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news.yahoo.co.jp/byline/soichiromatsutani
動機が見えにくい凶悪事件──それが相対的に浮上してきたのは90年代以降のことだったろうか。犯人の背景には「貧病争」が見えないものの、突然生じてしまう事件だ。その代表的なものが1997年の少年Aによる「酒鬼薔薇事件」かもしれない。そして現在も類似する事件が目立っている。 2015年、少年Aは手記『絶歌』を発表して大きな論争に発展した。その際にかの本を取り巻く日本社会の状況を描いた記事を再掲する。 初出:『論座』(朝日新聞社)2015年6月24日/一部加筆・修正 「被害者遺族の心情を配慮」 1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件。その犯人である元少年Aの手記『絶歌』が出版されて、2週間ほどが経過した。この一件は、いまだにさまざまな反響を呼んでいる。 たとえば、啓文堂は38店舗全店で販売を見合わせている。その一方で売れ行きはとても良く、版元の太田出版は5万部の増刷を決めた。累計発行部数は15万部
“ヒットの固着”はなぜ起こる? 特定の曲が何年もチャートインし、しかも同じアーティストばかり──過去6年のSpotifyチャートから見えてきたのは、日本の音楽ヒットが極めて停滞していることだった。まさにそれは、“ヒットの固着”と呼ぶにふさわしい現象だ。前回の記事「ヒットの固着──Spotifyチャートから見えてきた停滞する日本の音楽」(2月13日)では、その事実をひとつずつ確認していった。 では、なぜこうした奇妙な事態が生じるのか? その考えられる要因をひとつずつ探っていく。 筆者作成。 停滞の要因は高齢化社会? 伝統など確たる権威が機能しない後期近代の資本主義社会では、常に再生産のためのイノベーションが求められる。そこで伝統文化と対照的なポピュラー文化の流動性は、当該社会のダイナミズムを示す指標のひとつと捉えられる。ポピュラー文化とは、流行の循環を常に続ける無限運動であることこそがその存
「馴染みのある歌手がいない」──11月、『紅白歌合戦』の出演者が発表されたときに目立ったのは、そうした反応だった。 それは公共放送に向けられる厳しいまなざしであるのと同時に、長らく一年の締めくくりとして愛されてきた『紅白』への大きな期待のあらわれでもある。 では、こうした『紅白』を客観的に考えるとどうなるか? さまざまデータを使って『紅白』を分析すると、その先に視聴者の疑問に対する答も見えてくる。 新陳代謝が順調に進む まず、今年の出演者をおさらいしよう。特別出演も含め今年は51組となる。2部制となった1989年以降、『紅白』の出演者は50組前後で推移しており大きな変化はない。このなかには、milet×Aimer×幾田りら×Vaundyのユニットのように、ひとりの歌手が複数回出演するケースもある。 出演回数をカウントすれば、今年は以下のようになる。5回以下が58%、6回以上が42%となって
ジャニー喜多川氏死去、ジャニーズ事務所への公取委の注意、そして吉本興業の混乱――今年の夏、芸能界ではさまざまな出来事が巻き起こった。 そうした大きな話題の影で、AKB48は半年ぶりのシングル「サステナブル」を9月18日にリリースすると発表した。通常であれば3ヶ月おきにシングルが発表されるが、選抜総選挙がなかった今夏は半年の期間が空いた。 各グループを中央に集権化する年に一度のイベントは、地域密着を本義とするAKBグループにとって、矛盾をはらむ強い「呪縛」となっていた。そんな総選挙から解き放たれたこの夏、静かに存在感を失いつつあるように見えるAKB48はどこに向かうのか──。 史上最大の汚点・NGT48 昨年から今年にかけて、AKB48グループではさまざまな出来事が生じた。その多くは、決してポジティブな内容ではない。 なにより注目されたのは、やはりNGT48(当時)の山口真帆による暴行被害事
7月17日夜、公正取引委員会がジャニーズ事務所に注意したことをNHKがスクープした。 ・「元SMAP3人の出演に圧力か ジャニーズ事務所に注意 公取委」2019年7月17日 このNHKの報道では、ジャニーズ事務所が民放テレビ局などに対し、元SMAP(現・新しい地図)の3人を「出演させないよう圧力をかけていた疑いがある」としている。 本記事では、このニュースの背景を解説していく。 2018年の独禁法見直し まず、この問題の前提として押さえる必要があるのは、ふたつの事実関係だ。 ひとつは、元SMAPメンバーの稲垣吾郎さん・草なぎ剛さん・香取慎吾さんの3人について、相次いで地上波キー局のレギュラー番組が終了した事実だ。3人は、2017年9月にジャニーズ事務所との契約を解消して、SMAPの元チーフマネージャーだった飯島三智氏が設立したCULENに移籍した。その後、長寿番組も含む彼らの地上波番組はN
きっかけは西日本新聞 準々決勝が終わり、ベスト4が出揃った高校野球・夏の甲子園大会。そこでまたひとつの騒動が起きています。ベスト4に進出した熊本県代表・秀岳館高校の吹奏楽部が、九州のコンクールをキャンセルして甲子園での応援を優先したことが、強く問題視されたのです。 このニュースは8月18日に当事者への取材記事が複数発表され、さらなる混迷を見せつつあります。なぜなら、学校側と生徒側でこの件についての見解が少し異なるからです。 ここからは、3つの報道を比べてその違いを確認していきましょう。 ことの発端は、8月16日夜に配信された西日本新聞の記事でした。 部員たちは、この夏の吹奏楽コンテストの南九州大会出場をあきらめ、全国制覇を目指すナインとの夏を選んだ。[略] 南九州大会は8月11日。県予選を通過しても、甲子園の応援を優先すれば大会には出られない。コンテストか、甲子園か。7月下旬の職員会議は2
トランプ支持者の“感情” アメリカが、ドナルド・トランプに困り果てている。 共和党の大統領候補者争いにおいて、トランプの指名が確定した。2月のスーパー・チューズデー以降も勢いは止まらず、5月2日のインディアナ州予備選でも勝利。獲得代議員数で2位と3位につけていたテッド・クルーズとジョン・ケーシックは、それぞれ撤退を発表した。 ローマ法王をはじめ世界中の要人もトランプに憂慮を示しているが、もっとも困っているのは当の共和党やアメリカの保守系メディアだろう。共和党は必死にトランプ降ろしを画策したが空振りに終わり、保守系のFOXニュースはトランプが勝つたびにお通夜状態だ。 そんなトランプを支持するのは、アメリカの白人貧困層だと言われる。彼らは、トランプの過激な発言に熱狂する。 「メキシコは、麻薬や犯罪を送り込んでくる。彼らはレイプ魔だ!」(2015年6月16日) 「全面的で完全なイスラム教徒のアメ
ウソグラフの世界 ここ数年、統計学がブームとなっています。オープンデータやビッグデータなど、IT化の進展とともにそれまで以上にさまざまな数字が扱われるようになっています。 そんな統計において、欠かせないものがグラフです。数値を図形化して視覚的な理解をうながすグラフには、棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフなどなど、さまざまな種類があります。 ただ、意図的かどうかはさておき、作為が加えられたグラフを見かけることも珍しくありません。数値に手を加えることはもってのほかですが、それよりも目立つのは見せ方を工夫(作為)して実際の数値以上の効果や影響を錯覚させようとするものです。そうしたものは、「ウソグラフ」あるいは「クソグラフ」などと呼ばれたりします。 それでは、こうしたウソグラフにはどういうものがあるのでしょうか? 電子コミック市場は急成長? 先日『News Picks』という新興のネットメディアに、
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