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ktr-1961.hatenablog.com
矢野目源一の幻の詩集『光の処女』がネットでも見られるようになって、とうとうそういう時代がきたか、という感をつよくしている*1。 彼の詩集『光の処女』と『聖瑪利亜の騎士』は、何年か前にテクストファイルを作ってネット上に流したことがある。電子テクストが見られるようになった現在、もう存在理由はないかもしれないが、いちおうここで宣伝(?)しておきます。 矢野目源一詩集(旧名:げんいち先生旧詩帖) ところで、矢野目の名前は知っていても、顔を知っている人はあまりいないような気がするので、手持ちの本から彼の写真をアップしておく。年を取ってからのものだが、若いころは歌舞伎役者みたいないい男だったのではないか、と思わせるような、細面の美男である。 *1:光の処女 : 詩集 - 国立国会図書館デジタルコレクション
今週のお題「わたしの好きな歌」 たった一回聴いただけの曲が、なぜか執拗に記憶にとどまることがある。たとえば私の場合、田島裕子の「あざやかに生きて」がそれだ。 じつはこの歌手名も、曲名も、私にとっては長いこと謎だった。なにしろ大昔に一度、テレビでスタジオライブを見ただけで、その後はまったく耳にしないまま長年月がすぎたのだから。あやふやな記憶で「しなやかに生きて」という曲名だったような気がしていたが、検索をかけてもまったくヒットしなかった。私の見たと信ずるものは幻だったのでは? という疑いすら頭をもたげてきた。 ところが近年、検索エンジンの性能が飛躍的に向上した結果、インプットに少々誤りがあっても、正解の近くまで導いてくれるようになったのである。「しなやかに生きて」で検索すると、「あざやかに生きて」という曲が引っかかってくる。もしやと思って調べてみたら、これこそ私が長年求め続けていた曲だという
ときどきひどく分りにくい文を書く人がいる。いわゆる悪文家。もうちょっとわかりやすく書けませんかね、と文句のひとつもいいたくなるような人々だ。 井筒俊彦はその正反対だ。かれの書く文はすばらしく明快である。かれの本を読んでいると、こっちまで頭がよくなったかのような錯覚に陥ることがある。 しかし、私の思うのに、井筒はわかりやすい文しか書けない文筆家なのである。明晰にあらざるものは井筒的ではないのだ。それはもちろんわるいことではない。しかし、この点を無条件で称賛していいかどうか。 * * * 井筒先生は国際的に認められた碩学だそうだ。この本にもジャック・デリダの先生宛の書簡が付録としてついているが、それを見ると、まさに叩頭の礼をつくさんばかりの丁寧な文面に驚く。 いったい井筒の何が、デリダのような海千山千の哲学者をここまでへりくだらせるのか。 それは、井筒がたんなる碩学ではなく、オカルティストであ
ベルギー象徴派の代表的な詩人にシャルル・ヴァン・レルベルグがいる。この人は私のちょうど100歳年上で、生まれた月もいっしょなら、日も3日しか違わない。だからどうしたといわれるかもしれないが、こういうところにもなんとなく親近感をおぼえる。 レルベルグは日本ではあまり知られていないが、全世界的に見ても不朽の詩人である。なぜかといえば、彼はガブリエル・フォーレの晩年の傑作歌曲集『閉ざされた庭』と『イヴの歌』に歌詞を提供しているからで、フォーレの歌曲が聴きつづけられるかぎり、付帯的にレルベルグの詩も生きつづけることになるのだ。 フォーレの『閉ざされた庭』に収められている EXAUCEMENT(叶えられた願い) を和訳してみる。 きみがその疲れた額を 光り輝く両手にうずめるとき、 きみの祈りに応えて私の愛が 大願成就とあらわれますように。 まだふるえているきみの口に 言葉がとだえ、 その口もとがほこ
永遠の、とくれば、夏、ですよね。永遠の冬なんていうのは考えにくい。ましてや永遠の春や秋などありえない。それらは来てはまた過ぎ去るものだ。 これは夏をあらわすフランス語が「エテ」なので、それが「エテルネル(永遠の)」を連想させるのだろうか。いやいや、そんな浅薄な理由であるはずがない。 思うに、夏が永遠の感覚を喚び起すのは、おそらく子供のころの夏休みの存在に関係がある。夏休みに入ったころの、つまり7月下旬のあの感覚、休みがいつまでも続くようなあの甘美な感覚が、おそらく「永遠の夏」の印象の因ってきたるところだろう。 私はごろりと横になって目をつぶり、扇風機の風をあびる。そうすると、やはりそういう姿勢で体験した過去の夏の思い出が鮮やかによみがえってくる。それは子供のころ住んでいた安アパートの二階であり、高校のころクラブ活動に出かける前のつかのまの休息であり、あるいは社会人になってから仕事で出た現場
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