについてほとんど関心を持っていない生徒が多いということを示しています。 これは若者たちだけの姿ではなく、我々大人自身の姿であるのかもしれません。 大人自身がすべてにおいて「他人事」だから、自分たちで国を変えようという意識が子どもたちに生まれな
インタビューに答える横浜創英中学・高校の工藤勇一校長=横浜市神奈川区で2022年10月29日、前田梨里子撮影 今、子どもたちが身につけるべき力とは何なのか――。学校改革の旗手として知られる工藤勇一さん(横浜創英中学・高校校長)に聞いた。東京都千代田区立麴町中学で校長当時に宿題や定期テストを廃止した工藤さん。強調していたのは「誰一人置き去りにしない」教育現場のあり方だ。【聞き手・大沢瑞季】 学校の当たり前をやめた、その理由とは? ――これまで行ってきた学校改革について、改めて聞かせてください。なぜ、宿題を廃止したのでしょうか? ◆勉強は、「分からないものを分かるようにすること」が目的であって、「量をこなすこと」が目的ではありません。宿題を出すと、できる子は全部やるんです。でも、できない子は、分からないところを飛ばします。それでは成績は上がりません。 宿題を出せば出すほど、子どもは提出すること
「宿題」「定期テスト」「頭髪・服装指導」「担任制」をすべて廃止。世の中の「当たり前」をやめるという学校改革で話題沸騰になった、前・麹町中学校校長の工藤勇一氏。この2020年4月からは、横浜創英中学・高等学校(横浜市)の校長を務める。コロナ禍で浮き彫りになった課題や、今後の教育が担うべき役割について話を聞いた。 子どもが主体的に動くようになる3つの言葉 --コロナ禍で、地域や学校による対応力の差に加え、子ども自身の自学力の差によって、学力格差が一段と深刻になっているという指摘があります。今、無気力になったり、自信をなくしてしまったりしている子どもたちに、何をしてあげればよいでしょうか。 多くの親御さんたちが、わが子がこの厳しい世の中を生き抜いていくにはどうしたらいいだろう? と思い悩むのは当然でしょう。ですが、コロナ禍による学力格差が心配だからといって、じゃあもっとたくさん課題を与えて、それ
ジャパンハート主催のイベントに、同団体の創設者である小児科医の𠮷岡秀人氏と、横浜創英中学・高等学校 元校長の工藤勇一氏が登壇。医療と教育、それぞれの業界で活躍してきた両氏が、「イノベーションが生まれる当事者の作り方」をテーマに対談しました。本記事では、世界に遅れを取っている日本において、“既存のフレームを壊すこと”が重要な理由を語ります。 前回の記事はこちら 単身で異国の地に乗り込み、周りは敵だらけ 司会者:ちょうど今、「味方を作らない、孤独になる」というお話が出ました。𠮷岡先生も初めはミャンマーに単身で行かれて活動を開始されてますが、そのあたりはいかがですか? 𠮷岡秀人氏(以下、𠮷岡):僕の場合は医療だから武器があったんですよ。それは何かというと、医療技術です。外科の技術を誰よりも高くすれば誰にも奪われないし、それ自体が信頼と結果を生んでくれるので、それをひたすら追求すればよかっ
荒れている学校の生徒との、ロケット作り体験 坂本建一郎氏(以下、坂本):植松社長、今の工藤校長のお話を伺っていかがですか? 植松努氏(以下、植松):以前にすごく荒れている中学校に呼ばれたことがありまして。本当にものすごい荒れていまして、今時『ビー・バップ・ハイスクール』かなという感じの子もいたりして。 坂本:懐かしい(笑)。 植松:お話する間も、指笛を吹かれるわ足踏み鳴らされるわだったんですけど、その後にロケットを作ることになりまして。そうしたら荒れている子たちが何も作らないんです。「どうしたの?」と聞いたら、「俺、バカだから作れない」と言うんです。 「そうかい?」と言って、「でも、この説明書を一生懸命書いたからさ、絵いっぱい使っているから、この絵のこの部品を探してみな」と言って、そうこうしているうちに「できたでしょう?」と言ったら、「おっ、できた」とか言っていて。「あっちの彼を見てごらん
教員を始めたての頃は「管理教育や先生たちが大っ嫌い」だった 苫野一徳氏(以下、苫野):時間がきてしまったみたいなので、いったん締めにいきますか。じゃあ、質疑に移りましょうかね。 坂口惣一氏(以下、坂口):工藤先生、苫野先生、ありがとうございます。非常に熱いお話をありがとうございました。質問もかなりたくさんいただいております。 一番多かったのが、現場の教員の方からの質問です。「改革を実行したいけれど難しい」「時間的な余裕と心の余裕がありません」「疲弊しています」という声が届いています。同僚や上司の方の理解がない時に、そこを突破する考え方を教えていただけますか。 苫野:ぜひ、工藤さんから。 工藤勇一氏(以下、工藤):気持ちはよくわかります。僕が校長になったのが54歳なので、校長の立場を得るまでに相当な時間がかかっていますよね。やはり、トップにならないとできないことってあるんですよね。でも僕はい
実際の学校現場で何かを変えようとすることは、そう簡単ではない 坂本建一郎氏(以下、坂本):ここからの60分は、先ほどの問題認識を踏まえて、「どういうふうに組織を変えていくのか」「もし変えられないとすれば、なんで変えられないんだろう」ということについてフォーカスしていきたいと思います。 山田洋一氏(以下、山田):坂本さん、今話しても大丈夫? 坂本:大丈夫です。 山田:今のお話で進めていただいてまったく構わないんですけど、やっぱり僕らが普通の教員で公立の学校に務めていたら……。 坂本:もっと悩みが深いと(笑)。 山田:やっぱり「孤独になる」ことは、恐ろしいことなんだよね(笑)。変なことをやったり、突拍子もないことをやると、指導を受けたり孤独になるんだよね。そこを踏まえた上で、どうしたらいいかということなんだと思う。 おそらくお2人の話をうかがっていて、今日参加されている先生方は特に課題意識があ
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