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note.com/kobo_taro
「お休みのところすみません。区画整理に伴う件でお話がございます」 2020年2月上旬。例年のような厳しい寒さは姿を潜め、この季節にしてはうららかで過ごしやすかった土曜の午後。午睡に身を委ねる穏やかな時間は不動産業者を名乗る二十代くらいの男の訪問によって破られた。 ぼくのアパートは録画機能付きのインターフォンがあるのだが、ぼくはあまりインターフォンを好まない。自分がインターフォン越しに応対されるのが好きではないからだ。 しかし、今回ほどインターフォンを活用すべきだったと思った日はない。 二度目のインターフォンが鳴る。ベッドから身を起こして玄関を開けると男は冒頭のように告げた。名前と所属を問うたところ男は一度で聞き取れないほどの早口で社名と姓を名乗った。聞き返すもまた、早い。再び尋ねるのも面倒だと思い、諦めた。振り返って思えばこれも全て計算のうちなのだと思う。 「区画整理に伴う件でお話がござい
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