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欺瞞を捨て自己の内に沈潜する 選択的非コミュの自画像 中島義道『孤独について 生きることが困難な人々へ』は徹底した自分語りの書だ。語られるのは、どこまでも孤独な自分史である。読み始めてみると、まるで他人の粗を論い非難しているかのような口調に少し戸惑いを覚えるかもしれない。確かに、一見、世を拗ね、孤独を他人のせいにするかのような批判的描写が随所に見られる。著者のナイーブな精神を勘定に入れるにしても、それは自業自得ではないか、といいたくなるようなエピソードも散見される。そこで、ただ突っ込みを入れて思考停止してはいけない。その違和感こそが選択的孤独を理解する第一歩である。 封建的でエリート意識の強い両親の家系、夢追い人の父、その父に死ぬまで恨み言を吐き続ける母、無理解な教師たち、無邪気で無神経な級友たち、退屈な哲学の講義、助手の自分を執拗にいじめる大学教授…。とにかくその描写の辛辣さには遠慮がな
たった一冊の本で、 読者×著者×販売者の利益を最大化する。 勝間和代『読書進化論』はそれ自体がとても戦略的な本だ。本から利益を引き出す方法を説きながら、この本自体がそれを実践するという、みごとな二重構造になっている。著者の言葉を借りるなら「ポジティブ・フィードバック・ループ」を意識的に起こす仕掛けである。内容は基本的に著者自身の実績がベースになっている。つまり、著者がどのように読書し、読者から著者になり、どれほどの成果をあげてきたかが具体的に語られる。これは本に説得力を持たせると同時に、成功者としての著者を強くアピールする。著者が読者の憧れとなり、目標となるのである。 「勝間和代から学びたい」、或いは「勝間和代みたいに成功したい」。それが本書を有効利用しようとする読者にとって、最も大きな動機のひとつとなる。勝間ワナビーになることから始まるのである。これは決して悪いことではない。こうした自己
ランディ・パウシュ『最後の授業 ぼくの命があるうちに』を読んだ。 内容自体は、実際に行われた講義の増補版といったところだ。講義の様子はYouTubでも見られる。最初に断っておくと、特に目新しい何かが書かれているわけではない。極一般的な「良いこと」がたくさん書かれている。そして、末期ガン患者による、という但し書きにもさしたるインパクトはない。よくある惹句にすぎない。それでもこの本が、或いは、講義の動画がこれだけ巷間に流布しているのは、著者のウィットに富んだキャラクターとプレゼンテーションの上手さによるところが大きいように思う。要するに、話が上手い。構成もいい。本当にオチまでよく考えられている。 あの秀逸なオチについては、まあ、実際に読んでもらうしかない。そして、そのオチによって「自己啓発本」としての凡庸さが瑕ではなくなる瞬間を体感して欲しい。否、凡庸だから役に立たないといっているのではない。
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