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koke-koke.hatenablog.com
0. はじめに 0-1. おっさんずラブリターンズの最終回に添えて 「おっさんずラブリターンズ」が一週間のテンポを刻んでいた2ヶ月間が終わりを迎えた。金曜日、放送開始の5分前に慌ててお風呂から上がり、急いで体を拭いてスキンケアを雑に済ませていたあの時間が、やけに愛おしく思える。 この2ヶ月間、最新話を見ていない時間は全て、最新話を待っている時間と呼ぶことができた。何かが生活のテンポを刻むとは、そういうことである。 思えば、2018年のドラマ放送時も同じだった。若かりし同性愛者であった僕にこのドラマは、男同士が恋愛することは変ではなく、尊重されるべき愛のうちのひとつなのだと教えてくれた。このドラマがなかったら、自分のセクシュアリティを受け入れることもずいぶん遅れてしまっていたと思う。春田がみんなにとって太陽であるように、おっさんずラブという作品が僕にとっては太陽だった。 それから6年の月日を
人には感情を引き裂かれる瞬間というものがある。何かを大事にしたいのに、それを大事にすることが別の何かを傷つけてしまいそうなとき。何かのことがたまらなく好きなのに、それが同時に自分を傷つけてしまう棘を持っているとき。 僕にとってそれは「おっさんずラブ」である。 田中圭演じる春田創一と、林遣都演じる牧凌太、そして吉田鋼太郎演じる黒澤部長の三角関係をメインに据えながら、個性豊かな周りの人々を描くラブストーリーで、シーズン1放送時には話題を席巻した超人気作であるところの「おっさんずラブ」。それに僕は、いま、現在進行形で、感情を引き裂かれている。 思えば僕がゲイであることを自認し、それを一人で抱え込んでいた数年前、「おっさんずラブ」の存在は大きな光のようなものだった。 シーズン1の放送当時、もうなんか・・・春田・・・お前は罪なノンケ野郎・・・牧・・・お前は・・・お前は俺だ・・・(当時僕がノンケに大恋
思い出を振り返ると、そこにはいつもAAAと與真司郎がいた。 (ここから数行の間めっちゃ喋るのでオタク以外には読めないインクで書いています) 高校の頃、友だちとカラオケに行くたびに「wake up!」を歌い、毎晩寝る前は「さよならの前に」を聞いた。「恋音と雨空」は定番すぎて逆に聞かなくていいなどとツウぶったり、ドライブに行くと決まって「winter lander!」を大音量で流して踊っていた。悲しいときは「wonderful life」を聴いて心を慰めたし、楽しいときは「good day」を聴いた。冬の街角では、肩を震わせながらきまって「perfect」を聴いたし、夏の日差しを感じた時には「love is in the air」をかけた。ノンケに片想いしてたときは「lil infinity」を聴いて愛することの素晴らしさを痛感したし、ノンケに振られた翌日は「day by day」を聴いて少し
はじめに 今回は、学術書の話をします。 セクシュアリティについて 森山至貴『LGBTを読みとく』 河口和也『クィア・スタディーズ』 M・ハルプリン『聖フーコー』(村山敏勝訳) 竹村和子『愛について』 D・カメロン/D・クーリック『ことばとセクシュアリティ』(中村桃子/熊谷滋子/佐藤響子/クレア・マリィ訳) 家族・恋愛について 岩間暁子・大和礼子・田間泰子『問いからはじめる家族社会学』 牟田和恵編『家族を超える社会学』 齋藤純一『政治と複数性』 現代思想 第49巻第10号「〈恋愛〉の現在」 A・ギデンズ『モダニティと自己アイデンティティ』 松村圭一郎/中川理/石井美保編『文化人類学の思考法』 ケア規範について 村上靖彦『ケアとは何か』 J・C・トロント/岡野八代『ケアするのは誰か?』(岡野八代訳) 小川公代『ケアの倫理とエンパワメント』 G・ペリー『男らしさの終焉』(小磯洋光訳) おわりに
歩幅を揃える 一週間後、同性の友人との二人暮らしが始まる。 いま僕は新居でひとり、数日遅れて入居してくる彼を待っている。苦労して見つけた二人用の家は、僕一人で住むには少し広い。 二人で一緒に暮らそうと決めてから、もうすぐで丸二年が経つ。二人の就職のタイミングの都合により同居開始まで二年間の空白期間があり、その間僕たちは週末同居という形で、二人暮らしをするための「テスト期間」を設けていた。 水回りの水滴はきちんと拭くとか、洗濯物はこう畳むとか、味噌汁の味付けはこれくらいの濃さがいいとか、そういう暮らしの足並みを二年間かけて少しずつ揃えてきた。 僕たちはお互いだけを強く求め合う関係だとか、二人さえいれば全て問題解決というふうに思えるような関係にはないので、より一層冷静に、これまで二人が積み重ねてきた生活のリズムを互いに確認し、「二人でいること」と「僕たち一人ひとりが自分自身であること」とが矛盾
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