博士号を持つ高度な専門人材、いわゆる「博士人材」の活躍の場を広げることが課題となるなか、企業の間では、採用の拡大に向けた動きが広がり始めています。 ▽飲料大手のキリンホールディングスは、2023年度の採用活動から、博士人材の採用に向けた専門のホームページを開設し、新卒採用に加え、博士号を取得した人の中途採用も行っています。 会社では、博士人材の採用を年々増やしているということで、2023年度に研究職として採用した社員に占める博士人材の割合は、前の年度と比べ、およそ2倍に増えたということです。
世界最高クラスの計算性能を持つスーパーコンピューター「富岳」を使って開発されたAIが完成し、10日、報道陣に公開されました。生成AIの開発の基盤となる大規模言語モデルと呼ばれるAIで、開発の担当者は「今後、日本語に特化した国産の生成AIのさまざまな研究・開発に活用されることを期待したい」と話しています。 開発された大規模言語モデル「FugakuーLLM」は、世界最高クラスの計算能力を持つスーパーコンピューター「富岳」を活用した国産のAIの研究開発プロジェクトとして、去年5月から東京工業大学や東北大学、富士通、理化学研究所などが進めてきたもので、10日、研究成果の発表会が東京 目黒区の東京工業大学で行われました。 発表会では、FugakuーLLMはAIのモデルが一から独自に構築されているため、透明性と安全性に優れていることや学習データのおよそ6割を日本語のコンテンツから学習したことで、日本語
ペーパーレス化によって紙の需要の減少が続くなか、昨年度の国内出荷量が初めて1000万トンを下回り、2007年度のピークからおよそ半分にまで落ち込みました。製紙業界にとどまらず、オフィス向け機器を手がける業界でも事業再編や業界再編の動きがさらに加速することが予想されます。 業界団体の日本製紙連合会によりますと、ティッシュや印刷用紙、それに新聞などに使われる洋紙の昨年度の国内出荷量は948万トンで、前の年度から9%減少しました。 今の統計で比較が可能な1988年度以降で初めて1000万トンを下回り、2007年度のピークと比べると48%の減少と、およそ半分にまで落ち込んでいます。 背景にあるのは、ペーパーレス化やデジタル化の拡大で、製紙業界では、大王製紙と北越コーポレーションが原材料の調達や生産面での技術協力などで提携する検討を進めています。 オフィス向けの複合機などを手がける業界でも、富士フイ
24日のロンドン外国為替市場は円安が一段と加速し、円相場は一時、1ドル=155円台まで値下がりして1990年6月以来、およそ34年ぶりの円安ドル高水準となりました。 24日のロンドン外国為替市場では、アメリカ経済が堅調でFRB=連邦準備制度理事会の利下げが遅れるとの見方が広がっていることなどから、日米の金利差が意識されて円を売ってドルを買う動きが強まっています。 円相場は154円台後半での神経質な取り引きが続き、日本時間の午後9時すぎに一時、1ドル=155円台前半まで値下がりし1990年6月以来、およそ34年ぶりの円安ドル高水準となりました。 25日からは日銀の金融政策決定会合が開かれ、市場では政策変更はないだろうとの観測が出る一方、ことしはじめにはアメリカのFRB=連邦準備制度理事会が3月にも利下げするとの観測が出ていましたが、その観測が大幅に後退しており、ドルに資金が集まりやすい状況と
ネット通販や電子書籍の普及などで、10年で4600店あまりの書店が閉店しています。 文化拠点の役割がある地域の書店の支援に向け、17日、齋藤経済産業大臣が書店の経営者らと意見交換しました。 厳しい状況のなか、ユニークなアイデアでファンを増やす「街の本屋」も出てきています。 齋藤経産相が書店経営者などと意見交換 経営環境の厳しさを背景に全国的に書店が減少するなか、経済産業省は地域の書店には文化拠点の役割があるとして、振興に向けた部局横断のプロジェクトチームを立ち上げ、新たな支援策を検討しています。 17日は齋藤経済産業大臣が東京・港区の商業施設にある書店を訪れ、経営者や業界団体の代表らと意見交換しました。
15日のニューヨーク外国為替市場ではアメリカの経済指標の発表を受けて円安が一段と加速し、円相場は一時、1ドル=154円台半ばまで値下がりしました。1990年6月以来、およそ34年ぶりの円安ドル高水準です。 15日のニューヨーク外国為替市場ではこの日、発表されたアメリカの先月の小売業の売上高が市場予想を上回ったことで、アメリカ経済は堅調でFRB=連邦準備制度理事会の利下げが遅れるとの見方が広がりました。 このためアメリカの長期金利が上昇し、日米の金利差の拡大が意識されてドルを買って円を売る動きが一段と強まり、円相場は一時、1ドル=154円台半ばまで値下がりしました。 これは、1990年6月以来、およそ34年ぶりの円安ドル高水準です。 イランによるイスラエルへの攻撃によって中東情勢が一段と緊迫化し、原油価格の上昇が続けばアメリカのインフレが長引き、さらに利下げが遅れるという観測が出ていることも
中国を訪れているアメリカのイエレン財務長官は8日記者会見し、中国のEV=電気自動車などの過剰生産の問題は、世界経済などに影響を与えるとして、中国側に政策転換の必要性を求めていく考えを示しました。 今月4日から中国の広州と北京を訪れているアメリカのイエレン財務長官は、金融や経済政策などを統括する何立峰副首相や李強首相らと会談し、中国によるEV=電気自動車の過剰生産の問題などをめぐって集中的に意見交換を行うことなどで合意しました。 イエレン長官は8日、帰国を前に北京で記者会見を開き「米中関係が去年と比べ、より強固になっているのは明らかだ」と述べました。 その一方で、中国の過剰生産の問題がアメリカや世界経済に大きな影響を与えると指摘したうえで、中国からの安価な輸入品によってアメリカの産業が破壊されることを容認しないと強調しました。 そして、今回合意した意見交換の枠組みについて「われわれの懸念を詳
理論上、解読が不可能とされる「量子暗号通信」の開発が世界的に加速しています。金融や医療など秘匿性が高い情報通信での活用が期待され、国内の企業も実用化を急いでいます。 インターネットなどで使われる今の暗号は、高い計算能力を持った量子コンピューターの登場で解読されるリスクが指摘されています。 量子暗号通信は、暗号鍵の情報を光の粒子=光子に載せて伝送し、相手と共有します。 観察すると状態が変化するという量子力学の特性を生かして盗聴を検知でき、理論上、解読が不可能とされています。 実用化に向けて日本の企業も開発に力を入れ、東芝は、去年7月からイギリスの金融機関などとともにロンドンで実証実験を行っています。 すでにアメリカやシンガポールなどでも実証実験を行っていて、事業の海外展開を目指しています。 東芝の情報通信プラットフォーム研究所の斉藤健所長は「これからますます発展するインターネット社会で安全に
宅配代行サービス大手の「ウーバーイーツ」は、自律走行するロボットを6日から都内の一部の地域で導入すると発表しました。国内では、配達員の不足などを理由に撤退の動きも相次ぎ、各社が事業の効率化とサービスの強化を急いでいます。 ウーバーイーツが5日公開したのは、6つの車輪がついた自律走行する小型のロボットで、6日から東京 日本橋のエリアの2つの店舗に導入されます。 導入は、アメリカに続き世界で2か国目となります。 注文した人が建物の入り口まで受け取りに行く形でサービスを開始し、将来的にはほかの地域に広げることも目指すとしています。 雨の日など配達員が少ない場合でもロボットが対応でき、配達のスピードなど利便性の強化につなげたいとしています。 Uber Eats Japanのアルビン・ウー マーケットオペレーションディレクターは「2024年問題などの人手不足を補完するものとしてロボットはますます重要
博士号を持つ高度な専門人材の確保で日本が大きく遅れをとっている、経団連がそんな調査結果をまとめました。 博士人材は研究者として大学に残る人が多い一方、日本では企業での活躍の場が少ないとのこと。 何が起きているの?経済担当の小坂隆治デスク、教えて! 博士人材といえば、日本では大学の研究者というイメージが強いですが、欧米では企業でも広く活躍し、研究開発だけでなく、「新しい製品や事業の開発」「金融工学で金融商品を開発」「統計学やAI分野でデータアナリスト」など、さまざまな仕事についています。 「博士号を持つ経営者」も多くいます。 一方、日本ではというと… 博士人材の活用などの実態について経団連が調査結果をこのほどまとめました。 従業員1000人以上の企業を中心に全国の120社余りが回答したのですが、なかなか厳しい実態がわかったんです。 2022年度に理系の博士人材の採用がゼロだった企業は、23.
アメリカンフットボールの強豪、法政大学の部員が「大麻を使用している」という情報が寄せられ、大学が検査を行ったところ、3人の部員から陽性反応が出たことがわかりました。 その後、大学が警察に相談し、警察が改めて検査を行ったところ、3人全員が陰性を示したということで大学が詳しい経緯を調べています。 関東学生アメリカンフットボール連盟によりますと、法政大学のアメリカンフットボール部の「部員が大麻を使用している」と情報が寄せられ、大学が検査を行ったところ、3人の部員から大麻の陽性反応が出たということです。 大学の調査に、部員は「合法のリキッドを吸った」などと話しているということです。 その後大学が警察に相談し、警察が改めて検査を行ったところ、3人全員が陰性を示したということで、大学が詳しい経緯を調べています。 法政大学のアメリカンフットボール部は、関東大学1部のリーグで上位の「TOP8」に所属し、去
宇宙空間を漂う使われなくなった人工衛星やロケットなどの「宇宙ごみ」の除去に向けて、日本の民間企業が開発した「宇宙ごみ」を撮影する衛星が18日夜、ニュージーランドから打ち上げられました。衛星は予定の軌道に投入され、打ち上げは成功しました。 東京のベンチャー企業、「アストロスケール」は「宇宙ごみ」を回収するための技術の確立を目指していて、今回、JAXA=宇宙航空研究開発機構と協力して宇宙空間に漂っている使用済みのロケットに接近し、撮影することを目的とした衛星を開発しました。 衛星は日本時間の18日午後11時50分すぎにニュージーランドから打ち上げられ、およそ1時間後に予定の軌道に投入されて打ち上げは成功したということです。 衛星が接近して撮影を試みるのはJAXAが2009年に打ち上げたH2Aロケットの一部で、現在は高度600キロを周回し続けていますが、GPSなどの位置情報を発信していないため、
紅海周辺でフーシ派が船舶への攻撃を繰り返す事態を受けて、海上輸送で航路の大幅な「う回」が課題となっています。こうした中、大手商社の住友商事が香港の大手海運会社と近く業務提携し、生鮮食品のコンテナ輸送を長期化できる新たな技術を導入することになりました。 このコンテナ輸送の新しい技術は、生鮮食品を凍らせずに生の状態のまま船で運ぶチルド輸送の日数を、大幅に伸ばすことができるのが特徴です。 温度を管理したコンテナの内部に電圧をかけて「電場」と呼ばれる状態にし、食品に含まれる水の分子を回転させることで、鮮度を保ちながら腐敗の進行を抑える仕組みです。 従来のチルド輸送と比べて、多くの食品で輸送期間を2倍から3倍に伸ばすことができるとしていて、例えば豚肉の場合、従来の20日程度から60日程度に、魚のぶりの場合は、これまで空輸が中心でしたが、船での輸送が可能になるとしています。 住友商事は、香港の大手海運
去年1年間の出版物の推定販売額は、電子コミックの売り上げが好調だったものの、紙の書籍の落ち込みが大きく、紙と電子を合わせた全体では、2年連続で前の年を下回りました。 出版業界の調査や研究を行う出版科学研究所のまとめによりますと、去年1年間の出版物の推定販売額は、紙と電子の合計で前の年より2.1%少ない1兆5963億円と、2年連続で前の年を下回りました。 このうち「電子出版」の売り上げは前の年を6.7%上回る5351億円となり、中でも「電子コミック」は、1話ごとに購入できるサービスや、出版社と協力し、ほかより先行して配信する作品を強化するなど各ストアの戦略が活発で、電子出版の売り上げ全体の9割を占めています。 一方「紙」の出版物は書籍・雑誌ともに売り上げが落ち込み、全体で前の年を6%下回る1兆612億円となりました。 書籍では村上春樹さんの6年ぶりの長編小説や、42年ぶりに続編が出た黒柳徹子
東京23区で去年1年間に発売された新築マンションの1戸あたりの平均価格は1億1483万円と、初めて1億円を超えました。調査会社は、資材価格の高騰などを背景に工事費が上昇したことに加え、利便性が高い都心でのマンション開発が相次いでいることが影響したとしています。 東京23区の平均価格1億1483万円 おととしを39.4%上回る 調査会社「不動産経済研究所」のまとめによりますと、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で去年1年間に発売された新築マンションの1戸あたりの平均価格は8101万円で、おととしより1813万円、率にして28.8%上回り、3年連続で過去最高を更新しました。 このうち東京23区の平均価格は1億1483万円とおととしを39.4%上回り、初めて1億円を超えました。 23区の平均価格が大きく上昇していることについて調査会社は、建設資材や人件費の高騰で工事費が上昇していることや、利便性
人気オンラインゲーム「フォートナイト」の開発企業とIT大手のアップルがアプリの課金のルールをめぐって争っている裁判で、アメリカの連邦最高裁判所は両社の上告を退けました。これによってアップルに対してルールを見直すよう命じた連邦控訴裁判所の判決が確定し、アップルは外部の決済手段も認めるなどの見直しを行うことになりました。 人気オンラインゲーム「フォートナイト」の開発元、エピックゲームズは、アプリの開発者が売り上げの最大30%を手数料として支払うアップルの課金システムをめぐり、ユーザーに対する課金手段を不当に独占しているとしてアップルを提訴し、裁判で争っています。 1審にあたるカリフォルニア州の連邦地方裁判所は、アップル以外の課金システムに利用者を誘導できない現在のルールは反競争的だとして、アップルにルールの見直しを命じ、2審にあたる連邦控訴裁判所も1審の判断を支持しました。 両社は、連邦最高裁
生成AIの開発や利用に伴って懸念されている著作権侵害に関連して、文化庁は、文化審議会の小委員会でまとめた「AIと著作権に関する考え方」の素案について、広く意見を求めるパブリックコメントを1月中に実施することになりました。 生成AIの利用が急速に広がり、クリエーターなどから、AIによるデータの学習や生成によって著作権が侵害されることを懸念する声があがる中、文化庁は、生成AIを利用したどのような行為が著作権の侵害にあたるのか、考え方を整理するため、有識者で作る文化審議会の小委員会で議論を行っていて、1月15日には、「AIと著作権に関する考え方」の素案が示されました。 この中では、AIが著作物を無断で学習することを原則として認めている著作権法30条の4について、「必要と認められる限度を超える場合」や、「著作権者の利益を不当に害する場合」を除くとする、ただし書きの対象範囲がわかりにくいとして、 ▽
再来年の大阪・関西万博では、およそ60か国が自前で建設する「タイプA」の方式を計画していますが、これまでに着工した国はなく、準備の遅れが指摘されています。 こうした状況を受け、ことし10月から11月にかけ、全国建設業協会が各都道府県の協会に所属する1万8000社あまりを対象に、パビリオンや会場整備などの工事に参画する意向があるか調査を行い、NHKはその報告書を入手しました。 調査は、パビリオンの建設工事が進まず、博覧会協会から協力依頼が寄せられるなどしたため実施したとしています。 回答は全国775社からあり、複数回答の結果、元請けや下請けとして建設工事に参画することに「興味がある」としたのは11.8%だった一方、「興味はない」としたのは89.4%に上ったことがわかりました。また、すでに参画しているという回答は2.4%でした。 開催地の大阪を含む近畿地方でも71.1%が「興味はない」としてい
国内の半導体のサプライチェーンの強化に向けて政府が支援を強化するなか、岸田総理大臣は、21日、官民の代表者らを集めて開いた会議で、韓国のサムスン電子が新たに先端半導体の研究開発拠点を日本に設けることを明らかにしました。 21日、総理大臣官邸で開かれた「国内投資拡大のための官民連携フォーラム」には、岸田総理大臣や齋藤経済産業大臣のほか、経団連の十倉会長などが出席しました。 この中で、岸田総理大臣は「世界の企業や投資家からも日本国内への投資に関心が集まっている。本日もサムスン電子から半導体関連の新たな先端開発投資の表明があったと報告を受けた」と述べ、韓国のサムスン電子が新たに日本に先端半導体の研究開発拠点を設けることを明らかにしました。 経済産業省によりますと、新たな研究開発拠点は、横浜市のみなとみらい地区に設けられ、半導体の高性能化に必要な「パッケージ」と呼ばれる技術の研究開発を行っていくと
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