歴史に名を残したリーダーと橋下氏を比較すると、何が浮かび上がってくるだろうか。橋下氏の掲げる改革は、1980年代にイギリスを「英国病」から立ち直らせたマーガレット・サッチャー元首相の政策と重なって見えるところが多い。サッチャー氏本人へのインタビューを含む当時の豊富な取材データから、落合信彦氏が「歴史のレッスン」を繙く。 * * * 1979年にマーガレット・サッチャー氏が英首相に就任した時、イギリスの社会・経済は“重い病”を患っていた。基幹産業の多くが国有化され、手厚すぎる社会保障制度が設けられた結果、労働組合の力ばかりが増し、全国で大規模なストライキが続出。税収はみるみる減り、財政赤字は膨らむばかりだった。かつて世界の覇権を握った大国の社会は疲弊しきっていた。 そんな中で就任したのが、イギリス史上初の女性首相、サッチャー氏である。 保守党の党首として「小さな政府」を掲げたサッチャー氏は、