大分県の教員採用試験における不正事件が物語るものは何か。それは先(ま)ず公立初中等学校の教員がその待遇、雇用の安定性、勤務の定型性などあらゆる面で大変恵まれた魅力的な職場で、当事者自身もそう認識しているという事実であり、次に文部科学省を頂点に教育委員会、大学の教員養成学部や日教組を包摂したいわゆる公的初中等教育界が、それを自らの利権として閉鎖的、ギルド的世界を築き上げているという現状である。 従ってこの事件は大分県の特定の個人の犯罪としてではなく、日本の公立初中等学校を広く蝕(むしば)んでいる病根の表象であると見なければならない。日本の教員の給与水準は欧米に比べても十分恵まれている上に、遠距離の転勤もなく、典型的な日勤勤務であるため夫婦共働きが容易である。つまり家計単位の収入は高く、それは年金生活となった定年後はさらに顕著となる。仲間内の利権として教員採用を囲い込もうとする今回の事件の動機