知的障害者への「包括的セクシュアリティ教育」 前述した「性の権利宣言」では、「包括的セクシュアリティ教育を受ける権利」についても明文化されている。包括的セクシュアリティ教育とは、セクシュアリティの認知的、感情的、身体的、社会的諸側面についての、カリキュラムをベースとした教育と学習のプロセスである。 子どもや若者たちの健康とウェルビーイング(幸福)、尊厳を実現し、尊重された社会的、性的関係を育て、彼らの選択が自分自身と他者のウェルビーイングにどのように影響するのかを考え、彼らの生涯を通じて、彼らの権利を守ることを理解し励ますものである(UNESCO(編)浅井春夫・艮香織・田代美江子・福田和子・渡辺大輔(訳),2020)。 このように、包括的セクシュアリティ教育は、単に正しいとされる知識を教えるだけのものではない。ましてや、教員や支援者、家族がもつ性規範を一方的に押し付けるものでもない。あくま