最大震度7を観測した能登半島地震は8日、発生から1週間が過ぎた。建物の倒壊や土砂崩れ、津波によって多くの人が犠牲になった。生き残った被災者も厳しい冷え込みの中、過酷な避難生活を余儀なくされている。 それは一瞬の出来事だった。能登半島の突端・石川県珠洲市の海辺の集落に、津波が押し寄せた。一緒に逃げたはずの夫はいつの間にかはぐれ、1週間が過ぎたいまも行方が分からない。「波にさらわれてしまったのか。早く見つかってほしい」。残された家族は毎日、祈り続けている。 「大好きな魚のことになるとこだわりが強くて、周囲が面倒になるほど。子供らには『もっと知識をつけろ』と。厳しいようで優しい夫です」。自宅のあった珠洲市宝立町鵜飼地区の避難所に身を寄せる濱市正子さん(54)は、行方不明となった漁師の夫鉄次さん(54)の写真に目を落とした。