サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
GPT-4o
manba.co.jp
私事で恐縮ですが、5月下旬に文学通信より当方初の単著『麻雀漫画50年史』が出ます。表紙は小林立氏描き下ろしの龍門渕透華さんです。小林先生とスクウェア・エニックスさんおよび俺のワガママを通して下さった担当編集さんには感謝しかない。麻雀漫画50年の歴史の本の表紙を特に主人公でもない龍門渕さんが飾るというのも、『エアマスター』で深道バトルロイヤルの頂点に屋敷が立ったみたいでちょっと良くないですか。 『麻雀漫画50年史』(V林田/文学通信) というわけで今回の紹介は麻雀漫画。嶺岸信明氏のインタビュー前編に名前が登場したものの、電書化されている他の様々な作品と違い現代で読んでいる人は少ないであろう傑作『風牌に訊け』です。インタビュー中でも少し触れていますが、連載は、笠倉出版社が80年代後半に約6年間刊行していた麻雀漫画誌『劇画麻雀時代』で85〜88年。原作の吉田は70〜80年代に非常に多くの麻雀漫画
前回、唐突に話を打ち切ってしまって申し訳ない。さて、鳥山明さんについての続きである。何をいいたかったかといえば、紙出版の日本マンガが未曾有の巨大市場を獲得した最盛期(80年代後半~90年代前半期)を牽引したのは、間違いなく「週刊少年ジャンプ」の躍進であり、その中心にあったコンテンツが 『Dr.スランプ』(1980~84年)と『ドラゴンボール』(84~95年)だったということだ。 『Dr.スランプ』には、下品なギャグのわりにうんこを可愛く感じさせてしまう品の良さがあった(キャラクターの汎用性?)。アニメ化前提で連載開始した*1 『ドラゴンボール』では、バトル化でキャラクターを大量生産し、同時にそれは、アニメ、キャラクター商品、ゲームなどの「メディア・ミックス」=多メディア展開商品へと拡張する。それ以前からあった、この構造の完成が、マンガ出版市場の急速な拡大を支えたのだろう。いわば日本のマンガ
●日本を代表する漫画家藤子・F・不二雄先生の傑作作品『ドラえもん』。未来の国からやってきたごぞんじ、ネコ型ロボットのドラえもんが親友のび太とともにくりひろげる友情ファンタジー。四次元ポケットから取りだされる不思議な道具で日本じゅうを笑いに包みこむ。しずちゃんやスネ夫、それにジャイアンも元気いっぱい。大きな夢をあたえてくれるワクワクドキドキ素敵な道具でキミを心温まるドラえもんワールドにご案内。▼第1話/未来の国からはるばると ▼第2話/ドラえもんの大予言 ▼第3話/変身ビスケット ▼第4話/秘(丸囲み)スパイ大作戦 ▼第5話/コベアベ ▼第6話/古道具きょう争 ▼第7話/ペコペコバッタ ▼第8話/ご先祖さまがんばれ ▼第9話/かげがり ▼第10話おせじ口べに ▼第11話/一生に一度は百点を ▼第12話/プロポーズ大作戦 ▼第13話/◯◯が××と△△する ▼第14話/雪でアッチッチ ▼第15話
ビートルズ来日直前、『週刊少年サンデー』だって特集してます。昭和41年26号「ビートルズ」と「エレキ大学」 昭和42年の『週刊少年サンデー』新年合併号について以前に書きましたが今回はその1年前、昭和41年26号を紹介しましょう。 次号予告からこの号の発売は6月17日だと思われます。 ビートルズの武道館での第1回公演が6月30日。 直前です。 音楽や芸能関係の雑誌でのビートルズ来日特集は、古書の世界では割とよく目にします。 と言っても来日特集の物は人気が高く、すぐ売れるんですよね。 古書店の従業員時代には公演パンフレットも手にしたことがあります。 パンフレットはレプリカもあり、オリジナル含めて現存数は多いと思うのですがあまり市場には出てきませんね。 きっと所有している方々が大事になさっているのでしょう。 今回の『少年サンデー』はいつもの古書店で購入した物です。 表紙にはビートルズの文字はあり
マンガの中で登場人物たちがうまそうに酒を飲むシーンを見て、「一緒に飲みたい!」と思ったことのある人は少なくないだろう。酒そのものがテーマだったり酒場が舞台となった作品はもちろん、酒を酌み交わすことで絆を深めたり、酔っぱらって大失敗、酔った勢いで告白など、ドラマの小道具としても酒が果たす役割は大きい。 そんな酒とマンガのおいしい関係を読み解く連載。18杯目は、とあるビールをキーアイテムとした短編集、コナリミサト『恋する二日酔い』(2012年~13年)をご紹介しよう。 『恋する二日酔い』 大人気モデル・渋谷なつこ(愛称・シブナツ)をCMに起用し、女子をターゲットとしたビール「ピンクビールアワー」。女子向けというと甘いお酒のイメージがあるが、このビールは辛口なのにフルーティ、キレがあるのにクリーミィ、そのうえカロリーゼロでコラーゲン配合と、いいことずくめで大ヒットした。本作は、そんな不思議なビー
連載が始まって「これは面白い」と思ったのに、たった2ヶ月で中断してしまったらかなりショックだ。そこから12年近く待たされたらなお辛い。今回取り上げる四角丸/原作、かわぐちかいじ/マンガ『理尽の不思議な野球』は、そんなマンガなのだ。 『理尽の不思議な野球』 日本文芸社の『週刊漫画ゴラク』で連載がスタートしたのは、2012年7月6日号。同誌にかわぐちかいじが連載するのは、元全日本ミドル級チャンプが私立探偵として活躍するハードボイルド『探偵ハンマー』(1981〜83)以来だ。表紙には「巨弾新連載」の文字の後にビックリマークが4つも並んでいる。「希望を胸に 期待を背に そして未来はこの手の中に」というキャッチコピーにもビックリマーク4つ。新連載を記念してかわぐちのサイン入り野球ボールが10名にプレゼントされる、という告知もあった。絶対にヒットさせる、という編集部の熱い思いが伝わってくる。 コンビニ
2025年春卒業の大学生の就活が本格的に始まった。いや、実態としてはもうとっくに動き始めているらしいが、一応建前上は3月1日から説明会開始ということになっている。筆者の頃に比べて格段に早くなっていて、今の学生は大変だなと思う。 とはいえ、現代社会で生きていくためにはお金が必要、お金を稼ぐためには何らかの仕事をしなければならない。「老後2000万円問題」なんて話もあるし、どうせならたくさん稼ぎたい――と思うのは自然なことだ。そのためには、やはり“お金の仕組み”を知らなければなるまい。というわけで、当連載最終回はビジネス&マネーの世界を描いた快作をご紹介しよう。 ■圧倒的スピード感の“成り上がり”ストーリー まずは何といっても、作:稲垣理一郎・画:池上遼一『トリリオンゲーム』(2021年~連載中)である。主人公の一人、パソコンオタクで陰キャなガクは就活に失敗。が、ひょんなことから知り合ったイケ
『不適切にもほどがある!』が話題ですが、80年代の性のモラルを振り返ってみると、セクハラ・無神経・女性蔑視の嵐で、とんでもないネタばかりでしたね。 女性向けマンガの変遷を振り返って見ても、女性の性に対する考えかたも劇的に変わってきたなと感じます。 女の求めるエロティシズムとはなんでしょうか。どんな歴史を経て、現在に行き着いたのでしょうか。 電子書籍・TL誌売上ランキング12年連続第1位という、ティーンズラブ雑誌最大手の『恋愛LoveMAX』編集顧問石川粛人さんに、TLの歴史を聞きました。 『恋愛LoveMAX』(秋田書店) ――まず少女マンガで「エッチなマンガ」が作られるようになったのは80年代からかなと思います。でも「エッチだ」と人気だった『マリオネット』(愛田真夕美)という作品では、セックスをする人は必ず悪者です。90年代に入るまで、女性には性に対する罪悪感や、「性行為は悪だ」みたいな
麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、先日放送された「マンガ家ガチアンケート・板垣恵介編」前編の模様を紹介していきます。 何百回とやらされた「五接地転回法」 川島 この番組、毎回とんでもない方がいらっしゃるんですけど、今日は特別緊張感があります。ずっと読んでてバイブルになってる作品の先生でもあるし、出現したら即しばかれそうな先生でもある(笑)。では登場していただきましょう、あの超名作『グラップラー刃牙』など『刃牙』シリーズの作者・板垣恵介先生です! ……あれ? 先生、なんでそんなに疲れてるんですか? 板垣 いつもだったら、まだ寝てる時刻なんで(笑)。 *収録は昼の12時30分から行われた。 川島 お疲れの中、来ていただいてありがとうございます。今年はなんと『刃牙』シリーズ連載30周年ということで、メモリアル
「西荻ヨンデノンデ」 作者前作「草子ブックガイド」よりも知名度なさげだが、持ち味そのまま読みやすい 感じ。前作の消化不良も解消するような1巻でやり切って後味良い終わり方
前編はこちら なお、あまりに長期連載である『天牌』については展開のネタバレが幾つかありますので、その点のみご注意ください。 狩撫麻礼氏と『オールド・ボーイ』 ——『麻雀時代』とかは雑誌が潰れて、『てっぺん』『幻に賭けろ』と90年代前半まではずっと麻雀が多かったですよね。同時に、日本文芸社の方でも『はぐれT.C.』とか『さわがせ屋』とか色々やられてますね。 嶺岸 『さわがせ屋』とか久々に名前聞きましたね。やってましたね。 ——ちょっと今のイメージとは違うコメディっぽい感じだったりして。 嶺岸 あれは『別冊ゴラク』ですね。そもそも青柳先生のところにいた時に編集者の方がよく来てたんです。日本文芸社でも小学館の『ビッグゴールド』みたいなやつ……。 ——『カスタムコミック』(注23:79〜82年。『ビッグゴールド』(78〜85、92〜99年)とともに、大御所作家を揃えた豪華執筆陣の雑誌)ですかね。
今月のマンバのサービスのアップデート情報をお知らせします! 主にマンバWebサイトのリリース・アップデートのお知らせになります 続きをみる
デビューしてから約40年。麻雀漫画史上空前の大河連載作品『天牌』を筆頭とした、麻雀漫画単行本冊数日本一(当然世界一でもあります)の漫画家であり、麻雀以外でも、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞映画の原作にしてアイズナー賞も受賞した『オールド・ボーイ ルーズ戦記』(原作:土屋ガロン(狩撫麻礼))など数多くの作品を発表してきた嶺岸信明氏。青柳裕介氏のアシスタント時代から 『週刊漫画ゴラク』で現在連載中の『オーラス-裏道の柳-』まで、ゴラクの担当編集A氏を交え、じっくりとお話を伺いました。 漫画家デビューのころ ——まずは漫画家を目指されるまでのことからお伺いしたく思います。宮城県のご出身と以前仰っていましたが。 嶺岸 そうです。加美町っていうところです。『ぼのぼの』のいがらしみきおさんが同じ加美町出身ですね。 ——昔の、「日本漫画学院」のリレーインタビューに「矢口高雄さんや石井いさみさんの作品を模
僕はお笑い芸人だ。 7年目でもまだ若手で、まだ売れてもいない。 今年で30になるが、意識するとふと他の生活を考えてしまうことがある。 そんなとき、いつも思い出すのは僕がお世話になった先輩と、この読切漫画だ。 この漫画は、売れていくイケメン芸人と、真剣にお笑いに向き合っていたが苦悩の末にアイドルにハマって辞めていった主人公を描いている。 イケメン芸人は主人公・清水の才能を羨み、清水はイケメン芸人を妬んだ。 僕の先輩は、心底面白くて、芸人の誰からも愛されていて、でも地味で人気がなかった。 僕なんかのことを可愛がってくれた「大久保たもつ」さんという大好きな先輩だ。 深夜のバラエティに少しずつ出始め、ドラマ化した芥川賞受賞作の「火花」で売れていく若手芸人役を演じて、去年の冬に、突然芸人を辞めた。 「ODD FUTURE」の主人公・清水は、実はこの大久保さんがモデルだと聞いた。 当時、まだ芸人を辞め
『DRAGON BALL』 2024年3月8日、NHKBSからの取材依頼メールで、初めて鳥山明さんの訃報を知った。3月1日、68歳での逝去。ショックでしばらく頭が真っ白になった。昨年来戦後漫画の巨星が立て続けに鬼籍に入ったが、彼らについては私も割と冷静だった(みなもと太郎さんを除けば、だが)。私の中で鳥山さんは、いわば巨星たちが築き上げた戦後マンガ出版(紙)の最盛期を象徴する作家であり、しかしそれに相応しい評価がいまだなされていない人だった。お会いしたことはないが、大好きな作家でもあった。言葉もない、というのが正直なところだ。が、そうもいっておれないのが「マンガ批評家」の哀しいところで、何とか自分を奮い立たせて書かせていただく。鳥山明が巨大な存在なのは、日本人なら何となく感じ取っていると思うが、誰も具体的にどう巨大なのかを語ってくれないので、聞かれても好きか嫌いかとか、子供の頃読んだとか答
純粋無垢な小さな子供から、闇を抱えて生きる大人まで広く国民的な支持を得ている『ちいかわ』。SNSで最新話が投稿されると1分も経たない内に1万いいねが付く大人気ぶりです。 島編の衝撃も冷めやらぬ内に先日公開され話題になった、『HUNTER×HUNTER』で人間に対する狩りの愉悦を覚えたギョガンさながらのハチワレを描いた新エピソードには「流石『ちいかわ』……」と慄かずにはいられませんでした。 社会現象とも言える大人気に押され、日々さまざまな関連グッズや関連書籍、コラボなどが続々と出てきます。今回紹介する『ちいかわ お友だちとのつき合いかた』もそのひとつ。『ちいかわ』キャラクターをベースに、学校心理士の資格を持つ大妻女子大学助教授の加藤裕美子さんが上手に他人と付き合っていく方法を子供でもわかりやすいように書いた本です。 『ちいかわ お友だちとのつき合いかた』(ナガノ, 加藤裕美子/KADOKAW
短期間に2度も打ち切りになるという不運なマンガがあった。横山光輝のカーレースマンガ『グランプリ野郎』である。 『「少年」完全版グランプリ野郎 限定版BOX』 光文社の月刊誌『少年』に連載された代表作『鉄人28号』が1966年5月号で完結したのを受けスタートしたのは同年10月号。元々自動車好きだった横山は、鉄人とは違った新しいマンガを生み出すべく、ホンダのF1マシンがメキシコグランプリ(1965年)で初優勝するなど、当時、男の子の注目を集めていたカーレースの世界を取り上げた。 カラー扉が毎回のように付くなど、人気は高かったが、1968年3月号で掲載誌の『少年』が休刊。連載も中断を余儀なくされた。 しかし、その直後には、集英社の月刊誌『少年ブック』で1968年4月号からの再スタートが決まる。『少年ブック』版の第1回で横山は「話を一部かえて、完結まで発表させていただくことになりました。はじめて読
麒麟・川島とかまいたち・山内が「面白いマンガ」に沼のようにハマって楽しむマンガバラエティ『川島・山内のマンガ沼』。今回は、先日放送された「マンガ家ガチアンケート・たかたけし編」の模様をお送りします(放送を見逃した方はTVerもご覧ください)。 地元のコンビニから東京のコンビニへ!? 川島 川島・山内のマンガ沼、今回のテーマはマンガ家ガチアンケート! 今回は私がリクエストした先生でございますけれども、今、次が一番気になっているマンガです。テレビ初登場、『住みにごり』の作者・たかたけし先生です。 川島・山内のマンガ沼 |読売テレビ たか ありがとうございます。 川島 先生は「サングラスをかけた状態なら出演していい」とおっしゃったらしいんですけど……サングラス、薄ない? 山内 薄っ! たか 友達で持ってる人が一人しかいなくて。それで借りて。 川島 先生、1,000円もしないやつ、ありますよ、濃い
古書業界に携わる者ならば知っていて当たり前の雑誌ですが、世間的には農業関係者以外にあまり知られてない『家の光』という雑誌。 現在も発行され続けている雑誌です。 歴史は古く、今回調べて知りましたが大正時代の創刊です。 そして農協(JA)を通じて購入するという販売方法で、書店での流通はありません。 私の手元には昭和30年4月号が1冊だけあります。 御紹介する前に、何故書店での流通が無いのか。 昭和40年代前半の体験と推察になりますが、私なりに説明したいと思います。 昭和42年に小学校に入学した私は毎回ではありませんが、夏休みや冬休みに農家である母方の実家に預けられるようになりました。 小学校入学以前にもあったかもしれませんが、記憶には残ってません。 父は出稼ぎ労働者で1年のほとんどを留守にしており、母は飲食店で働く家庭でした。 長い学校休みの期間に子供の面倒を見られない家庭では当然だったと思い
この連載では、これまで20作品以上の海外マンガを紹介してきた。こうなったらマンガで世界一周といきたいところだが、実はこれまで取り上げてきたマンガは、北米、西ヨーロッパ(特にフランス語圏)、東アジアに偏りがちで、南米、アフリカ、中東、東南アジアなど、紹介できずにいる地域はまだまだ多い。 そもそも南米にしろアフリカにしろ中東、東南アジアにしろ、これらの地域のマンガは邦訳が決して多くない。だからこそなかなか紹介する機会を得られずにいるのだが、今回はそうした未紹介の地域のマンガの中から、東南アジアはマレーシア発のマンガをひとつ取り上げたいと思う。ちょうど10年前の翻訳になるが、ラット『カンポンボーイ』(監訳:左右田直規、訳:稗田奈津江、東京外国語大学出版会、2014年)という作品である。 ラット『カンポンボーイ』(監訳:左右田直規、訳:稗田奈津江、東京外国語大学出版会、2014年) ご覧の通り判型
マンガの中で登場人物たちがうまそうに酒を飲むシーンを見て、「一緒に飲みたい!」と思ったことのある人は少なくないだろう。酒そのものがテーマだったり酒場が舞台となった作品はもちろん、酒を酌み交わすことで絆を深めたり、酔っぱらって大失敗、酔った勢いで告白など、ドラマの小道具としても酒が果たす役割は大きい。 そんな酒とマンガのおいしい関係を読み解く連載。16杯目は、女性バーテンダーたちの活躍を描く、早川パオ『まどろみバーメイド』(2017年~連載中)をプッシュしたい。 『まどろみバーメイド』 夜な夜な、どこかの街角に現れる屋台のバー。店主は若き女性バーテンダー・月川雪(つきかわ・ゆき)だ。お酒の知識がほとんどない初心者から通を気取った面倒くさいおっさんまで、訪れる客はさまざま。どんな客にも丁寧に接する彼女の腕は一流で、屋台だからと舐めてかかった客をひねりの効いたカクテルで唸らせる【図16-1】。
貸本時代の終焉に発刊された遊び心満載のアクション活劇は貸本として使用されずに残った。都島京弥『スパイは2度死ぬ』東京トップ社刊行 昭和30年代、貸本という形態で生み出された多くの漫画作品は無数にあると言っていいくらいです。 貸本専門の出版社から出されたA5サイズの本は多くが現存していますが、全貌を掴むのは不可能に近いのではないでしょうか。 貸本漫画を多く描いて昭和40年代以降も漫画家として作品を発表された方の物は、令和の現在でも漫画専門店のガラスケースに高値で陳列されてます。 例えば「水木しげる」さんや「さいとうたかを」さん、「平田弘史」さん「楳図かずお」さんなどはかなりの高額ですね。 しかし人気漫画家以外の貸本漫画は安い価格で売られ、それでも中々売れないで棚に刺さったまま動かないのが実情です。 今回手に入れた『スパイは2度死ぬ』は、良く行く漫画専門の古書店で売られていたのを購入しました。
突然ですがみなさん、陰陽師を初めて知ったのはいつでしょうか。私は中学生のころ、小説を読んで知り、風水や四神とは何て面白いのだと思い、加門七海先生の「大江戸魔方陣 徳川三百年を護った風水の謎」などにたどり着きました。加門先生は、怪談、エッセイなどを書く文筆家をされながら私たちが非日常と考える世界と日常的に接している人です。そうした加門先生の日常をエッセイで描いたのが、『七海さんのオバケ生活』(朝日新聞出版、加門七海/みつつぐ)です。 『七海さんのオバケ生活』 加門先生はオカルト好きにも一目置かれている作家です。怪談実話や、小説だけでなく呪術や神仏に関する著作も多く、最近は呪術・陰陽道にも関わったに大江匡房を取り上げた「神を創った男 大江匡房」という著作もあります。 そんな加門先生の日常も、神社やお寺、不思議なものとの接点が豊富です。引っ越しをすれば地元の神社にお参り。近所のお稲荷さんとコミュ
今回取り上げるのは、大和田秀樹の政治大河コミック『疾風の勇人 所得倍増伝説』だ。講談社の青年誌『モーニング』で2016年9号から2017年20号に連載。単行本はKCモーニングから全7巻で完結している。 『疾風の勇人』 主人公は1960年7月19日から64年11月9日まで内閣総理大臣を努めた池田勇人。彼が生きた太平洋戦争後の復興から高度成長へと向かう動乱の時代を、第1章「日本独立編」、第2章「総理への道編」、第3章「死闘! 55年体制編」、第4章「宏池会爆誕編」の4部で描くはずだった。 しかし、第2章が完結しないまま2017年27号で連載は終了。単行本最終巻の7巻では大幅な加筆修正がなされた。 唐突な終わり方だったために、ときの政権からのクレームに屈したのではないか、などさまざまな憶測がめぐらされ、当時の岸田文雄自民党政調会長(現総理)が単行本第7巻に帯コメントを寄せたのにも裏があるのでは、
細身で、中性的で美しい男子が好きな人はいますか……そんなみなさまは『ダイヤモンド・パラダイス』を読むといいと思います……。 『ダイヤモンド・パラダイス』 80年代後半、世の中はバンドブームでした。誰もがギターを欲しがり、親にねだって買ってもらったものです。そしてたいていの人はそのまま押し入れに眠らせました。当時の厨二病男子が夢見たのは、ファンタジーよりもロックスターです。好きな女の子の前でドラムを叩く振りをしたり、BOØWYの歌をクネクネ口ずさんだりしておりました。 また、フリーターがかっこいいなんて言われていたのもこの頃です。就職するよりバイトのほうが給料がいい場合もあって、つまらない会社勤めをするよりも夢を追ったほうがいい! なんてムードもありました。 そんな中、連載されていたのが『ダイヤモンド・パラダイス』、略して『ダイ・パラ』です。 主人公は女子高生のひとみ。ちょっとハスキーボイス
法月理栄さん第11回。みんなでワイワイが楽しい「おしげさん」の騎馬戦と即席楽団。『利平さんとこのおばあちゃん』「帰省」「ハレー彗星」 『利平さんとこのおばあちゃん』の電子版未収録の話を紹介する記事も11回目です。 今回は「おしげさん」を交えて、みんなでワイワイする話を紹介しましょう。 まずは『ビッグコミック』昭和59年8月10日号掲載の「帰省」 『ビッグコミック』(小学館)昭和59年8月10日号 夏のある日。中学の同窓会がある為、続々と村へ帰ってくる若者たち。 30歳過ぎてますが、若者と表現してもいいでしょう。 おしげさんの店に紙コップを買いに来た若者から、「運動会などよく手伝ってくれたから、ばあちゃんもおいでよ」と同窓会に誘われます。 普通村の住人とはいえ関係ない人を同窓会に誘わないと思いますが、そこは村出身の若者の温かさとおしげさんの人柄でしょう。 学校で開かれる同窓会。 皆や学校の先
マンガの中で登場人物たちがうまそうに酒を飲むシーンを見て、「一緒に飲みたい!」と思ったことのある人は少なくないだろう。酒そのものがテーマだったり酒場が舞台となった作品はもちろん、酒を酌み交わすことで絆を深めたり、酔っぱらって大失敗、酔った勢いで告白など、ドラマの小道具としても酒が果たす役割は大きい。 そんな酒とマンガのおいしい関係を読み解く連載。17杯目は、酒好きすぎる漫画家が日本全国の地酒を飲み歩く、梅吉『一杯では終われません』(2007年~08年)をピックアップしたい。 『一杯では終われません』 タイトルどおり、酒好きの女性漫画家(札幌在住)が全国の酒蔵を訪ね歩き、一杯では終わらず二杯三杯、何なら五杯六杯七杯八杯と、しこたま飲んではベロベロになるさまを描いたエッセイマンガ。北海道・増毛(ましけ)町にある日本最北端の酒蔵・國稀(くにまれ)酒造を訪ねた第1話からして、いきなり「『酔える』と
『木曜日のリカ』 以前に『スーパーくいしん坊』の記事でも書きましたが、ウェブ上には1コマだけ、1ページだけがミーム的に広まっている漫画というものがあります。今回紹介する小池一夫+松森正『木曜日のリカ』もそンな漫画の一つ。連載は71〜72年の『週刊少年キング』で、単行本は全5巻です。本作のタイトル聞いてピンとこないという方でも、次の1コマはTwitterあたり(あと、90年代の漫画関連本読んでた人だと、宝島社の『コミックVOW』で知ってるかも)で見たことがあるのではないでしょうか。というか、筆者はつい最近流れてきたのを見ました。 『木曜日のリカ』2巻222ページより インパクトありますね、「ノーベル殺人賞」。しかし本作をちゃンと通して読んだ人はそンなに多くなく、この賞やセリフについて意味を誤解している人が多いのではないかと当方は思っているのです。というわけで紹介。 本作の主人公・美木本リカは
新人賞、それ以外の賞問わず 最近のだと浄土るるがデビューした時の業田良家の評が好き。太田垣康男のものもまた別の良さがある https://shincomi.shogakukan.co.jp/winner/84/
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『マンバ | 秒で見つかるいいマンガ』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く