深刻なのは、各種研究をみるかぎり、急性期の症状が軽くても、こうした合併症のリスクと無縁ではないということである。「新型コロナにかかったが、軽症で済んだ」と喜んでいたら、普通なら10年先に経験したであろう静脈血栓症や心筋梗塞、心不全、表にはないが脳梗塞などを、半年後や1年後に経験することになる可能性が高いということだ。 新型コロナウイルスは脳や臓器を老化させることがわかっている*9。新型コロナウイルスが心臓にDNAレベルで損傷を与えていることも明らかになった。事実、感染者の多い欧米では、若い世代が新型コロナ感染後に心臓発作によって亡くなる事例が多数報道されている。痛ましい。 Smidt Heart Instituteが2012年4月1日から2022年3月31日までの急性心筋梗塞死者1,522,699名を分析している。パンデミック後、急性心筋梗塞の死者が増加。とくに若い世代に目立つ。25‐44