買った本とか読み直したい本がたくさんあるのに、読まずにいた。仕事の原稿は読んでいるけど、「落ち着いて読書する」モードが訪れない。 大きな不可抗力に身を置かれると、焦りと不安で浮ついて、浅い思考が上滑りする。だから意識的に「何もしない」をして、流されない時間をこじ開ける。どうせすっからかんで何も考えられないのだから、神妙なフリして余計に疲れるより、寝起きのおぼっちゃまくんみたいな呆けた顔で過ごせばいい。自分の時間の流れがゆっくり立ち上がり始めたころ、ようやく思考する余裕が生まれてくる。 36年も自分の不器用さと付き合ううち、「急激な変化に対応するためには、まずは何もしない時間が必要」と気づき、ずっとそうやって生きてきた。「こういう時だからこそ」と、いち早く新しいことを始める人がグイグイ社会を動かしていくことに対して敬意をもつ一方で、俺はいつも停滞するように立ち止まる。 この「焦る時こそ立ち止