東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン代表。東京大学大学院博士課程修了。専門は現代思想、表象文化論、情報社会論。93年に批評家としてデビュー、東京工業大学特任教授、早稲田大学教授など歴任のうえ現職。著書に『動物化するポストモダン』『一般意志2・0』『観光客の哲学』など多数 ※写真はイメージ(gettyimages) 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。 * * * 再生医療の未来が話題になっている。京都大が進めてきたiPS細胞備蓄事業への公的支援が打ち切られるらしいとの報道が出て、山中伸弥教授が抗議の記者会見を行った。国はいままでiPS研究に100億円単位の予算を投じてきた。それが急に断ち切られるのだという。 報道だけみると教授の抗議がもっともにみえる。しかし事態