処理水の放出により反日ムードが高まる中国から、日本各地に様々な嫌がらせが届いている。バッシングの中心にいる福島の漁港では、怒りを抱えながらも“その先”を冷静に見据える人々がいた。ジャーナリストの西谷格氏がレポートする。 【写真】反日ムードが高まる中国。生徒に処理水の危険性を説き、岸田批判の作文を書かせる中国の教師なども * * * 福島第一原発から半径50キロ圏内に位置する相馬市の松川浦漁港。大ぶりの鯛の下処理をしていた男性は中国について吐き捨てるように言った。 「俺たちも大変な思いをしているのに遊び半分でこんなことされてさ。一生恨むよ」 男性が憤るのは、処理水放出とほぼ同時に始まった中国からの集中的な迷惑電話だ。飲食店やホテル、公共施設など、“電話攻撃”の対象は多岐にわたる。福島県庁には1日で500件もの着信があり、職員たちは暴言を吐かれたり、大声でまくし立てられたりした。 地元の特産品
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生で食べるカキは、食あたりするかもしれないから不安──。そんな人に朗報だ。全国でオイスターバーを運営するゼネラル・オイスター(東京・中央)とグループ会社であるジーオー・ファーム(沖縄県久米島町)は8月、海洋深層水を用いて、食あたりしないカキの完全陸上養殖に成功したと発表した。3年後を目標に年間45万個のカキ生産を目指す。 「海洋深層水には、食あたりを起こすノロウイルスなどのウイルスが含まれない。海洋深層水を使って完全陸上養殖したカキは、生でも安心して食べられる」。ゼネラル・オイスターの吉田琇則社長はこう強調する。 同社は2014年から、カキの完全陸上養殖に取り組んできた。食あたりの主な原因となるノロウイルスが混入しない、完全陸上養殖の環境下でカキを成貝まで生育することに成功した。外部検査機関によるノロウイルス検査を実施し、成貝になったカキからノロウイルスが検出されなかったことを確認したとい
この海洋放出計画をめぐっては、今年7月に国際原子力機関(IAEA)が「国際的な安全基準に合致している」と評価した包括的な報告書を公表。これによって、科学的な安全性は担保される形となった。 しかし、8月22日に政府が海洋放出の具体的な日程を決定して以降、大手新聞社などは海洋放出の決定を批判する論調を強めている。背景にあるのは、海洋放出によって福島県近海で水揚げされた海産物などへの風評被害が強まることへの懸念だ。 たとえば、朝日新聞は8月23日付の社説で、8月21日に岸田首相と面会した全国漁業協同組合連合会(以下、全漁連)の坂本雅信会長が「反対」の立場を表明しているなかでの海洋放出決定を批判した。 また、日本の水産物の主要輸出先である香港と中国が、日本産水産物の輸入規制を強めているなかでの決定であったことも批判されている。日本産水産物の輸出先として4割以上のシェアを占める香港および中国は、日本
養殖サケの大量死事象(短期間に大量の養殖サケが死ぬ事象)が、2012年以降、ますます頻繁に発生するようになり、その規模も大きくなってきていることを報告する論文が、Scientific Reportsに掲載される。 今回、Gerald Singhらは、2021年に世界のサケの養殖生産量の92%以上を占めていた国々(ノルウェー、カナダ、英国、チリ、オーストラリア、ニュージーランド)について、2012~2022年の養殖サケの死亡個体数のデータを解析した。その結果、この期間中に8億6500万匹の養殖サケが死んでいたことが判明し、同期間を通じて、ノルウェー、カナダ、英国において死亡個体数の上位10%の大量死事象の発生頻度が上昇し、大量死事象で死亡する個体数の最大数が増加していたことが明らかになった。Singhらは、単一の大量死事象で失われる可能性のある個体数の最大値を、ノルウェーで514万匹、カナダ
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