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  • 日本人の7人に1人が「原爆投下は仕方ない」と答えてしまう根本原因 公文書が示すGHQが仕掛けた心理戦

    原爆投下への怒り、憎しみをそぎ落とす心理戦 占領中にGHQは日本に対してさまざまな形での心理戦を行なっていました。検閲の他に有名なものとしてはウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)が挙げられます。WGIPとは、日本人に先の戦争に対して罪悪感を植えつけ、戦争責任を負わせるために行った心理戦の名称です。 これによって実際に日本人の心には広く「自虐バイアス」と「敗戦ギルト」とでもいうべき思考が植えつけられました(この心理戦の全貌については、新著『日本人はなぜ自虐的になったのか』に詳述しています)。 このWGIPの目的の一つは、原爆投下への怒り、憎しみを日本人が持たないようにすることでした。これは第一次資料からも確認できます。アメリカの公文書(WGIP文書)の中には、その目的の一つとして、「一部の日本人およびアメリカ人が、原爆の使用は『残虐行為』であると考える傾向をなくすこと」

      日本人の7人に1人が「原爆投下は仕方ない」と答えてしまう根本原因 公文書が示すGHQが仕掛けた心理戦
    • 国立国会図書館デジタルコレクションで大半のGHQ焚書が閲覧できるようになりました

      国立国会図書館が、令和4年5月19日から「個人向けデジタル化資料送信サービス」を開始した、とのプレスリリースがでています。 このサービスの開始により、国立国会図書館のデジタル化した資料のうち、絶版などの理由で入手困難となっていた152万点もの書籍などが、個人のパソコン、タブレット、スマホなどで読むことが可能となりました。 戦前・戦中に出版された本の大半がこのサービスにより自宅など、Wifi環境のある場所で閲覧できるようになります。GHQ焚書については3分の1程度がネット公開されているだけですが、このサービスを利用すれば、デジタル化されている大半の書物が閲覧可能となります。 閲覧ができないGHQ焚書は、 (1)国立国会図書館に蔵書がない (2)蔵書があってもデジタル化されていない (3)デジタル化されているが、従来より国立国会図書館でしか閲覧できない書籍 のみとなります。 但し、このサービス

        国立国会図書館デジタルコレクションで大半のGHQ焚書が閲覧できるようになりました
      • 『ナチスのユダヤ政策』(昭和16年刊:GHQ焚書)を読む~~その4

        その後の悪性リンパ腫の治療とブログ再開について 昨年11月に悪性リンパ腫(びまん性大細胞型b細胞リンパ腫)の治療のために入院したが、今年1月上旬に私自身が院内で新型コロナに感染したために隔離病棟に移され、さらに細菌感染症に罹ってしまった。高熱がかなり長い間続き、隔離病棟に於ける闘病生活が3月下旬まで続いた。長い間ブログの更新が出来なかったのは、上記の理由による。ようやく細菌感染症が快復したと思ったら今度はPCR検査をなかなかクリアできない。相部屋は新型コロナの感染者ばかりで部屋の換気にも問題があったため、簡単にはPCR検査は陰性にならなかった。 しかしながら、隔離病棟に長く留まっていては進行性の早いリンパ腫がまた大きくなり、小さくするために3週間ごとに抗がん剤の点滴を繰り返しては体力が消耗してしまい、今回の入院の目的である新薬の治療効果にも悪影響を与えることになる。 3月下旬に直前の抗がん

          『ナチスのユダヤ政策』(昭和16年刊:GHQ焚書)を読む~~その4
        • GHQが焚書処分した「地政学」の本に何が書かれているか~~小牧實繁『地政学上より見たる大東亜』

          「地政学」は、地理的な環境が国家に与える政治的、軍事的、経済的影響を、巨視的な視点で研究する学問だが、戦前・戦中には多くの著作が出版されていたものの、戦後GHQにより、日本人の著作だけでなく外国人の著作までもが没収処分されている。さらには公職追放で多くの研究者が排除されてしまい、それ以降この分野の研究は、わが国では永い間タブーとされてきたようだ。 小牧實繁はわが国の「地政学」のパイオニア的人物で、彼の著作7点がGHQにより焚書処分されている。今回はその中から『地政学上より見たる大東亜』という著作の一部を紹介したい。 太平洋を環るアジア、アメリカ、オーストラリアなどのいわゆる環太平洋地域は、悠遠の古(いにしえ)より、アジア民族、その他白人ならざるいわゆる有色人種の生活空間として存在してきたのである。ヨーロッパ人の進寇以前、アメリカ大陸の主人公であったかのアメリカ・インディアンの如きも、実は古

            GHQが焚書処分した「地政学」の本に何が書かれているか~~小牧實繁『地政学上より見たる大東亜』
          • 「GHQ焚書 全リスト」その25 ほ~まんけ

            GHQ焚書の全リストの第二十五回目で、今回はタイトルが「ほ」から「まんけ」で始まるGHQ焚書全リストに国立国会図書館のURLを付記してまとめたものである。 このリストの本の中で、以前このブログで採り上げたことのある書籍は以下のとおりである。 GHQが焚書処分した「北進論」「南進論」関連書籍~~安達謙蔵『北進図南』昭和十六年(1941年)六月に、ドイツが独ソ不可侵条約を破ってソ連に侵攻すると、当時の近衛内閣では、四月に締結された日ソ中立条約を破棄してでも同盟国としてソ連と開戦すべきとする松岡洋右外務大臣と近衛文麿首相との間で閣内対立が起きている。近衛...shibayan1954.com2022.03.23 北方領土に関する書籍の多くがGHQによって焚書にされている~~『北進日本人』『守れ!権益 北方の生命線』千島や樺太に関する書物を「国立国会図書館デジタルコレクション」で探していると、思っ

              「GHQ焚書 全リスト」その25 ほ~まんけ
            • 『日本を予言す』(GHQ焚書)を読む その4

              洗練されていないわが国の宣伝戦対応 ロンドン軍縮会議でイギリスの仕掛けた宣伝戦を報じる大阪毎日新聞 「神戸大学新聞記事文庫」軍事(国防)39-145 「宣伝戦」対策で、連合国主要国は第一次大戦勃発後に対外宣伝のための機関を組織したのに対し、わが国は支那事変勃発後「内閣情報委員会」を「内閣情報部」に格上げした程度で、この組織は対外宣伝ではなく対内宣伝に従事するものであったという。わが国では対外宣伝は「外務省情報部」の担当で、陸軍省の「新聞班」も海軍省の「軍事普及部」その他諸省に宣伝担当部門があったが、主たる業務は対内宣伝であったという。 また外国に対する「宣伝戦」の原則の一つに、相手国によって宣伝内容を変えるというのがあるのだが、イギリスはわが国に対しては、「興奮しやすい日本国民だから、刺激を与えてはならない。」という方針で臨み、支那に対しては「支那人の特性に呼び掛けるように、利害関係から事

                『日本を予言す』(GHQ焚書)を読む その4
              • 中国は満州事変をどう伝えたか~~大泉忠敬『支那新聞排日ぶり』(GHQ焚書)を読む その1

                以前このブログで、「国立国会図書館デジタルコレクション」で「個人向けデジタル化資料送信サービス」の手続きをすることにより、GHQ焚書の大半が自宅のPCなどで読めるようになったことを書いたが、このサービスの手続きをすることで閲覧できるようになったGHQ焚書のなかから、読者の皆さんにとって興味深いと思っていただけそうな本を今後紹介させて頂きたいと考えている。 今回は昭和六年に先進社から刊行された大泉忠敬『支那新聞排日ぶり』という本を採り上げることにしたが、お隣中国の排日・抗日状況については戦前戦中に多くの本が刊行されており、少なからずの作品がGHQで焚書処分されている。 編著者の大泉忠敬については、東京日日新聞社経済部長の杉山幹が記したこの本の序文に「第一外国語学校教授たる大泉君、若き支那研究科である」と書かれているのだが、「近代文献人名辞典」で調べても「生没年不詳」と著書にこの本が記されてい

                  中国は満州事変をどう伝えたか~~大泉忠敬『支那新聞排日ぶり』(GHQ焚書)を読む その1
                • 学術会議はGHQのつくった「学問の戦後レジーム」(アーカイブ記事)

                  学術会議法改正案の閣議決定が見送られ、民営化が再検討されるようです。2020年10月12日の記事を再掲します。 学術会議法は「学界の新憲法」 学術会議をめぐる議論が迷走している。もともと内閣が諮問機関の人事をその機関に白紙委任することはありえないので、民主的統制のまったくきかない従来の運用が異常であり、今回はそれを正常化しただけだ。 この異常な運用の背景には、学術会議法が学問の世界の新憲法だった歴史がある。戦前には日本学士院と学術研究会議があったが、戦争に協力した学術研究会議は解散され、幹部は公職追放になった。それを総理府所轄の政府機関として再建したのが日本学術会議だった。元会員の生駒俊明氏(東大名誉教授)はこう書いている。 日本学術会議は、戦後間もない時期にGHQが日本の「軍国主義」を廃絶し「民主主義」を根付かせるために、学者を組織し学界を日本社会の思想的バックボーン形成の中心に据えよう

                    学術会議はGHQのつくった「学問の戦後レジーム」(アーカイブ記事)
                  • GHQが焚書処分した田中喜四郎の政治詩集を読む~~その1 『戦争と戦争』

                    GHQが焚書処分した詩集や句集には戦意高揚させるような作品が多いのだが、世界情勢や国内の情勢について記された詩集も存在する。今回は田中喜四郎という人物が著した『戦争と戦争』の中から、いくつかの作品を紹介させていただくこととしたい。 著者の田中喜四郎についてはネットで検索しても経歴など詳しいことはよくわからないのだが、戦前には多くの詩集や句集を出しており、戦後も『ここは寂しき処』『苦悶の花』などの詩集を出している。戦後の著書の奥付に簡単な略歴が書かれていて、彼は広島市天神町に生まれて、明大英法科、東洋大哲学科、早大英文科に学んだことと、いくつかの作品が列記されているのだが、その中にはGHQに焚書処分された二冊の詩集はなぜかカットされている。 英国の人道主義 あまり長文の作品の紹介は難しいので、簡単に読める作品を案内させていただく。最初に紹介するのは「英国の人道主義」である。 英国の労働党よ

                      GHQが焚書処分した田中喜四郎の政治詩集を読む~~その1 『戦争と戦争』
                    • 満州事変後の中国の世論工作~~大泉忠敬『支那新聞排日ぶり』(GHQ焚書)を読む その2

                      満州事変直後、ソ連もアメリカも出兵したと報じた中国 今もお隣の国の報道をそのまま信用することは危険だが、その点については昔も同様で、この国の新聞は平気で世界に嘘情報をまき散らす。満州事変が勃発したのは昭和六年九月十八日の夜だが、その直後に支那の新聞が報じていた内容は興味深いものがある。 支那側が、事件発生するや早くも、世界各国にまことしやかなデマを飛ばし、自国側を有利な立場に導いたことは前に記したところであるが、その後各国が如何に暴日に憤慨し、支那に同情を与えたかを記し、一は益々外国をして日本を牽制せしめ、一は国内に向かって政府の正義、悪逆日本を宣伝し、排日の気勢を煽ることにつとめた。遂には米国、露国の出兵記事とまでなって表れるに至った。 (九月二十一日民国日報) ◇ソヴィエトロシア出兵。鉄道守備の準備を開始す。 (天津発電) マンチュリ来電、ハルピン消息に拠れば、×××のソヴィエトロシア

                        満州事変後の中国の世論工作~~大泉忠敬『支那新聞排日ぶり』(GHQ焚書)を読む その2
                      • GHQに焚書処分された神道関連書籍~~山田孝雄 『神道思想史』

                        彼らは、日本軍が命を惜しまず戦ったのは日本人がカルト宗教に精神が汚染されているからだと考えており、その論理的帰結として、神道の教義が書かれているテキストの頒布の禁止を禁止し、「大東亜戦争」、「八紘一宇」という用語や、国家神道、軍国主義、過激な国家主義と切り離せないものは使用禁止とすることを、神道指令の中に明記しているのだ。 普通の日本人なら神道の中にカルト宗教的な危険な要素があるとは思わないと考えるのだが、彼らは「神道が国家から分離され、教育体制から除去されるまでは、神道が軍国主義、超国家主義イデオロギーを宣布するための機関として使われる危険性が常に存在する」(同上書p.69)と信じ込み、国家神道の廃止の命令まで受けていたのである。 そのため、GHQが焚書処分した神道関連書籍は意外と多く、『神祇に関する制度作法事典』のような作法中心に書かれた本までが焚書されているのだ。 今回はGHQ焚書の

                          GHQに焚書処分された神道関連書籍~~山田孝雄 『神道思想史』
                        • 日露戦争のあと隻脚の僧侶となった市川禅海の『残花一輪』~~GHQが焚書処分した明治期の著作7

                          市川禅海(いちかわ ぜんかい)という人物の経歴がコトバンクに記されている。明治十六年に長野県中込村(現・佐久市)に生まれ、明治三十六年に海軍兵学校を卒業後、「日露戦争に参戦して負傷し、片足を切断する。明治四十二年剃髪し、修行のかたわら各地を巡回して講演する。著書に戦争記録文学である『残花一輪 発心録』などがある」とある。 今回紹介させて頂く『残花一輪:発心録』は、明治四十三年に啓成社から出版された本で、この本は昭和四年に戦記名著刊行会から刊行された『戦記名著集 : 熱血秘史. 第1巻』及び昭和十四年に潮文閣から刊行された『戦争文学全集 第2巻』に収められて、この二点がそれぞれGHQによって焚書処分されている。 市川は日露戦争で戦艦初瀬の乗組員となり、互いに死を誓い合った戦友が二人いた。一人が梶村候補生で、もう一人が鈴木候補生である。 しかしながら第一次旅順口攻撃の際に梶村候補生は戦死を遂げ

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                          • ghq - リモートのGitリポジトリをまとめて管理

                            MOONGIFTはオープンソース・ソフトウェアを紹介するブログです。2021年07月16日で更新停止しました GitHubのコードをよく使っているので、ローカルのストレージのあちこちにリポジトリが散在してしまっています。同じリポジトリを別な場所でクローンしているケースも少なくありません。 そんな状態を防ぐのに使えそうなのがghqです。リポジトリをまとめて一つのディレクトリ配下に置いてくれます。 ghqの使い方 ghqはGoのようにgetコマンドでリポジトリを取得します。 $ ghq get git@github.com:online-meetup-dev/online-meetup-dev.github.io.git clone ssh://git@github.com/online-meetup-dev/online-meetup-dev.github.io.git -> ~/ghq/g

                              ghq - リモートのGitリポジトリをまとめて管理
                            • GHQが焚書処分した「共産主義」「共産国」に否定的な書籍~~中保与作『赤色アジアか防共アジアか』

                              チャールズ・ウィロビーはダグラス・マッカーサー大将の情報参謀で、戦後は連合国軍最高司令官総司令部参謀第2部 (G2) 部長として対日謀略や検閲を担当した人物だが、彼の回顧録に、1947年4月23日付でウィロビーが纏めさせマッカーサー最高司令官に提出した『総司令部への左翼主義者の浸透状況』というマル秘レポートが掲載されている。このレポートに、ソ連に近い人物がGHQに多数いたことが記されているので紹介したい。 総司令部の各部局に在職している外国分子を統計的に分析してみると、ソ連またはソ連衛星国の背景をもった職員の割合がかなり高い。GHQに雇われている(無国籍者を含む)304人の外国人のうち、最大グループを形成する28%(85名)はソ連またはソ連衛星国の出身である。そのうち42名はソ連の市民権の持ち主である。通常の治安概念からみれば、このグループは事実上の脅威となるはずである。ことに最近ソ連は、

                                GHQが焚書処分した「共産主義」「共産国」に否定的な書籍~~中保与作『赤色アジアか防共アジアか』
                              • GHQ本部 - 記憶と記録

                                立派な建物には共通した特徴がある。柱が太いことと、玄関扉が大きいことだ。実用性ではない。無駄な大きさは、装飾性なのだ。 旧GHQ本部も立派な建物である。 旧GHQ本部 旧GHQ本部として知られているこのビルは、どう撮っていいのか分からなかった場所です。立派な建物なのですが、その立派さをどう写真で表して良いのか分からなかった。 今回は、柱の太さと玄関扉の大きさで、建物の立派さを表現しようと試みました。 使用機材 FUJIFILM ミラーレス一眼 X-T2 FUJIFILM 単焦点標準レンズ XF35mmF1.4 R お題「カメラ」

                                  GHQ本部 - 記憶と記録
                                • 「GHQ焚書 全リスト」その11  しに~しょ

                                  GHQ焚書の全リストの第十一回目で、今回はタイトルが「しに」から「しょ」で始まるGHQ焚書全リストに国立国会図書館のURLを付記してまとめたものである。 このリストの本の中で、以前このブログで採り上げたことのある書籍は以下のとおりである。

                                    「GHQ焚書 全リスト」その11  しに~しょ
                                  • 『映画戦』(GHQ焚書)を読んで、第二次大戦前の宣伝戦、思想戦、情報戦を知る

                                    戦争は最後は武力によって勝敗が決まるものだが、武力に優位性がある方が戦争に勝利するとはかぎらない。もし他国から思想戦、宣伝戦、情報戦等が仕掛けられて国民が分断されたり国民の戦意が乏しくなっていては、そもそも勝てるはずがないのだ。そのような工作は古くから存在し、特に動画に音声を吹き込まれるようになってからは、映画が国民の啓蒙や、他国に対する工作に積極的に用いられるようになった。今回は津村英夫著『映画戦』(朝日新選書 ; 13)という本を紹介したい。 平和な時代に思想戦の武器として映画が用いられるようになった 第一次世界大戦および第二次世界大戦に於いて、思想戦・情報戦がいかに行われたかについて『映画戦』には次のように記されている。 前大戦(第一次世界大戦)では公然の思想戦武器として最も活躍したのは新聞紙および通信事業であり、雑誌による政治評論などであったが、当時の英国は有名なる海底電線網を世界

                                      『映画戦』(GHQ焚書)を読んで、第二次大戦前の宣伝戦、思想戦、情報戦を知る
                                    • GHQが焚書処分した「近代」「現代」をタイトルに含む本~~平野零児『近代戦の正体』

                                      最初に昭和十二年に出版された平野零児 著『近代戦の正体』という本の一節を紹介したい。文中の「世界大戦」というのは、今でいう「第一次世界大戦」のことであるが、非常に重要なことが記されている。 世界大戦は、武力のほかに「見えざる力」思想のプロパガンダ戦があることを教えてくれた。 大戦の終末とともに、武力戦は一応完了したようであったが、各国とも平時の思想戦の必要を大いに感じて、プロパガンダによって「見えざる力」の戦いをさらに熾烈なものとした。 物の相牽制し合うときは、その力は弱い。しかし、各国とも旗印こそ違え、飢えたる狼のように、欧米の大戦参加国は、牙を鳴らして、東洋、殊に日本にとびかかったのである。 日本へ大戦末期から大戦後にリベラリズム、デモクラシー、ソシャリズム、コミュニズム、などの思想がどんどん入ってきて、思想の氾濫時代を来たしたが、これは白人列強が日本の内部衰弱を企てた現れであるといわ

                                        GHQが焚書処分した「近代」「現代」をタイトルに含む本~~平野零児『近代戦の正体』
                                      • 小牧実繁 著『地政学上より見たる大東亜』(GHQ焚書)を読む~~1

                                        戦後の長きにわたりタブー視されてきた「地政学」 「地政学(geopoliics)」という学問は、民族や国家の特質を、主として風土・環境などの地理的空間や条件から説明しようとする学問であるが、小牧実繁は戦前・戦中においてこの分野で活躍した代表的地政学者で、『地政学上より見たる大東亜』を著した昭和十七年当時は京都帝国大学文学部の教授であった。 小牧実繁(京都大学大学文書館 所蔵資料検索システム) しかし終戦直後に小牧のほか国内の地政学者の多くが公職追放処分を受け、小牧の著書も七点がGHQにより焚書処分されてしまっている。小牧は昭和二十六年に追放解除となり翌年に滋賀大学教授に就任し、後に滋賀大学長に就任しているが、戦後の著作は『近江国見聞録 : 伝承を訪ねて五十年』のほかは、『人文地理学』や『城南宮史』『新大津市史』を編纂した程度で、戦後は地政学に関する著作を一冊も残さなかった。このことは、GH

                                          小牧実繁 著『地政学上より見たる大東亜』(GHQ焚書)を読む~~1
                                        • ポーツマス会議全権随員・本多熊太郎の「講和外交秘話」を読む~~日露戦争に関するGHQ焚書2

                                          日露戦争に関するGHQ焚書リストの中に、時事新報社 編『日露戦争を語る. 外交・財政の巻』(昭和10年刊)という本がある。日露戦争の重要な交渉や会議などに関わった人物が、当時のことを回想して記した文章をまとめた本なのだが、簡単に目次と筆者の当時の経歴を列記すると 「戦前外交」・・・栗野慎一郎(当時駐ロシア公使) 「三十年前の非常時財政」・・・阪谷芳郎(当時大蔵次官) 「募債苦心談」・・・深井英五(当時日本銀行秘書役) 「ロシアの背後より戦争を見る」・・・秋月左都夫(当時スウェーデン公使) 「講和外交秘話」・・・本多熊太郎(当時講和会議全権随員) 「ロシアから日本を観る」・・・ローゼン(当時ロシア駐日公使、後ポーツマス会議全権) で、いずれも興味深い話ばかりである。 冒頭で本多は、ポーツマス講和会議の特異性について触れている。ちなみに、文中の「欧州大戦」とは「第一次世界大戦」、「小村さん」は

                                            ポーツマス会議全権随員・本多熊太郎の「講和外交秘話」を読む~~日露戦争に関するGHQ焚書2
                                          • 世界16ヶ国に翻訳された櫻井忠温の名著『肉弾』~~GHQが焚書処分した明治期の著作4

                                            旅順の価値 日露戦争の主戦場は満州であるため、わが国は大陸に兵員や武器弾薬および食糧を送り込む必要があり、制海権を確保しなければ戦えない。ロシア極東艦隊の根拠地は旅順港であり、ロシアはその地に難攻不落の要塞を築き、数多くの砲台が設置されていたために、日本海軍は旅順港に容易には近づけなかった。そこで三回にわたり旅順港封鎖を試みたがうまくいかず、陸軍に旅順要塞攻撃を要請したのである。少し補足すると、旅順は遼東半島の西に位置し、日清戦争のあとの下関条約で遼東半島は日本の領有が決定したのだが、露仏独の三国干渉によりわが国は遼東半島を清国に返還した。しかしながら、その後ロシアが、三国干渉の報酬として清国に対して遼東半島を奪い取り、旅順港を極東艦隊の根拠地とし、周囲に要塞を建設してきた経緯にある。 櫻井は本書に旅順要塞について次のように述べている。 日清戦役以来、旅順口なる名は、世界の注目する所となり

                                              世界16ヶ国に翻訳された櫻井忠温の名著『肉弾』~~GHQが焚書処分した明治期の著作4
                                            • GHQが焚書処分した「大東亜」「東亜」という文字を含む書籍~~小牧実繁『地政学上より見たる大東亜』

                                              第二次世界大戦の終戦までは「大東亜戦争」という呼び名であった戦争は、GHQによって「太平洋戦争」という呼び名に書き換えられた。そればかりではない。GHQは「大東亜戦争」という言葉は「戦時用語」として使用を禁止し、現在もマスコミなどではこの戦争を「大東亜戦争」と呼ぶことが、ほとんどタブーにされているかのようである。 さらにGHQは「大東亜」「東亜」という文字を含む書籍の多くを没収・処分し、戦後の日本人に読めなくさせている。今回は「GHQ焚書リスト」から、タイトルの中に「大東亜」という文字を含む書籍をリストアップしてみたのだが、該当する本は全部で340点あり、そのうち123点が「国立国会図書館デジタルコレクション」でネット公開されており、誰でも無料で読むことが可能だ。 「大東亜戦争」も「太平洋戦争」も同じ戦争の呼称なのだが、GHQが「大東亜戦争」という言葉の使用を禁止した理由は、おそらく「大東

                                                GHQが焚書処分した「大東亜」「東亜」という文字を含む書籍~~小牧実繁『地政学上より見たる大東亜』
                                              • GHQが戦後の日本人に封印したオーストラリアの歴史書など~~宮田峯一『濠洲連邦』

                                                GHQの焚書リストを見ていると、なぜこんなテーマの書籍を没収廃棄を命じたのかと思われるタイトルの本がかなりあるのだが、オーストラリアに関する歴史書がなぜ封印されたかについては、実際に読んでみるとよく理解できる。多くの焚書本に書かれていることは、戦後の日本人にほとんど知らされていない重要な歴史的史実のオン・パレードなのである。その歴史的事実とは、多くの場合戦勝国であるイギリスにとって都合の悪い真実である。 GHQ焚書は、3割近くが「国立国会図書館デジタルコレクション」でネット公開されているのだが、ネット公開されていない本を紹介したい。 たとえば宮田峯一著『濠洲連邦』はこう記されている。 従来英国は刑法によって囚徒をアメリカに送っていたが、アメリカ独立後それを停止するに至った結果、起こった問題だった。 十八世紀には、大多数の囚徒をアメリカ植民地に送るのが慣習であって、1717年から独立戦争まで

                                                  GHQが戦後の日本人に封印したオーストラリアの歴史書など~~宮田峯一『濠洲連邦』
                                                • 「GHQ焚書 全リスト」その5 き

                                                  GHQ焚書の全リストの第五回目で、今回はタイトルが「き」で始まるGHQ焚書全リストに国立国会図書館のURLを付記してまとめたものである。 このリストの本の中で、以前このブログで採り上げたことのある書籍は以下のとおりである。 骨抜きされた木戸孝允の「版籍奉還論」  教科書などでは明治維新がスムーズに行われたかのように描かれているのだが、幕府が倒れて政権が朝廷に戻ったといっても当初において朝廷は軍隊を持っておらず、戊辰戦争の征東軍は勤王諸藩から兵を借りて、藩の軍費...

                                                    「GHQ焚書 全リスト」その5 き
                                                  • 満州国を攪乱したソ連と支那共産党~~『少年満州事変と上海事変』(GHQ焚書)を読む4

                                                    ソヴィエト連邦の極東政策 今回も『少年満洲事変と上海事変』の文章を紹介したい。満州国が建国されたのち、極東の情勢がどのように変わったかについて、戦後出版された教科書などにはあまり記されていないのだが、昭和11年に青少年向けの本に書かれていることは、当時の日本人の多くが同様な認識に近いものではなかったかと思う。この時期にソヴィエト連邦がどのような動きをしたかについて、本書にはこう記されている。 ソヴィエト連邦の極東政策は、その歴史は古くて、ピーター大帝までさかのぼることが出来るのであります。 ことにロシアは、世界大戦*中ににわかに革命が勃発して帝政が覆されてしまい、三百年のロマノフ朝が滅亡して共和政治となりました。そして国の名もソヴィエト社会主義共和国連邦というような、非常に長いものに代わってしまったのでありましたことは、読者の大部分が既に御存知のことと思われます。 この「ソヴィエト社会主義

                                                      満州国を攪乱したソ連と支那共産党~~『少年満州事変と上海事変』(GHQ焚書)を読む4
                                                    • GHQに焚書処分された英国関連書籍~~松井賢一『打倒英国』

                                                      GHQは戦後の日本人に読めないように、市場で流通していた7千点以上の書籍を没収廃棄したが、その中身を見ると外国に関するものが大量に存在する。これ等の書物には、戦勝国にとって都合の悪い史実が満載で、多くの人に読んで頂きたい本がかなりある。 今回は本のタイトルに「イギリス」「英(国)」を含む書籍をリスト化したが、その中から松井賢一 著『打倒英国』という本の一部を紹介したい。 ここに於いて、われ等のもっとも要心堅固なるを要するは、英国の伝統的悪辣政策「デバイド・エンド・ルール」すなわち「仲間割れをさせ、それに乗ぜよ」という方針である。出来るだけ相手方の内輪で争闘を起こさせ、しかして、英国に立ち向かうことを不可能ならしめるように、相手国の内部を攪乱することを目的とする英国外交の秘訣である。試みに英国の外交史を見よ。そこには、このわれ等の提言を裏書きするに足る幾多の事例は数えきれないものがある。試み

                                                        GHQに焚書処分された英国関連書籍~~松井賢一『打倒英国』
                                                      • ジンギスカンについて書かれた絵本がGHQに焚書処分されている

                                                        GHQの焚書リストの中には、小学校低学年向けに書かれたと思われる絵本が少なからず存在する。今回紹介させていただくGHQ焚書は昭和十九年に刊行された『ジンギスカン』という絵本なのだが、わが国の偉人の伝記でもなく、蒙古帝国を築いた英雄について書かれた絵本がなぜ焚書処分されたのだろうかと誰でも考えると思う。本文は、当時の尋常小学校の教科書のように、カタカナと平易な漢字で書かれているのだが、読みやすいようにカタカナをひらがなに変え、地名ややさしい表現は漢字に変えて、内容の一部を紹介させていただく。 母の教え 昔から世界にできた国の中で、蒙古帝国ほど土地を広く持っていた国はありません。 ジンギスカンは、その蒙古帝国を創った人です。 ジンギスカンは今から七百八十年ほど前、蒙古のオノン川の近くで生まれました。その時手には血のかたまりを握りしめ、目は火のように輝いていたといいます。はじめ名前をテムジンと付

                                                          ジンギスカンについて書かれた絵本がGHQに焚書処分されている
                                                        • なぜGHQが水戸学の研究書を戦後の日本人に封印したのか~~高須芳次郎 『水戸学講話』

                                                          前回の「歴史ノート」で水戸藩の廃仏毀釈のことを書いた。水戸藩は幕末期に藩主・徳川斉昭が、水戸学の立場から強硬な尊皇攘夷論を唱え、大砲を作るのに梵鐘や仏像などを鋳つぶしているのだが、GHQは水戸学の研究書の多くを焚書処分している。なぜGHQが、江戸時代の思想研究書を危険視したのであろうかと誰でも思う。 高須芳次郎著 『水戸学講話』に、水戸学が尊皇攘夷を主張し排仏を唱えた理由について次のように記している。 水戸学派では、一時、皇室の不振に陥った朱印を仏教の跋扈にありとしたので、相当に手強くこれに排撃を加え、更にキリスト教が侵略の手先の如く欧米人に利用せられていることに大きい不満を抱いて、最も弁難に努めた。…<中略> 烈公(徳川斉昭)は、インド精神を象徴するものとして仏教を斥け、西洋の侵略心を伴うものとして、キリスト教を斥けたのみならず、儒者でも、日本的自覚なきものを非とした。何れかと言うと、烈

                                                            なぜGHQが水戸学の研究書を戦後の日本人に封印したのか~~高須芳次郎 『水戸学講話』
                                                          • 戦後日本人に知らされていないインドの歴史~~『印度』(GHQ焚書)を読む

                                                            以前このブログで武藤貞一の本をいくつか紹介した。 この人物は今ではほとんど知れていないが、調べると、戦前の昭和十一年から「大阪朝日新聞」の論説委員となり、「天声人語」欄を執筆。昭和十四年に「報知新聞」の主筆となり、戦中の昭和十七年に読売新聞社編集局顧問となっている。戦後は「自由新聞」を創刊し、動向社を設立して軍事外交評論に筆を奮ったというのだが、注目したいのは、彼が戦前戦中に発刊した三十二点の書籍のうち約四割にあたる十三点がGHQに焚書処分を受けている点である。これほど多くの著書が高い確率で焚書処分されているケースは珍しいのだが、彼の著作に関しては、GHQに焚書処分された本もされなかった本も、戦後の著作も含めて彼のすべての著作が、なぜか長い間「国立国会図書館デジタルコレクション」でネット公開されてこなかった。ところが令和4年5月19日から「個人向けデジタル化資料送信サービス」を開始され、同

                                                              戦後日本人に知らされていないインドの歴史~~『印度』(GHQ焚書)を読む
                                                            • GHQが焚書処分した「日本精神」に関する本~~辻善之助 『皇室と日本精神』

                                                              GHQ焚書リストの中からタイトルに「日本精神」を含む本を集めてみたのだが、今回はそのリストの中から辻善之助 著『皇室と日本精神』という本を紹介したい。文明論として今でも普通に読めるいい本だと思う。 日本は世界の文明の集合地であって、世界のあらゆる文明は日本に集っている。太古の事は詳細なることはわからぬが、ある時代に大和民族が出雲民族を併合して、ある程度の文明を持っていたらしい。出雲民族の文明というのは即ち朝鮮の文明であるが、大和民族はその文明を受け入れ、更に石器時代であった時から、直接に支那文明を受け入れて支那文明の非常に優秀なものを受取っている。かようにして我が大和民族は比較的早くより、かなりの文明を作っていたらしい。 爾来、…直接間接に徐々に支那文明を受け入れてきたが、…聖徳太子が出られて盛んに支那文明を採取せられた。当時支那は隋の時代であったが、間もなく唐の世の中に変わって、わが国は

                                                                GHQが焚書処分した「日本精神」に関する本~~辻善之助 『皇室と日本精神』
                                                              • Shin Hori on Twitter: "天皇の地位が「国民の総意に基づく」とは、「国民全員が了承している」という意味ではなく、「国民の意思以外の根拠はない(=神話や宗教を根拠にはできない)」という意味です。 実はGHQの原案では「国民の意思に基づき、他の何物にも基づか… https://t.co/3AYACPTywW"

                                                                天皇の地位が「国民の総意に基づく」とは、「国民全員が了承している」という意味ではなく、「国民の意思以外の根拠はない(=神話や宗教を根拠にはできない)」という意味です。 実はGHQの原案では「国民の意思に基づき、他の何物にも基づか… https://t.co/3AYACPTywW

                                                                  Shin Hori on Twitter: "天皇の地位が「国民の総意に基づく」とは、「国民全員が了承している」という意味ではなく、「国民の意思以外の根拠はない(=神話や宗教を根拠にはできない)」という意味です。 実はGHQの原案では「国民の意思に基づき、他の何物にも基づか… https://t.co/3AYACPTywW"
                                                                • GHQが焚書処分した海軍関係書籍~~『軍艦物語』『少年海軍読本』

                                                                  以前このブログで日清戦争における陸軍の装備に関するGHQ焚書の叙述を紹介したが、今回は当時の海軍に関する書籍を紹介したい。福永恭助著『軍艦物語』は昭和9年に出版された本だが、こんな古い本までGHQは焚書処分している。著者の福永は34歳の時に結核にかかって海軍少佐の職を辞し、少年向きに海洋小説、戦記小説などを執筆した人物だが、GHQはかれの著作の内12点を焚書処分した。 『軍艦物語』に日清戦争当時のわが国の海軍力について述べているところがある。 …日清戦争に臨んだ時のわが海軍の貧弱さ加減にはちょっと驚かされる。敵は名にし負う定遠、鎮遠(排水量七千三百三十五トン、三十糎(センチ)半砲四門、十五糎砲二門、装甲十四吋(インチ)、速力十四節(ノット)半)の二大装甲(甲鉄)艦を持っていたのに、こっちには、装甲の張ってある艦としては明治十一年進水の扶桑(三千七百七十七頓)という老いぼれ艦がたった一艘あっ

                                                                    GHQが焚書処分した海軍関係書籍~~『軍艦物語』『少年海軍読本』
                                                                  • 戦前の日本人の満州事変の理解を知る~~『少年満洲事変と上海事変』(GHQ焚書)を読む 2

                                                                    柳条溝鉄道爆破事件 前回の記事で山県信敬 著『少年満洲事変と上海事変』で、満州事変の発端となった昭和六年(1931年)九月十八日の柳条溝事件が起きるまでの支那の国情について書いた。今回はその続きである。 萬寶山事件 に次ぐに、中村大尉虐殺事件があり、ために、我が軍部並びに国民の激昂が、その極に達していた時に、またしても起こった大問題がありました。 勿論、既に、それ以前からも、それに類した幾多の障害があったのでありました。例えば、八月十六日には、奉天駅北方に於いて、列車に投石して、窓硝子を破壊した事件があり、また、同月三十一日には、北大営北方の文官屯付近で、行進中の列車から、貨物を多数取り出したこともありました。 越えて翌九月になって、その中頃、奉天の北方、工業地区の北側に於いて、日本付属地に対抗して、散兵壕を構築したり、或いは、実弾射撃などして、何らかの示威的行為に出ていたのでありました。

                                                                      戦前の日本人の満州事変の理解を知る~~『少年満洲事変と上海事変』(GHQ焚書)を読む 2
                                                                    • 悲惨だったアジア人奴隷~~桑原三郎『アジア侵掠秘史』(GHQ焚書)を読む その1

                                                                      「国立国会図書館デジタルコレクション」で「個人向けデジタル化資料送信サービス」の手続きをすることで、大半のGHQ焚書が読めるようになる。今回は昭和十六年に刊行された桑原三郎 著『アジア侵掠秘史』という本を紹介したい。この本は、過去五百年近くアジアは欧米列強によって侵略され、悲惨な植民地とされてきた歴史が克明に綴られているのだが、戦後このような内容の本が当時の史料とともに詳しく記された本が出版されることはなかったと断言できる。第一章の一部を紹介したい。 欧米列強によるアジア侵略 欧米列強の壟断になる欺瞞の近代世界史は、ここに白日の下に暴露されるときが訪れたのである。なかんずくその中核をなすところの、欧米列強のアジア侵略史をわれらアジア人の手に持つ明鏡——中正なる史実——によって、ついに最後の審判を下すべき光代を迎えたのだ。 顧みれば近代の世界史は概ね欧米の世界史にほかならなかった。滔々たる世

                                                                        悲惨だったアジア人奴隷~~桑原三郎『アジア侵掠秘史』(GHQ焚書)を読む その1
                                                                      • GHQが焚書処分した「北進論」「南進論」関連書籍~~安達謙蔵『北進図南』

                                                                        昭和十六年(1941年)六月に、ドイツが独ソ不可侵条約を破ってソ連に侵攻すると、当時の近衛内閣では、四月に締結された日ソ中立条約を破棄してでも同盟国としてソ連と開戦すべきとする松岡洋右外務大臣と近衛文麿首相との間で閣内対立が起きている。近衛は松岡の「北進論」を退けて内閣を総辞職し、改めて第三次近衛内閣を組閣して南進論の立場を確認し、九月六日の御前会議でわが国は日独伊三国同盟よりも日ソ不可侵条約を優先することを正式に決定した。ところが、その直後に満州国境にいたソ連軍は一斉にヨーロッパに移動し始め、独ソ戦線に向かったのである。このことは、御前会議の決定がソ連に筒抜けになっていたことを意味した。 ドイツからの照会を受けてこの重大情報漏洩問題が追及され、ゾルゲと尾崎秀實が逮捕されている。尾崎は朝日新聞社入社後上海特派員となり、昭和二年頃から裏でコミンテルンの諜報活動に関与するようになったとされる。

                                                                          GHQが焚書処分した「北進論」「南進論」関連書籍~~安達謙蔵『北進図南』
                                                                        • GHQは満州事変について何を隠そうとしたのか~~桜井忠温 著『常勝陸軍』

                                                                          桜井忠温 (さくらい ただよし)は日露戦争に出征し、乃木将軍配下で旅順攻囲戦で右手首を吹き飛ばされる重傷を受け、帰還後療養生活中に執筆した日露戦争の実戦記録『肉弾』は15ヶ国に翻訳される大ベストセラーとなった。彼はその後陸軍省新聞班長を務め、陸軍少将となっている。昭和五年(1930年)に退役後は、作家として多くの作品を残したが、『肉弾』のほか十三点が戦後GHQによって没収廃棄され、戦後の日本人に読まれないようにされてしまった。今回はGHQ焚書の作品リストから、桜井忠温が七十年間の帝国陸軍の歴史を綴った『常勝陸軍』の一節を紹介することとしたい。 桜井忠温 満州事変はいつかは起こるべき運命の下にあったが、昭和六年(1931年)九月十八日、柳条溝の満鉄線路破壊を機として爆発したのである。 朝鮮人圧迫の例は限りがなく、六年七月二日には萬宝山事件*があり、また各地に於ける鮮人追放事件に至っては、数え

                                                                            GHQは満州事変について何を隠そうとしたのか~~桜井忠温 著『常勝陸軍』
                                                                          • 「GHQ焚書 全リスト」その6 く~け

                                                                            GHQ焚書の全リストの第六回目で、今回はタイトルが「く」から「け」で始まるGHQ焚書全リストに国立国会図書館のURLを付記してまとめたものである。 このリストの本の中で、以前このブログで採り上げたことのある書籍は以下のとおりである。 前回に引き続き、GHQに焚書処分された永松浅造の著作を紹介したい。今回紹介する本は昭和十七年に発刊された『くろがねの父』という本で、帝国海軍を育てた勝海舟、伊東祐亨、山本権兵衛、東郷平八郎、加藤寛治の海軍人生を詳述した本であるが、GHQは時...

                                                                              「GHQ焚書 全リスト」その6 く~け
                                                                            • 「GHQ焚書 全リスト」その2 い~う

                                                                              GHQ焚書の全リストの第二回目で、今回は本・パンフレットのタイトルが「い」~「う」で始まる書籍及びその国立国会図書館のURLをまとめたものである。 このリストの本の中で、以前このブログで採り上げたことのある書籍は次の三点である。

                                                                                「GHQ焚書 全リスト」その2 い~う
                                                                              • 『日露戦役の思ひ出』を読む~~日露戦争に関するGHQ焚書3

                                                                                かつて陸軍省の中に「つはもの編輯部」という部署があり、兵士や国民向けに、兵士の書いた文章などを集めた「つはもの叢書」というシリーズ本が昭和8年から12年までに14点が出版され、そのうち3点がGHQ焚書に指定されている。今回は『日露戦役の思ひ出』(GHQ焚書)という本の一部を紹介したい。これまでは日露戦争に出征した日本人の記録を中心に紹介してきたが、ロシア人に焦点を当ててみた。 国交断絶後の駐日ロシア公使・ローゼンの帰国に対する対応 満韓に対する侵略の意図を隠さないロシアに対し、伊藤博文や桂首相はなんとか外交による解決を図ろうとしたが交渉は進展せず、明治三十七年(1904年)一月六日にはロシアから最後回答のようなものが届き、いよいよ開戦が避けられないような状況となった。 ロシアは既に対日作戦計画を立案して裁可を得、旅順ドックの竣工と同時に日本に対して戦争を始めるとの情報が二月一日に入り、その

                                                                                  『日露戦役の思ひ出』を読む~~日露戦争に関するGHQ焚書3
                                                                                • 水中特攻兵器「蛟龍」の基地、福井県に実在した GHQ提出の資料通り、壕跡確認(福井新聞ONLINE) - Yahoo!ニュース

                                                                                  太平洋戦争末期、福井県おおい町大島に、水中特攻兵器「蛟龍(こうりゅう)」の本格的な基地が実際に存在していたことが分かった。蛟龍は本土決戦における日本の切り札として開発された特殊潜航艇。その建造施設と訓練基地の計画を記した資料通りの場所で、当時掘られたとみられる壕(ごう)の跡が確認できた。 【写真】本土決戦の切り札として開発された特殊潜航艇「蛟龍」 大島の水中特攻基地は、終戦後間もない1945年9月1日の日付で連合国軍総司令部(GHQ)に提出された「舞鶴海軍施設部引渡目録」に記されていた。アジア歴史資料センターが公開している文書によると、基地は島根県松江市七類の無人島「九島(くしま)」と石川県穴水町麦ケ浦にもあったが、ともに通信施設や魚雷格納庫など数カ所の小規模な基地だった。 これに比べ、大島は製造施設と訓練基地からなる大規模なもの。目録によると、製造は船体に装置などを取り付ける艤装場のほか

                                                                                    水中特攻兵器「蛟龍」の基地、福井県に実在した GHQ提出の資料通り、壕跡確認(福井新聞ONLINE) - Yahoo!ニュース