東京の「山の手」は都会の街中に丘陵と谷が複雑に入り組み、世界の都市でも珍しい地形をしています。 武蔵野台地の東端に位置する山の手台地は、指先を開いて東京湾に向けた「手」の形そっくりです。 「指」に相当するいくつかの支台地斜面には無数の坂があり、そのうち600ほどの坂に名前が付けられています。 高い建物のなかった江戸時代には、ちょっとした丘に上れば江戸湾や富士山を望むことができました。 江戸庶民はこれらの景観を好み、高台や坂に名前を付けました。 現在でも「富士見」と名が付く町名のほか、潮見坂(汐見坂)や富士見坂などが東京各地に残っています。 これらの坂名から当時の「見晴らしの良さ」が想像できます。