原爆投下への怒り、憎しみをそぎ落とす心理戦 占領中にGHQは日本に対してさまざまな形での心理戦を行なっていました。検閲の他に有名なものとしてはウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)が挙げられます。WGIPとは、日本人に先の戦争に対して罪悪感を植えつけ、戦争責任を負わせるために行った心理戦の名称です。 これによって実際に日本人の心には広く「自虐バイアス」と「敗戦ギルト」とでもいうべき思考が植えつけられました(この心理戦の全貌については、新著『日本人はなぜ自虐的になったのか』に詳述しています)。 このWGIPの目的の一つは、原爆投下への怒り、憎しみを日本人が持たないようにすることでした。これは第一次資料からも確認できます。アメリカの公文書(WGIP文書)の中には、その目的の一つとして、「一部の日本人およびアメリカ人が、原爆の使用は『残虐行為』であると考える傾向をなくすこと」