城攻めで重要なのが「兵站」の問題 城攻めの場合、強行に攻撃を仕掛けるか、あるいは城全体を包囲して補給路を断ち、干上がらせて、相手が音を上げるのを待つという戦法を取ります。とりわけ後者はいわゆる籠城戦となるわけですが、籠城する側もこれを攻めて包囲する側も、重要になるのが兵站の問題です。 守る側からすれば、城に立て籠るというのは、後詰めとして他から援軍が来るまで耐え忍ぶということが作戦のメインになります。ときには城から出て交戦したりしながら、相手の兵力を減らしつつ、防御施設としての城を巧みに利用しながら時間稼ぎをする。そうこうしているうちに、領内の別の城から味方の軍勢が加勢に来るとか、同盟関係にある別の国の領主が援軍を引き連れてやって来るとかして、敵を追い払う。基本的にはこのような流れになります。 攻める側からすれば、本書で繰り返し述べている通り、勝利の大原則とは「戦いは数である」ということで
1897年のダホメ王国の女戦士たち Photo: Chris Hellier / Corbis / Getty Images 近世、現在の西アフリカ・ベニンを支配したダホメ王国には、世界でも珍しく、女性だけで構成される軍隊があった。同国の植民地化で同軍も歴史から消え去ったが、女戦士たちの生きざまについて記録するプロジェクトが現在進んでいる。 【動画で見る】ダホメ王国の女戦士たち 女戦士たちに関するわずかな記録彼女の祖母は、人の頭をカーブした刃で切り落とすことができ、とげだらけの壁を越えることもできた。そして祖母は王を守るために一生を捧げた。 年老いた女性の語ったこれらの証言は、外国人探検家のメモにも記された。しかし、近代史唯一の女性だけの軍隊であるダホメ王国の女戦士たちについて、全体像を捉えることはできていなかった。 研究者たちは何十年もかけてヨーロッパや西アフリカの古文書を調べ上げ、フラ
「実際の別班メンバーに会ってみたい」という願い 自衛隊の現役幹部やOBに取材を継続していくと、別班というジグソーパズルのいろいろな形をしたピースが集まり、少しずつ絵が見え始めてきたという感じだった。しかし、集めたピースは、別班を知る関係者の証言と、かなり年配の別班OBらの証言に過ぎない。 「現役の別班員の声が聞きたい。その姿を見てみたい」 こうした欲求は、日増しに高まっていった。しかし、別班という組織の本拠地がどこにあるのかさえわからない。もちろん、別班本部の連絡先や別班員の携帯電話番号など、入手できるわけがない。 仲のいい防衛庁(防衛省)・自衛隊の情報畑の現役、OB幹部に仲介を懇願しても、「それは無理だ」「何を言っているんだ」と呆れられるだけだった。現役、OBたちの中には、個人的に現役別班員を知っている人もいたと思うが、なにせ非公然の秘密情報組織だ。記者に紹介するなんて、あまりにも危険な
※今だけ1巻が11円で販売してるので、ぜひ今のうちに買って読んでみてください! 昨日「ガールズアンドパンツァーリボンの武者」の感想を書きましたが、同作者の「まりんこゆみ」も紹介しておきます。この作品もかなり面白いです。 この作品では、日本の女子高生が海兵隊に入隊することを決意してアメリカに渡り ①「ブートキャンプ」に入って地獄の訓練を受け、 ②そこから化学部所属の下士官となり ③通訳任務、日本自衛隊への留学などを経て ④海兵隊将校になることを決意し、 ⑤通信教育で大学を卒業し、士官候補生学校(OCS)→基本技術学校(TBS)を経て海兵隊少尉になるところまでを描いています。 まりんこゆみ(1) (星海社コミックス) 作者: 野上武志,モレノ,A.出版社/メーカー: 講談社発売日: 2018/11/20メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る 難易度が極めて高い「異世界体験もの」と
英国発のアウトドアブランド「Snugpak(スナグパック)」のシュラフは、世界各国の軍隊に正式採用されるなど、こだわりの素材と繊維でデザインされるタフなプロダクト。 この度、こだわりの生地やスペックはそのままに、生産国を移すことでコスパを上げたモデル「SOFTIE ELITE(ソフティーエリート)」シリーズが登場した。 Snugpak「SOFTIE ELITE 3 Left Hand」 ¥19440 ソフティーエリートシリーズは、スナグパックが誇る高機能素材を採用したマミースタイルのシュラフ。 表地には引き裂きに強い高性能素材、リップストップPARATEX Microを採用し、靴のまま入って寝やすいように足元を補強し、靴型になっている。また、足元を折り返してフックで止めることもできるので、小柄な人でも足元に隙間ができない。 中綿にはスナグパック独自のSoftieを採用。縮毛加工の超極細ポリ
英国(イギリス)といえばヨーロッパにある島国ですが、他のヨーロッパ諸国とは色々な意味で「一味違う国」としてヨーロッパ諸国では知られています。かつては世界中に多数の植民地を持ち地球の1/4を支配する大英帝国として世界に君臨した国であり、現在でも国旗の左上に英国国旗を配した国を「グレートブリテン連合王国」と呼び、これらの国々はエリザベス女王を国家元首としています。オーストラリアやニュージーランドは現在でも連合王国の一員です。ですので、オーストラリアやニュージーランドの首相は今でもエリザベス女王には頭が上がらないのです。何しろかつてはアメリカ合衆国も英国の植民地だった位ですから、その凄さが分かります。単純に考えると「それだけ強い軍事力があるのだろう」と想像しますが英国の軍隊は詳細に調べてみると実に面白い事実が次々と出てくる、実は相当にユニークな軍隊なのです。現在の「最強国家」であるアメリカ合衆国
軍隊と事務とは、ねじれた関係が目に付く領域だ。海軍経理学校出身の父をもつ東大文学部教授の阿部公彦氏が、私家版として残された貴重な戦中の記録を元に、戦争のある側面をひもとく。新刊エッセイ『事務に踊る人々』(9月21日発売予定)に収録される「あとがき」から、先行公開! 家の庭の大きな穴 私の実家の庭には、直径七メートルくらいの大きな穴があった。縁は分厚くコンクリートで固められ、壁面には中に降りていくためのはしご段も設置されていた。水が湧くわけでもなかったが、子供たちはこの穴を「井戸」と呼んでいた。 この地域は行政区画としては横浜市だが、すぐそこは藤沢市という西端にあって、少なくとも私が小学生の頃は農地も多く、ベッドタウンというよりは住宅や団地や緑地が無秩序に隣接する丘陵地帯で、そこを古い細い街道が縫うように抜けていくのだった。 実家の庭は周囲に植え込みをめぐらせ、芝を張ったスペースは小学生がボ
みなさん、こんにちは。 プーのヤツが性懲りもなく、またまたバカげた大統領令に署名しちゃいましたね。 在外国民の保護に軍隊を使用できると規定された大統領令です。 まぁ、ウクライナ侵攻もコレを理由にしてましたから、後追いで法律作ったよ~!ってことなんでしょう。 コメントでは北海道が狙われてる!っていうのもありましたが、ちょと現実的ではないですよね。 それよりもNATO加盟が遅れているスウェーデンのように今後西側陣営に取り込まれそうな非同盟の国の方がヤバいと思うんですよ。 それでもやっぱり現実的じゃないですよね。 だって、ウクライナ侵攻ですらおぼつかないのに、いったいどこに攻め込むというんでしょう。 ですから、これって国内向けのプロパガンダなんだろうと思うんですよ。 合わせて、「ロシアを独特な「国家文明」と宣言し、単なる国家ではなく、ユーラシアと太平洋地域の強国として特別な地位を確立する」とか言
Enloe, Cynthia H. Maneuvers: The International Politics of Militarizing Women's Lives. University of California Press, 2000. フェミニズムの論客の一人であるシンシア・エンロー先生の著作を読んでみた。『策略』として日本語に訳されているが、これは抄訳である。日本が韓国やフィリピンで行った慰安婦や現地女性のレイプの問題が取り上げられている章や、私が読みたかった看護婦と軍隊を扱った章が訳されていないようである。慰安婦に関しては、日本が行ったことはもちろん、イギリス、アメリカ、フランス、韓国などが行った問題として各国の軍隊が売春のシステムを前線の直近に作ることが鋭く書かれているという印象を私は持った。ぜひお読みください! 軍隊の看護婦については、まずはクリミア戦争でのナイチンゲ
兵站(logistics)の目的は、軍隊が移動し、武装し、給養することを可能にすることにあります。政治的な目的を達成するために軍隊を運用する方法を指定する戦略(strategy)や、戦闘において個別の部隊をどのように展開、機動、運用すべきかを指定する戦術(tactics)に並ぶ第三の軍事学の中核的な研究領域であり、管理、補給、輸送、衛生、整備などの機能で成り立っています。 この記事では、兵站の基礎的な知識として兵站支援の3つの方式をまとめてみました。兵站学の研究課題がどのようなものか、なぜ軍事学においてそれが重要なのかを知りたい方のための内容です。 兵站支援の3つの方式軍隊は数万名、数十万名の兵士と、多種多様な武装を組み合わせた複雑な組織であり、それが戦地で整然と一つの計画に沿って行動できるようにするためには、さまざまな所要を満たさなければなりません。砂漠で戦うためには給水を考えなければな
中上健次の没後出版された『現代小説の方法』という本は、彼の講演をまとめたものだが、最後におまけのような形で、「中上健次氏の本棚──物語/反物語をめぐる150冊」という章があって、中上が選んだ150冊の本のリストが載っている。元々は、1984年に、「東京堂書店神田本店でのブックフェア用に配布されたパンフレット」に載っていたもののようだ。以下、そのリスト。 『古事記』(岩波文庫) 『宇津保物語』(『日本古典文学大系10~12』岩波書店) 『日本霊異記』(東洋文庫、平凡社) 『太平記一・二』(角川文庫) 『往生要集一・二』(東洋文庫、平凡社) 『神道集』(東洋文庫、平凡社) 『説教節』(東洋文庫、平凡社) 『謡曲集』(『日本古典文学大系40~41』岩波書店) 上田秋成『雨月物語』(旺文社文庫) 上田秋成「春雨物語」(『春雨物語・書初機嫌海』新潮社) 近松門左衛門「心中天網島」(『日本古典文学大系
大江健三郎の「政治少年死す(「セヴンティーン」第二部)」は、1961年『文學界』2月号に掲載されたが、右翼の抗議にあい、出版社側が謝罪したため、2018年7月に『大江健三郎全小説3』に収録されるまで、長らく単行本未収録の封印作品となっていた。 実は、鹿砦社から出た『スキャンダル大戦争2』という本に、深沢七郎の「風流夢譚」と一緒に無断で収録されていて、俺もそれを持っていたのだが、雑誌からのコピーをそのまま掲載しているので文字がかすれていて読みにくいうえ、いつでも読めるからという安心感から、長らく放置していたのだが、フォロワーがリツイートした下の大塚英志のツイートがきっかけで、再度興味を持つことになった。 大江健三郎が「政治少年死す」で引用している藤森安和の詩集「15才の異常者」。持ってたはずが発掘できす古本屋から取り寄せた。坂本龍一がラジオで突然朗読したりしたんじゃなかったか? pic.tw
太平洋戦争で日本が降伏を表明した後に召集令状を受け取り、軍隊生活を1週間送った男性が京都市にいる。男性は「知られざる歴史を語り残したい」との思いから京都新聞社に連絡を取り、秘話を証言した。 【写真】「なんであんな戦争をしたのか」98歳訴え 中京区の塩見英三さん(94)。京都市立第二商業学校を卒業後の1945年4月、日本の植民地だった朝鮮半島・京城(現在のソウル)にある運送会社に就職した。8月15日、会社で玉音放送を聞いたが、「ガーガーという雑音ばかりで戦争を続けるのか、降伏するのか分からなかった」。 会社前の京城駅に朝鮮人が次々と集まって解放を喜ぶ姿を見て、日本は負けたのだと分かった。そんなとき、社宅の知人から「巡査が召集令状を持って来た。早く帰っておいで」と連絡が入った。 「戦争は終わったはず。何かの間違いではないのか」。訳が分からないまま近くの陸軍兵事部に召集令状を持参すると、軍服に着
ロシアのウクライナ侵攻1年の式典のために整列したウクライナ兵(2月23日、英ソールズベリー近郊の訓練所)Toby Melville-REUTERS <ロシアのウクライナ侵攻から13カ月、過酷な戦闘経験を積み重ねてきたウクライナ軍は、現時点で世界で最も優秀な軍隊だと、オーストラリアの退役少将がお墨付き> ロシアとの戦争で、ウクライナ軍は現在世界で最も優秀な軍隊になった、とオーストラリア軍退役少将で軍事評論家としても知られるミック・ライアンは語った。 ライアンは2月23日にウクライナの英字紙キーウ・ポストのインタビューに応じ、ロシアとの戦いにおけるウクライナ軍のさまざまな特徴や、ミサイル防衛、ドローン防衛、前線戦闘部隊など、多方面にわたる能力がいかに発揮されたかを語った。 「私の見解では、ウクライナ軍は現時点で世界最高だ」と、ライアンは断言した。「これは臆測ではなく、事実だ。彼らは世界で最高の
ロシアが隣国ウクライナへ軍事侵攻を続けている。激しい戦闘により、民間人にも多くの犠牲者が出ている。終結の兆しが見えないこの戦争を、作家の甘糟りり子さんはどう見ているのか。 【写真】幼少期の娘を抱くプーチン氏の発掘写真 * * * 第三次世界大戦が始まってしまうのだろうか。そんなことを現実に心配する日がやってくるとはついこの間まで思わなかった。 ニュース番組でウクライナの80歳の男性が銃を手にしている場面を見た。他にも、市民がロシアの戦車に向かって火炎瓶を投げつけたり、女性が銃の訓練をしている様子などが連日、報道されている。銃を持つ女性の爪に施された真っ赤なネイルカラーが印象に残った。 ゼレンスキー大統領は市民にも武器を持つよう呼びかけているという。 SNSでは市民が戦争に参加することを美談のように報道していいものかという声もいくつか見かけた。戦争に加担することは決して美談ではない。だが、あ
経済の動きを追っているだけでは、ビジネスの本質をつかむことは出来ない。 歴史、伝統、自然、カルチャー…… 一見無関係に見える多様な知識・知恵をつなぐことで、見えてくる新たな境地がある。 建築業界の第一線を征く著者が語り尽くす、仕事に活かせる実践的教養集。 紀貫之と日本語の欠陥 紫式部の源氏物語はある意味で土佐日記とは対照的です。紫式部は男性主人公の物語を仮名、つまり女性の文体で描きました。女性作者が「女性の文体」で男性の論理を語ったわけです。 小説家であり古典文学の現代語訳と二次創作でも有名な橋本治は、そんなわけで男性一人称語りに翻訳して「窯変源氏物語」を書き直したのだそうです。 「女が漢字を多用して文章を書けば、「女らしくない、教養をひけらかしている。」という非難がやってくる」時代の作品である「『源氏物語』が、実は、漢文のレトリックで書かれたものである……」(橋本治『ぬえの時代』79ペー
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