藤岡毅さん。59歳。「介護保障を考える弁護士と障害者の会全国ネット(介護保障ネット)」の共同代表で、東京弁護士会高齢者・障害者の権利に関する特別委員会福祉制度部会長を務める。 粘り強く、膨大な手間をかけた証拠集めと熱のこもった弁論で、裁判官や行政の判断を動かしてきた。 今の日本では障害があると、社会の様々な壁に阻まれる。家族が介護を背負い込むことになったり、病院や施設で生涯を送ることになったりすることも多い。社会の冷たい空気や家族の負担を考えて、生きる意欲さえ奪われることもある。 「でも、拳を振り上げて理不尽な社会の壁をどうにかしようという自覚を持ってやっているわけではない。自分にとって当たり前のことをただやっているだけなんです」 大学を中退し、ビル清掃員をしながら7回の司法試験受験で弁護士になった。回り道をしながら出会った何が、藤岡さんを今の場所に導いたのだろうか。 障害児殺しを「無罪」