Intel“逆襲”の鍵はやはり「AIプロセッサ」か 次世代CPU「Core Ultra(Meteor Lake)」を解説(後編)(1/4 ページ) Intelは9月19日(米国太平洋夏時間)、モバイル向け次世代CPU「Core Ultraプロセッサ」(開発コード名:Meteor Lake)のアーキテクチャの詳細を発表した。 発表に先駆けて技術説明会に参加した筆者は、その詳細を2つの記事に分けて紹介することにした。前編は、読者からの関心が特に高いであろう、CPUコアにまつわる特徴を中心に解説している。 →前編の記事 前編で取り上げたことを軽くおさらいすると、以下の通りとなる。 Meteor Lakeは「タイルアーキテクチャ」という、Intel独自のチップレット技術を採用 タイル(チップレット)は「Compute」「Graphics」「I/O」「SoC」の4つ Compute Tileは、基本
インテルがクライアント向けプロセッサーのブランディングを刷新しました。15年ぶりの大幅変更となる今回の新ブランディングでは、従来の Core i7 等から「i」がなくなり、ただの「Intel Core 7 プロセッサー」になります。 プレミアムな製品群として、新たに「Core Ultra」のブランドを追加。従来は Core i7 や i9のうち特別な製品をモデルナンバーの末尾などで区別していたのに対して、新ブランディングでは「Core Ultra 7」や「Core Ultra 9」などと区別することになります。 さらにこの新ブランディングを導入する今年後半の最新世代プロセッサ(Meteor Lake)以降は、これまでプロセッサ名の前につけていた「インテル第何世代Coreプロセッサー」といった世代を表示しなくなります。 14世代にあたる Meteor Lake以降はブランディングとしては世代
Meteor Lakeを下支えする製造技術「Foveros」とは? Meteor Lakeは、ユーザーの手元に届く製品となった際には「CPU」とか「プロセッサ」と呼ばれたりすることのなるだろうが、製品カテゴリーとしては、CPUを含む複数の機能を統合した「SoC(System on a Chip)」と呼ばれる半導体製品となる。 その最大の特徴は、IntelのSoCとしては初めて「タイルアーキテクチャ」を採用したことにある。タイルアーキテクチャとは、SoC(CPU)を単一のダイ(モノシリックダイ)として形成するのではなく、機能ごとに分かれた「機能ブロック」と呼ばれるダイを複数組み合わせて1つの「パッケージ」を作り、それを1つのSoCとして形成する手法だ。 機能ブロックは、小さなチップを意味する「チップレット」とも呼ばれる。そのこともあり、タイルアーキテクチャは一般的に「チップレット技術(アーキ
前回に引き続き、Intel Innovation 2023からMeteor Lakeの話を解説したい。まず基調講演における説明からスタートしたい。 Meteor Lakeが12月14日に発売 今回Meteor Lakeの発売に先立ち、AIPCと呼ばれる概念(?)が公開された。概念なのか、それともキャンペーンの名称なのか、そのあたりは今ひとつはっきりしないのだが、かつてWi-Fiの搭載を必須にしたことで、Wi-Fiの普及が急速に進んだCentrinoを引き合いに出して説明したあたりは、あるいはキャンペーンの名称にするつもりなのかもしれない。 なんとなくQualcommのACPC(Always Connected PC)に似ていることもあって、キャンペーンタイトルとするには弱い気がする。もっと思い切った名前の方が良いのでは? ただ現時点ではそういう明確なキャンペーンが打たれるかどうかははっきり
レポート 初代Coreぶりの興奮。40年来で最大の革新を謳う「Meteor Lake」についてIntel Tech-Talkで聞いてきた インテル恒例のプレス向け技術説明会を開催 インテルは2023年9月26日、不定期に行っている記者向けの技術説明会「Tech-Talk」を開催しました。今回は米国時間で9月19~20日にカリフォルニア州サンノゼで開催した「Intel Innovation」で発表された技術について解説しています。基調講演は米Intelサイトから視聴可能です。 最初にインテル株式会社 執行役員 技術本部長 町田奈穂氏がIntel Innovation」でのハイライトを紹介しました。 インテル株式会社 執行役員 技術本部長 町田奈穂氏 今後、現在のプラスチックに代わる素材としてガラス基板を使用していくと紹介。これによって現在よりもさらなる微細化に対応するだけでなく、面積制限も緩
Intelは5月29日(米国太平洋夏時間)、開発コード名「Meteor Lake(メテオレイク)」のCPUに関する新情報を公開した。このCPUは、次世代の電力管理機能の他、刷新された「Intel Xe Graphics」や新しい「AIエンジン(VPU)」を搭載することでパフォーマンスの向上と省電力化を両立するという。正式な発表は「2023年後半」を予定している。 →2025年までに「1.8nm相当」に――Intelが半導体生産のロードマップを説明 Meteor Lakeの概要 Meteor Lakeは現行の第13世代Coreプロセッサ(開発コード名:Raptor Lake)の後継で、順当に行けば「第14世代Coreプロセッサ」となる予定のCPUだ。既報の主な特徴は以下の通りである。 「Intel 4(7nmプロセス)」を適用して生産される初めての製品 複数の「タイル(ダイ)」を組み合わせて
4月27日にインテルは2023年第1四半期の決算発表を行なった。売上は1170億ドル(約15兆8900億円)で、28億ドル(約3800億円)ほどの営業赤字を記録するといった大変な状況ではあるのだが、これは事前予測よりも良かったということで、むしろ株価がわずかながら上がる(29ドル→31.79ドル)という、おもしろい事態になっている。 それはともかくとして、この決算発表のリリースの中にこんな一節がある。 赤線部が問題の箇所。Intel 7は“high-volume manufacturing”なのに、Intel 4は“ramping production wafer start”と控えめな表現なことをどう考えるか 表現を見る限り、まだフル稼働状態にはかなり遠い感はあるが、とにかくIntel 4を利用しての量産がスタートしたことを正式に表明した格好だ。5月30日から始まるCOMPUTEX TA
タイトルが「Meteor Lakeは歩留まりが50%でも月産約36万個」となっているので、「Intel 4の歩留まりは50%らしい」と誤解されている読者がおられるようだが、筆者はあくまで「例えば歩留まりが50%だとしても」と書いているだけで、まだ歩留まりがどの程度かは明らかになっていない。もっともインテルにとってこれは最初のEUV(極端紫外線)を利用したプロセスなので、高い歩留まりが実現できるのか? というと「?」ではあるのだが。 あと、インテルはIntel 4でEUVを利用しているとは説明しているが、EUVを「どこでどのように」使っているかに関してはまだ情報を開示していない。Intel 4のジオメトリは2022年のVLSI Symposiumで公開されており、これは連載675回で説明したが、デザインルールで言えばFin(つまりトランジスタ層)とM0~M4のeCU(Enhanced Cup
8月21日から25日にかけて、マレーシアでIntel TECH tour.MYが開催された。5日間と長いのは参加人数が多すぎて一度に回せないからのようで、APJ(Asia Pacific Japan)組は前半の21~23日、アメリカ/ヨーロッパ組は23~25日にそれぞれツアーに行っている。 このツアーにはジサトラユージ氏も参加しており、詳細なレポートはユージ氏の方からあがることを期待している。ではお前はなにをレポートするつもりだ? という話だが、この中で説明があったMeteor Lake関連の話を説明したい。 余談だが、次回もMeteor Lakeの話になる。というのは日本時間で8月28日からスタートするHot Chips 2023でこのMeteor Lakeの詳細が公開されることがすでに予告されているためである。こちらの内容は次回お届けしたい。ただその前に、なぜマレーシアなのかを簡単に説
今回でMeteor Lakeの話はいったん終了である。残るのはGPUとSoCまわりとなる。まずはGPUから説明しよう。 Xe-LPGはXe LPの強化版? Xe LPと比較して2倍の性能と言うけれど…… Meteor Lakeに搭載されるGPUはXe-LPGとなる。Raptor LakeまでのGPUはXe LPベースであり、その意味では新アーキテクチャーの搭載になる。 Meteor Lakeに搭載されるGPUのXe-LPG。Xe LPと比較して2倍の性能というのは嘘ではないが、正確でもない。このあたりは後述する Xe LPGは連載579回のロードマップには存在しない。構造的にはXe LPの強化版というよりはXe HPGの低消費電力向けという扱いになるかと思われるのだが、インテル的にはXe LPの強化版という説明の仕方をしている。
IntelがCPUのブランディングを変更。次世代CPU「Meteor Lake」は「Core 9/7/5/3」になり,上位モデル「Core Ultra」も登場する 編集部:小西利明 米国時間2023年6月15日,Intelは,2023年後半に同社製CPUのブランディングを変更すると発表した。本年後半から市場に投入予定の次世代CPU「Meteor Lake」に先立って行うもので,Meteor Lake世代とそれ以降に登場するIntel製CPUは,これまでの「Core i9」といった表記から,「i」の文字がなくなって「Core 9」という表記に変わる。 さらに,先進的なクライアントPC向けCPUの新しいブランド名として「Core Ultra」が加わるとのことだ。 ブランド変更後のCore Ultra processorおよびCore processorのブランドロゴバッジ ブランド変更後のCo
アメリカ時間で9月19日より開催されるIntel Innovation 2023に合わせ、IntelはMeteor Lakeの詳細を解禁した。これを一気に記事化するにはちょっと分量が多いので、何パートかに分けてお届けしたい。まずは懸案であるIntel 4 Processに関してである。 Intel Meteor Lake Intel 4 Processの詳細は、2022年6月のVLSI Symposiumで公開されており、ここでHigh Performance Libraryの詳細なジオメトリとかCOAGの詳細、SDB(Single Diffusion Break)の詳細、配線層のDesign Rule、eCuと呼ばれる、銅配線のわりにCoのライナーをつけ、その外側にTaのバリアを形成した新しい配線構造、密度の上がった配線層などIntel 4 Processの特徴に関してはすでに詳細な説明
次世代のノートPC向けCPU「Meteor Lake」の詳細が明らかに。メインのCPUコアを使わずに動画を再生できる!? ライター:米田 聡 Intelは,ノートPC向けの次世代プロセッサとなる開発コードネーム「Meteor Lake」を,2023年後半に市場へ投入する。Meteor Lakeは,すでに量産に入っており,その様子を4Gamerでもレポート済みだ。 Meteor Lake Meteor LakeについてIntelは,「過去40年において,もっとも大きなアーキテクチャ上の変革である」と,繰り返しアピールしている。現在のx86系CPUの基礎となったIA-32命令セットを実装した初のプロセッサ「Intel 80386DX」が1985年,つまり今から37年前に誕生しているので,それ以来の変革といった意味だろうか。 そんなMeteor Lakeに詰め込まれている新しい技術の概要を,In
Intelが次世代の電力効率の高い第14世代Coreプロセッサとなる「Meteor Lake」の概要や、第5世代Xeonプロセッサとなる「Granite Rapids」や「Sierra Forest」を発表しました。 Intel Innovation 2023: Technologies to Bring AI Everywhere https://www.intel.com/content/www/us/en/newsroom/news/2023-intel-innovation-ai-everywhere.html Intel Unveils Meteor Lake Architecture: Intel 4 Heralds the Disaggregated Future of Mobile CPUs https://www.anandtech.com/show/20046/inte
今回はMeteor LakeのAI周りについて解説しよう。といっても、これまでも何回か紹介している。連載686回で説明したようにMeteor Lakeに搭載されるものは、2022年まではIntel VPUと称しており、Meteor Lakeに先立ちRaptor LakeにはAI M.2モジュールとして提供されてここでアプリケーションの先行開発が行なわれることになっていた。 映像処理時のCPU/GPU負荷を下げる Intel VPU そのNPUというかVPU、元になったのはインテルが2016年に買収したMovidiusのMyriadシリーズVPUである。もともとMyriadシリーズはVision Processor Unit、つまり映像処理用プロセッサーとして発表されており、2011年には最初のMyriad 1が発表される。 2014年には後継となるMyriad 2がやはり映像処理用のプロセ
Intelは6月5日(米国太平洋時間)、同社が2024年に生産を開始する予定の半導体プロセスで使われる裏面電源供給技術「PowerVia」の近況を明らかにした。2023年内に発売予定の「Metor Lake」の高効率コア(Eコア)をベースにテストチップを作成し、裏面電源供給の有効性が確認できたという。本件に関する論文は、6月11日~16日に京都で開催される「2023 Symposium on VLSI Technology and Circuits」に合わせて公開される。 Metor LakeのEコアをベースに作られた「Blue Sky Creek」のウエハー。プロセスはMeteor Lakeと同じ「Intel 4(7nm)」だが、PowerViaを適用しているという 理屈ではメリットが多いが…… PowerViaは、Intelが2024年に生産を開始する予定の新プロセス「Intel 20
Intel 第一世代Core UltraとなるMeteor Lake-Pのベンチマークが登場。128MBのキャッシュ容量を持つ模様。 Intelでは2023年下半期中にCore Ultraと言う新名称を採用したCPU、Meteor Lakeシリーズを投入予定です。このMeteor LakeではAlder Lakeから採用されているハイブリッドアーキテクチャーの他に、CPUとGPU、アクセラレータなどをモジュール毎形式で組み合わせて搭載可能な『タイルアーキテクチャー』などの新しい技術が搭載されます。さらに、このタイルアーキテクチャーの土台部分にL4キャッシュを組み込む『Adamantine』と呼ばれる新たな技術も搭載されると噂されていましたが、今回TDP 30W以上のノートPCなどで採用されるMeteor Lake-PのSiSoftwareベンチマークが登場し、Adamantineと見られる
プロセスも構造も大変身を遂げた インテル「Meteor Lake」の詳細が判明 今年もインテルの年次イベントである「Intel Innovation」の2023年版に合わせ、同社は次期クライアントPC向けプロセッサーに採用される「Meteor Lake」の概要を発表した。Meteor Lakeはモバイル向けの「Core Ultra」として今年12月14日より発表される。 本稿はインテルがプレス向けに詳細な技術的発表を行った資料をまとめたものである。今回の資料はスライドにしてざっと300ページ近いというとんでもない代物ゆえ、全てをカバーすることはできない。プロセスやパッケージングの詳細は大原氏の解説にお任せするとして、これだけは知っておきたいというポイントだけをまとめておく。 ただしインテルはCore Ultraのラインナップやコア数・クロックといった最終製品に関係する情報は開示しなかった。
筆者は、初代Core UltraことMeteor lakeについて、以前にいくつかの記事を書いていました。その中で、いくつかの性能予想を行っていました。列挙するとおおむね以下の通りです。 2023/3/8 年末商戦の目玉?Intel次世代Meteor lakeは 電池持ち改善に期待 2023/9/25 省電力性をアピールするMeteor lake(次期 Core Ultra) ⮞ シングルスレッド性能は変わらないか、省電力モードでは改善することがある ⮞ “U”や”P”の後継はコア数増加によってマルチスレッド性能が+30~50%になる ⮞ “H”の後継はマルチスレッド性能+20%程度になる ⮞ 内蔵GPU性能は1.3~2.0倍となり、Z1 Extremeに匹敵する水準になる ⮞ 15-28Wの主力製品では実用的負荷での電池持ちが2~4割程度伸びる 発売後しばらくたってMeteor lake
前回の続きでInstinct MI300Aについて説明する予定だったが、AMDに負けじとインテルが12月14日に“AI Everywhere”というイベントを開催。ここでMeteor LakeことCore UltraとEmerald Rapidsこと第5世代Xeon Scalableの正式発表を行なった。そこで今回は、予定を変更してインテルのイベント内容を解説していく。 Core Ultraと第5世代Xeon Scalableを発表 概略は発表記事ですでにレポートが上がっているので、ご覧になった方も多いだろう。本稿も内容が多いので2回に分割させていただく。今回はCore Ultraである。 Meteor Lakeの内部構造についてはこれまでも何度か説明している。連載734回や735回、739回、740回、741回などではけっこう細かいところまで掘り下げて説明したつもりだ。ただ構造はともかく
レポート 「Meteor Lake」生産の中核工場で「Intel 4」の現況を見てきた - Intel TECHtour.MYレポート Intelは8月21日~25日に掛けて、マレーシアにあるIntelのKM1~3及びPG8/15などの工場見学を見学するIntel TECHtour.MYを実施した。筆者は前半の8/21~23に参加したので、その内容をちょっとご紹介したい。 そもそもマレーシアではIntelは1972年から操業を開始しており、今年で51年目になる。基本はアセンブリ&テストということで、いわゆる後工程を担う形だ(Photo01)。拠点としてはペナンキャンパスとクリムキャンパスの2か所で、ペナンキャンパスは名前の通りペナン島に、クリムキャンパスは本土のほうに拠点がある(Photo02)。2つのキャンパスは直線距離で36Kmほど離れている。正確に言えばペナンキャンパスの方は2か所に
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