「とりあえず、ペッティングをしました」 僕の通っていた大学のスローガンは「普通じゃないが、普通」だった。 だからと言って異常性の高い人間がたくさんいるわけではなく、基本的には普通なんだけど一部のネジが外れてる人が多かったように思う。 僕はそういう人たちが大好きでよく関わっていたので、価値観が少しバグってしまった。今思えば、社会にはあんまりいないタイプの人間が多かった。 「バイト先に、いい感じの子がいるんですよ」 大学生の頃、普通じゃない後輩の藤田は僕に会うたびに恋愛の進捗を報告してくれた。 「初めて、人を好きになりました」 「とりあえず、連絡先交換しました」 「とりあえず、今度ご飯行ってきます」 「とりあえず、ペッティングをしました」 ペッティングという言葉を実際に耳にするのも初めてだった。何がとりあえずなんだろう。初めて人を好きになった人がどういうロジックでペッティングだけしたんだろう。